カテゴリー別アーカイブ: 日本の文化
ハマグリ貝の数え方
金繕いのカリキュラムの中に金箔の練習のために「貝合せ」の
制作が組み込まれています。
ハマグリ貝はご自分で準備して頂くのですが、最低2組とお願い
しています。
さてこの2組ですが、どのように数えておられますか?
正解はご存知の通り B です。
しかし意外にAと考えられる方が多いのです。
ご親切に貝の準備がまだの方に、自分は2組(実際は片貝の2枚)の
準備があるのでと譲られようとされたりします。
古来から日本人は、ハマグリ貝は対になるものしか合わないことに
意味を見いだしてきました。
現代ではハマグリ貝は特に意識しないものになっているかもしれません。
それでもそういう文化であったことは大切にしたいと思っています。
ですので数を数える際には、是非2枚貝のセットで何組とお考え下さい。
魔除け•護身
以前ご紹介しました「紗綾形文様」ですが、魔除け•護身
の意味もあります。
熊本県で起きた地震で避難所生活を送られている方々が
無事に、少しでも早くご自宅に戻られるよう、お祈りして。
豆雛
金繕いのカリキュラムで作って頂く「貝合せ」ですが、
豆雛を飾ってもいいですとご紹介しております。
NHK文化センター千葉教室のWさんが、豆雛を飾ったところの
写真を持ってきて下さったので、ご紹介致します。
京都でお求めになった雛だそうなのですが、座布団に乗った
サイズが、金箔を貼ったハマグリ貝に誂えたように収まって
います。
その姿に教室のみなさんから「かわいらしい」の声が上がりました。
整った後ろの屏風や、敷き台にも注目が集まりました。
このようにご自分でお作りになったものを飾って頂くと、お教え
した立場としてとても嬉しいです。
ところで雛の並びですが、Wさんは京都風に従ったとのこと。
並びについては、「関東風」「関西風」とよく話題になります
ので、ご存知の方が多いと思います。
これに関して原一菜先生は礼法の立場から、雛の販売業者の地域に
よる意識や、取り決めの為ではないかと考察されています。
実は雛の並びは座敷の間取り、上座•下座の関係で決まってくるので、
一概に左右では決められないのです。
ちなみに左近の桜、右近の橘は、ある場所を模したものです。
門松の始末 2016
以前のブログでも書いていますが、7日で門松は下げ、
始末しました。
本来は左義長(15日)で処分するものですが、現代の生活に
合わせて7日としています。
出来ればどんと焼きに出したいところですが、都会ではなかなか
難しいので、太田流(旧小笠原流)では白い紙に包んで、燃える
ゴミに出しても構わないとされています。
ただ神社などで受け付けてくれるところもあるようですので、
近隣で確認してみて下さい。
日本の正月は水(若水取り)で始まり、火(どんと焼き)で終わり
ます。
ようやく書き初め
本来1月2日に行うべき書き初めが、今日になってしまいました。
昨年末あたりから漢字用の筆に悩んでいたのですが、世田谷•
ボロ市で新しい筆を入手しました。
奥に写っているのが、急場しのぎで使っていた筆で、手前が
今回入手した、ずっと使っていたのと同じ筆です。
比べてみると穂先の太さ、長さが微妙に違うのがお分かり
頂けると思います。
このわずかな違いが気になっていました。
こうして見ると奥の細く長い筆は、千字文を書くには良さそうです。
今回購入した手前の筆は、蘭亭序の復習には欠かせない感じです。
よく弘法大師は筆を選ばないと言いますが、史実は違います。
中国から書法によって違う筆を持ち込んだのは弘法大師なので、
「筆にこだわる」と言い換えた方がよいと思います。
その弘法大師にあやかる訳ではありませんが、用途によって筆を
変えて使ってみようと思います。
2016用 門松
毎年ブログに書いていますが、今年も原一菜先生の講座で
門松作りを行いました。
太田流(旧 小笠原流)では、左右で違う種類で、根が
ついている松を使う事が特徴です。
水引は、日の出を現したものです。
既に昨日の内に飾り付けを行っています。
これは一夜飾りになるのを避けるためです。
門松は、歳神様に来て頂く目印(依りしろ)です。
この歳神様というのが日本独自の考え方と聞くと、大事に
したい習慣だと思います。
水引折方の際に
久しぶりに水引折方を行いました。
この包みを作る時に使用しているのが、
このような刃の長いハサミです。
奉書を切る際に使います。
一般に見かける物ではありませんが、文房具として販売されて
います。
ところで祝儀袋などの折りを行うのを「折形」と表記している
流儀もありますが、これは正しくないと聞いています。
このように間違ったことが当たり前になってしまっているのが
礼法の世界では多いそうなのです。
きちんと学ぶべき所で学ぶと正しいことがわかるという礼法は、
学ぶ人間にも覚悟がいる世界なのだということだと思います。
貝桶•貝合せ柄の小皿
藤那海工房金曜クラスの方が、修復されている小皿をご紹介致します。
対の貝桶と貝合せが描かれた小皿です。
愛嬌すら感じる筆致がとても魅力的なので、撮影させて頂きました。
貝桶•貝合せの柄も珍しいと思います。
骨董店でお求めになったそうですが、いつの時代のものなのか、
確認し忘れてしまいました。
江戸時代に貝桶•貝合せは婚礼の際の持ち物として筆頭となります。
それだけ格が高いのは陰陽の影響もあるかと思いますが、一組の
ものでなければ合わないというところに日本人が「互いに分ちがたい」
という心情を感じたからだと考えます。
この小皿も婚礼に関するものとして作られた器かもしれません。
よいものを見せて頂きました。
貝桶柄の打掛
京都国立博物館に収蔵されている貝桶柄の打掛をご紹介致します。
江戸時代(18世紀) 「浅葱綸子地貝桶文様」
浅葱色の地に友禅染めと刺繍で、貝桶と蛤の柄が入っています。
それぞれの蛤、貝桶が変化に富んだ表現がされており、その丁寧な
仕事振りに、この打掛に込められた願いが見えるようです。
貝合せは、遊びとして発祥しましたが、蛤が他の貝とは決して対にならない
ことから江戸時代には嫁入り道具の筆頭になりました。
転じて貝桶は吉祥文様として入れられているのです。
金繕いのカリキュラムでは、金箔のあしらいの練習として貝合せの
制作を入れています。
その際、蛤のご用意をお願いしています。
これに対してアサリでは駄目か?ホンビノス貝では駄目か?という
質問が多くあります。
このような歴史をご理解頂ければ、蛤でなければならないとご理解
頂けると思います。
まずは蛤で制作頂き、その後お好みの貝でチャレンジして下さい。