カテゴリー別アーカイブ: 書
かな書
昨年から「かな書」の練習を始めました。
臨書しているのは平安時代中期の歌謡「和漢朗詠集」です。
かなは、このようにお手本をすぐ横において練習しています。
読めない!という方が多いと思いますが、それも当然。
変体かなは元になる漢字が複数あり、それからさらに複数の字体が
あるので、トータル数百という文字数になるのです。
これが“この場合はこの文字を使う”というような決まり事が
あればわかりやすいのですが、それがないのです。
文字の選択は書き手の裁量に任されています。
この柔軟性…日本文化の神髄ではないでしょうか?
そしてかなの魅力は“連綿”と言われる文字のつながりにあります。
これも勢いでつながっていくのではなく、それぞれの文字が
その文字に見えるように書かなければなりません。
1字1字にこの形でなければならないという線がありますので、
連綿に流されずに書く…のに苦労しています。
いつかブログにアップできるようになりたいです。
王羲之 蘭亭序
以前ブログでご紹介した王羲之の展覧会が1月22日より
東京国立博物館で行われます。
そこで現在私が臨書している蘭亭序について、お話したい
と思います。
蘭亭序とは永和9年(353年)3月3日に、王羲之が名士41人を
別荘の蘭亭に招き、曲水の宴を催して作られた詩の序文です。
28行、全324字で、草稿文であるため書き直している部分など
があります。
蘭亭序の奥深さは、書き出しがかっちりとした楷書で、
次第に行書、草書と変化して行くところです。
私がお稽古している添削の入ったもので恐縮ですが、20字と
再頻出の「之」をご覧下さい。
右から左へ文が進んでいます。
一番右の「之」は、 鋭角に筆を取り回さないと書けない楷書
です。
それが次第に軽快になり、一番左の「之」に至っては 面白み
さえ感じる草書体になっています。
このように書き進めていくと、自然に楷書、行書、草書を臨書
していくことになります。
後世の書家に多大な影響を与えた王羲之の書を学ぶ意味は大きい
と考えています。