カテゴリー別アーカイブ: 基本のき

呉須(ごす)

白磁に描かれる青い顔料を呉須(ごす)と言います。
主成分は酸化コバルトです。
これにマンガン、鉄、クロム、ニッケル、銅など微量に金属物質が加え
られることによって扱いやすく深みのある青藍色の顔料になります。

日本では磁器の生産が可能になると染付生産も開始されます。
呉須は中国から輸入した物を使っていました。

中国では元時代(14世紀)に染付生産が始まりますが、当初はペルシャ
から顔料を輸入していました。
輸入された顔料は時代ごとに名称が変わります。
「回回青」「回青」「蘇麻離青」など。
16世紀には「土青」と呼ばれる中国国内の呉須が使われるようになりました。

染付がこれだけ絵付けに使われているのは何故か、ずっと気になって
いたのですが、今回改めて調べてみてわかりました。
鉄顔料や銅顔料では出来ない濃淡の表現が出来たからなのです。
青ただ1色でありながら多彩な表現が可能であったからこそ、魅了
される器が完成したのです。

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トクサの刈り取りは冬

春先から新芽が出だしたトクサがかなり大きくなっているかと
思います。

先日、ある教室で「トクサの刈り取り時期はいつですか?」とご質問
を受けました。
答えは「真冬〜春」です。

トクサは真冬に研磨成分のケイ酸の結晶化が進みます。
新芽間もない今時期に刈ってしまうと、結晶化が十分でないばかりか、
茎自体が柔らかいのです。

ご興味のある方は試しに刈り取って乾燥させてみてください。
乾燥後も柔らかい茎はとても道具にはなりません。

トクサの刈り取り時期を含めて使い方、育て方については、拙著
「金繕いの本」の90ページで、かなりの量を割いて説明しています。
ご不明点のある方は再読して頂ければ幸いです。

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ガラスに金箔

カルチャープラザ公津の杜のFさんの作品をご紹介致します。
ガラスに金箔で装飾されました。

こちらのグラスは完品で破損しているものではありません。
元々表面にカットが入って麦と思われる柄が彫られていました。
その柄の部分に金箔を入れて頂いたのです。

技術的には漆芸の沈金の応用で、さほど難しくはありませんが、
可能なガラス器を見つけるのが大切です。

とてもゴージャスになるので、贈り物にしてもいいかもしれません。
チャレンジしたい方はどのようなガラス器を選べばいいのかという
ところからご確認下さい。

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吉野紙と美吉野紙

このところ「吉野紙」と「美吉野紙」の違いについて、ご質問が
続きましたので、改めてご説明したいと思います。

吉野紙です。
楮を原料とする和紙で、現在は奈良県吉野町の昆布さんただ1軒のみが
生産者となっています。

古来、漆の濾し紙として使われてきましたが、丁寧な塵取り作業で得られる
柔らかい紙質で宮中の女官から「やわやわ」と呼ばれ懐紙としても
使われていました。

金繕いの教室では粘り強い繊維を生かして補強に使っています。

美吉野紙(みよしのかみ)です。
素材はレーヨンなどの化学繊維です。
吉野紙に比べて安価なので、漆漉しにはこちらが使われることがほとんどです。

用途をご理解頂いたところで、入手先です。
吉野紙は和紙になりますので、和紙店で取り扱いがあります。
私は日本橋の小津和紙さんで購入していますが、榛原さんでも取り扱いがあると
聞いています。
大きさは半紙を長くした感じで、だいたい1枚¥400程度と高価です。

一方、美吉野紙は漆材料になりますので、専門店での取り扱いになります。
日本全国にある漆材料店で必ず入手出来ますが、100枚〜50枚と個人では使い
切れない数がセットされていますので、数人でシェアして購入されるのが
いいかと思います。

私の知る限り10枚単位での販売があるのが藤井漆工芸さんです。
東急ハンズにも卸しておられるので、お出かけになれる方はこちらでの購入が
便利かと思います。

ネーミングの妙と言いますか、「美」の1文字で全く違うものになります。
見た目も見分けられないという方もおられるくらいです。
用途が違い、購入先も違いますので、是非ご理解頂きたいと考えています。

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氷裂紋様

私個人の金繕い教室である藤那海工房のKさんの作品をご紹介します。
氷裂紋様+梅紋様の小皿の割れを金繕いされました。

氷裂紋様とは氷が割れた様を紋様化した物ですが、そこに絶妙に割れの
線が入っています。

仕上げの線としては、かすれてしまっているところがあるのですが、Kさん
曰く経年変化のように見えて面白いのでそのままにしますとのこと。
通常かすれてしまった場合は修正して頂くのですが、そのような見方も
あったのかと感心しました。

