カテゴリー別アーカイブ: 日本の文化
鏡餅考
11日は鏡開きの日でした。
皆様はお餅を召し上がりましたか?
ネットで検索しますと、鏡餅には諸説あることに驚かされます。
何のために飾るのか?
何を現しているのか?
なぜ2つ重ねるのか?
合わせて飾る物は何なのか?
食べる時には、包丁を使ってはいけないのか?
日本の儀式は中国から宮中へ伝来したものが多いのですが、それが
庶民へ一般化する際に別の物で代用したり、わかりやすいように
説明を変えたりしているうちに、本来の意味がわからなくなっているものが
少なくありません。
鏡餅はその代表的な例かもしれません。
ちなみに鏡餅は稲作とも、三種の神器とも関係がないと聞いています。
食べる時に刃物を使ってはいけないといのは、切腹がイメージされるから
ではなく、包丁が欠けないようにカナズチを使った方がよいという
極めて実用的な意味からだそうです。
鏡餅に込めた本来の意味は、新しい年を迎える準備というシンプルな
ものなのです。
門松の処分
歳神様に来てもらう目印(よりしろ)として家の入口に飾っていた
門松ですが、7日をもって下げました。
この門松の処分方法については、いろいろな考え方があるかと
思いますが、太田流(旧 小笠原流)では白い紙に包みます。
このあとは燃えるゴミに出して構わないとされています。
7日としたのは、現代の動きに合わせたからです。
本来は15日の左義長(どんと焼き)で処分するものでしたが、現代で
15日というと仕事が始まって随分経った日になりますので、そこまで
飾っておくのはむしろ不自然です。
そこで7日に繰り上がりました。
ところで門松を包んだ白い紙ですが、水引折方では白い紙というのが
重要な意味を持ちます。
金繕いの教室では、そのようなお話もさせて頂いています。
2015用 門松
先日の屠蘇と合わせて、特別講座では門松も制作しています。
引っ越したマンションは門扉がありますので、門扉につけました。
太田流の門松は、根引きの松であること、左右で松の樹種が違う
ことが大きな特徴です。
家の間取りで、右左の松の樹種が決まります。
今年苦心したのが、右側の松の幹が曲がっているところです。
曲がっていると、水引の下の掛け紙を巻くのがとても難しく
なります。
ところで門松は師走に入れば、いつ飾ってもいいことになっています。
やってはいけないのが、31日に飾ることです。
一夜飾りといって、付け焼き刃を意味するからです。
私も30日に飾りつけました。
2014年もあと数時間で終わりになります。
どうぞ来年もよろしくお願い致します。
2015用 屠蘇
今年も原一菜先生の特別講座で、屠蘇の調合を行ってきました。
以前のブログに書きましたように、外袋も薬効成分のひとつです。
今年は手順の違いで3色となりました。
それぞれで調合が違えてあります。
今年もみりんで頂く予定。
お正月だけの味です。
ホンビノス貝は駄目
金繕いの教室での貝合せのカリキュラムでは、ご自身でハマグリを
召し上がって頂いて貝を入手してもらうようお願い致しております。
これに対し最近ハマグリではなく、ホンビノス貝を購入される方が
増えてきました。
ホンビノス貝はハマグリと同様のマルスダレガイ科の2枚貝ですが、
本来は北米に分布するもので、日本には船舶のバラスト水に混ざって
1900年代末に東京湾に定着したと考えられています。
食品偽装問題以降「ホンビノス貝」と表示されるようになってきましたが、
かつては「大あさり」、現在でも「シロハマグリ」「大ハマグリ」と称して
販売されている場合があります。
これでは間違えて購入されても仕方ありません。
貝合せの製作上は同じ2枚貝なので、変わりはないのではないかと考える方も
おられるかもしれません。
しかし貝合せのカリキュラムは、ハマグリがいかに日本の文化に根付いている
ものかということを含めて学んで頂く機会でもあります。
お手数ですが、どうぞ「ハマグリ」をご購入下さい。
日本の発明品 カッター
金繕いでは、カッターを使用することが多々あります。
このカッターが日本の発明品であることは、あまり知られて
いないように思います。
発明したのは「OLFA」(オルファ)というメーカーですが、HPに
詳しく誕生の経緯が出ていますので、ご覧下さい。
カッターは刃先を折ることで新鮮な切り味を出していますが、折る場合
にはペンチなどの工具の他、尾部のパーツを使用します。
溝に刃先を差し入れて折ります。
また折る機能と、折った刃を安全に保管できる道具も販売されて
いるので、これを使ってもいいと思います。
カッターの誕生は昭和31年と意外に歴史が浅く、使い方に慣れて
いない方も多いです。
刃ごと取り替える方法など、ご質問がありましたら、ご遠慮なく
教室でご質問下さい。
愛用 風呂敷
なるべく実物のサンプルをご覧頂きたいので、教室には様々な器を
持ち込んでいます。
その時に活躍するのが、風呂敷です。
包む物に合わせて形を変え、中味がなくなれば畳んでコンパクトになる
風呂敷の便利さは皆様ご存知のことと思います。
私が愛用しているのは、出身地横浜の「濱文様」という会社の風呂敷です。
横浜は開港後、様々な国外の文化の入り口でした。
捺染と呼ばれる技術は、元々日本が持っていた浮世絵などの木版画の技術と
相まってシルクスカーフへと結実しました。
その技術を風呂敷に転用したのが、濱文様の品物です。
特に私はデザインが気に入っていて、サイズ、柄でいろいろ持っています。
季節季節で新しいデザインが発売されるので、店舗を覗く度に違うものに
出会えるのが楽しいところ。
風呂敷生活、オススメです。
紫染めの飾り座布団
原一菜(いちな)先生が、自生ムラサキで染められた絹で
作られた飾り座布団です。
紫染めは染色方法を変えることで、ピンクのような鮮やかな色から
深い紫色まで、様々に変化します。
この飾り座布団は落ち着いた藤色に染め上がっていますが、ため息が
出るほど美しい色です。
先日ご紹介しました第25回草木会展は、明日23日(日)午後5時まで
です。
よろしかったらお出かけ下さい。
四方右掛け
茶道具など大切な物が入った桐箱の紐結びに悩まれたことは
ありませんか?
ネットで検索すると出てくるのが「四方左掛け」という、最初の
輪が左にある掛け方です。
これに対し輪が右にあるのを「四方右掛け」といいますが、
両者の違いは流儀によるものです。
太田流では「四方右掛け」になりますので、この方法を習得
する必要があります。
紐結びが苦手な私は、何度も練習しました(汗)
いざという時は突然やってくるので、その場で戸惑わないようにする
には覚えるしかありません。
ちなみに桐箱蓋の木目の方向にも決まりがあります。