カテゴリー別アーカイブ: 骨董
よく見ると…
NHK文化センター千葉教室のHさんのお求めになった
蕎麦猪口です。
縁に2片の割れがありましたので、これを接着したところ
です。
向かって右側の釉薬がざらついています。
染付の色も、明るく鮮やかな部分があります。
内側です。
やはり明るい鮮やかな染付が入っています。
結論から言うと、ざらついている部分は『パテ』で、
明るい鮮やかな染付は、七宝釉のような融点の低いもので
描き加えられている可能性が高いのです。
骨董市で欠損部を『パテ』で補っている物はめずらしくない
のですが、染付の柄を描き加えているのは珍しいと思います。
このあとどう修復していくか、Hさんとお話致しましたが、
『パテ』が、隣にある器本来の破片に喰い込んでしまって
いるので、このまま足りない部分を補って直していくことに
なりました。
本来ならばいずれ剥落する『パテ』はカッターで削り
取ってしまって、最初から直して行くのをお勧めしたいの
ですが、今回ご紹介した器のように状態をみて、方針を
考える場合もあります。
鶴天•鶴頭 続報
以前のブログで情報提供をお願いしました「根付けの雫」ですが、
横浜教室のKさん、大宮教室のAさんご夫妻から、国会図書館に
収蔵されているという情報が寄せられました。
私も国会図書館のHPで、蔵書を確認致しました。
貴重な情報のご提供をありがとうございます。
せっかくご連絡頂いたのに、未だに見に行けていません。
申し訳ないです。
しかし諦めてはおりません。
必ず見に行きますので、このブログでの報告をお待ち下さい。
骨董品を購入したら
骨董市に出かけられて、気に入った品を購入されたあと、
気になるのは衛生面ではないでしょうか?
オススメは煮沸消毒です。
お鍋に布巾を敷いて茹でればOKです。
時間、回数は、その品の状態によります。
陶器は汚れが深刻な場合があり、湯が濁ることがあります。
そのような状態のものは、濁らなくなるまで煮沸を行った
方がよろしいかと思います。
そのあと見た目の綺麗さが気になるようでしたら、漂白を
お考え下さい。
(明治期の金彩の漂白はおすすめしません。)
鶴天 or 鶴頭
タイトルは「かくてん」「かくとう」と読みまして、飾り玉の
一種です。
印籠と根付けをつなぐ紐を通して、緒締め玉として使われていました。
金繕いの町田•八王子教室で助手をなさっている成田先生が
お求めになったのを拝見して、調べてみました。
室町時代から江戸時代に海外から輸入されたこの玉は、鶴の
頭蓋骨と言い伝えられていました。
しかし近年の諸方の研究で、草食動物の歯を染めたものと判明
しました。
日本根付研究会の機関誌では、DNA分析の結果、馬の歯という
ことが判明したと論文が発表されているそうです。
ぜひこの論文(「根付の雫」60号)を拝見したいのですが、入手
方法がわかりません。
ご存知の方がおられましたら、コンタクトのフォームからご連絡
頂ければ幸いです。
焼き継ぎ+呼び継ぎ
千葉教室Iさんのコレクションを、ご紹介致します。
Iさんは骨董がご趣味で、そのコレクションでいつも教室の
みなさんを楽しませて下さっています。
先日のお教室にお持ち下さった器が、殊に興味深い物でしたので、
撮影させて頂きました。
大きく二つに割れた器を焼き継ぎで接着していますが、縁の欠損を
まったく別の陶器で補って焼き継ぎしています。
隙間があって決して美麗とは言えませんが、何とか使えるように
しようと職人さんが努力した跡が微笑ましいと思いました。
呼び継ぎとは
金繕いの技法のひとつに「呼び継ぎ」があります。
これは割れた器の破片が一部足りない場合、他器の破片を
利用して埋めたものを言います。
この日本独特の感覚の呼び継ぎには過去名品が数々ありますが、
私が好きなのは「織部よびつぎ茶碗」です。
この器は美濃焼の陶芸家•荒川豊蔵氏の旧蔵品で、かの白州正子も
気に入りの品であったそうです。
以前のブログでも書きましたが、呼び継ぎを行うには径、厚み、そり
などがあった破片がなくてはなりません。
さらに色、文様が合うとなると、選択がかなり難しくなります。
一朝一夕に出来る物ではありませんので、根気よく破片を入れる器と
破片が揃うのをお待ち下さい。
なお昔の窯跡から陶片を持ち出すのは法律で禁じられておりますし、
現代の窯元や陶芸家の破片も必ず承諾を得てから入手して下さい。
よく敷地に破片が打ち捨ててありますが、ゴミではなく、作家さんの
作品の一部であることには変わりがないのです。
インスタグラム「kintsukuroi shiratori」