いずれ仕上げの銀泥の線は氷裂紋様に馴染んでくると思います。
そこに達した時がKさんの狙い通りの姿かもしれません。

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瑞雲への道

先般からNHK文化センター横浜ランドマーク教室に展示して
頂いてる菊花型の小皿について、その変遷をお見せします。


薄く削げた欠けで形も角が出たコの字形をしていました。

当初、不思議な形の欠けを隠すように行ったのがお皿に元々あった
絵付けの形です。
これも不思議な形になってしまったので、却下となりました。

結局、落ち着いたのが瑞雲の蒔絵です。
金繕いの教室でもカリキュラムに組み込んでいる「置き目」のテクニック
を使っています。

通常、蒔絵する場合にはお皿に元々ある柄をお勧めしているのですが、理屈
通りには行かないこともあると学ぶいい機会になりました。


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木工品の修復

NHK文化センター柏教室のTさんの作品をご紹介致します。
お母様が木彫された葉皿の塗り直しをされました。

恐らく何らかの塗装がされていたようなのですが、それが経年で
剥落してしまっていました。
それを一旦、除去して新しく新うるしで塗り直しを行って頂きました。

木目を生かした塗りというと本漆の拭き漆という方法が代表的だと
思います。
新うるしでも可能な方法がありますので、今回はそれで修復して頂きました。

あまり新うるしを塗り込まず完成とされたので、手作りの感じや使い
込んだ良さも感じられると思います。

お母様の作品というと唯一無二のものです。
今作は陶磁器ではありませんが、そのような大切な物が蘇るという意味
では何ら変わりはありません。


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欠けの金繕い

NHK文化センター柏教室の方々の作品をご紹介致します。
お二人とも欠けを金繕いなさっておられます。


最初はSさんの作品です。
ゆらぎがある磁器のお皿です。
縁が欠けてしまっていたのを金繕いされました。
工程途中でアクシデントに見舞われましたが、無事完成しました。

最初の頃、仕上げの仕方に悩まれていたSさんですが、地塗りの仕方、
金を蒔くタイミングも全く問題のない堂々とした完成度です。


もうお一人はHさんです。
2点とも縁の欠けを金繕いなさっておられます。
特に左側の染付のダイナミックな絵付けが人気の作家さんのお皿は
縁が立ち上がっていて難しいのですが、きちんと形を再現された
ところで仕上げられました。

度々取り上げていますが、器の破損で最も多いのが縁の欠けです。
これが納得の完成になるのが一番いいことだと思っています。
最近の金繕い人気で様々な方法が選択できるようになりましたが、
やはりお気に入りの器は素敵に仕上げて頂きたいと考えています。


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蒔絵の練習

金繕いの教室のカリキュラムに「置き目」と「桜の花びら」を
組み入れています。
いずれも蒔絵の練習です。
JEUGIAイオンモール八千代緑が丘教室のTさんとKさんの作品を
ご紹介致します。


「置き目」というのは図柄の転写方法です。
元絵を器に漆を使って写しとります。
作品として行って頂いたのは流水紋の部分です。

さらに桜の花びらですが、こちらは平蒔絵の練習です。
合わせて銀泥の蒔き方も学ぶことが出来ます。

このカリキュラムを行う度に思うのですが、同じ元絵をお渡ししていても
制作される方の感性で全く違う作品が完成することです。
TさんもKさんもそれぞれ個性的な作品が出来上がりました。

この練習で蒔絵の一連の流れが把握が出来、実際に使って頂具ことで蒔く
タイミングが合っていたかの検証も出来ます。
ぜひ積極的にご参加下さい。


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ふぐ印の「新うるし」ではないもの

先日、HPのコンタクトからご質問を頂きました。
拙著「金繕いの本」の内容に従い、萩焼のお茶碗に入ったにゅうのひび止め
をしたが、黒い筋になってしまった。これは何故かというものです。
詳しく記載して下さった作業の内容を精査したところ、気になったのが拙著
でご紹介した「新うるし」ではなく、「うらしま印・高級うるし 透明」を
お使いになったという点です。


画像手前が「新うるし」、奥が「うらしま印」

新うるしまたは工芸うるしと言われるものは本漆に対する総称で、各
メーカーで内容物はそれぞれ違います。
漆を元来の手法以外で精製したもの、漆以外の植物性樹脂、ナフサン系の
石油由来のものなどあるようです。
このことから両者は基本的な素性が全く違うものだと考えられます。

何の工芸でも同様かと思いますが、使う素材が違えば結果も違います。
料理に例えれば同じ小麦粉でも強力粉でと説明されているものを薄力粉で
作れば求めているものと違うものが出来てしまうようなものです。

つまりお問い合わせの黒い筋が出来てしまったというのは、お使いになった
「うらしま印・高級うるし 透明」での結果と存じます。

ご質問を頂いた方には拙著をお求め頂き、ご自身の大切な器の修復にチャレンジ
して下さったこと、大変感謝しております。
文末に金泥での仕上げにチャレンジするとありました。
ご満足のいく結果が得られていることを切に願っております。


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