うるしとともに

現在、泉屋博古館で行われている「うるしとともに
くらしのなかの漆芸美」という展覧会を拝見して来ました。

住友コレクションの漆芸品の数々を用いられてきたシーンごとに
ひもとき、漆芸品を見るたのしみ、使う喜びについてもう一度
考えたいとした展示です。

漆芸技法について丁寧に解説されているので、改めて勉強したいと
いう方には最適ではないかと思います。

同時開催として近年、寄贈された染付大皿も展示されています。
斬新で大胆な意匠は大皿ならではです。

散策がてらお立ち寄りになるのには、よろしいかと思います。
2月25日日曜日まで。


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チューブに注意

新うるしの教室に来て下さっている方にお願いします!
最近、弁柄に誤発注や間違えて購入する方が出ています。

画像でご覧頂けるように、チューブの弁柄の色名がシールに
なっています。
これが最近粘着力の弱いシールに変わったようで、剥がれやすく
なっています。
剥がれてしまうと「濃赤」という色名が出てきます。

なのでシールが剥がれてしまったり、わざわざ異物として剥がして
しまった方が私からお求めになるにしろ、ご自分で購入されるにしろ
間違って濃赤を求めになってしまうケースが出てきました。

初心者でお入りになった際、お渡ししているのは「弁柄」です。
「濃赤」は漆器の直しで色が合う場合でなければ必要ありません。

ただ間違って購入してしまっても問題ありません。
顔料が酸化第二鉄という石の粉である点は同様で、単なる色違いと
考えて頂ければ差し支えないのです。

しかしオレンジ系の渋い赤である「弁柄」に対し、「濃赤」は
ダークな濃い赤なので、色の違いで驚いてしまうのは否めません。
出来ればお間違えのないよう、お求め下さい。


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シンメトリー

NHK文化センター柏教室のAさんの作品をご紹介致します。
おかずなどを入れる器の蓋です。
割れ方が美しく、シンメトリーです。


時々神がかり的な破損の仕方があるのですが、まさにAさんの器は
それに該当します。
美しくシンメトリーに割れたラインは仕上げの金泥が黒い釉薬に
映えて神々しさすら感じます。

実は内側が粉々に割れていて、こちらを整えるのが大変だったかと
思います。
しかし表の美しさの為なら頑張れたのではないでしょうか。

この人為の及ばない美しい造形があるから金繕いはやめられないと
思うのです。


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贈答の礼と日常作法2024

礼法の方で「贈答の礼と日常作法」の講習会を行います。
日本では人生の折り目折り目に贈答を行うという習慣があります。
これが今日では見た目の美しさや新奇さが先行してしまい、本質が
忘れられてしまっています。

この講習では人前で恥をかかないための日常作法と包み・結びの
基本的な形式を学びます。

本質を学ぶことによって何となく曖昧にしていたことを明確にし、
日本文化の深淵に触れられます。
残席1名様ですので、お早めのご参加をご検討下さい。

毎月第4火曜日 13:00〜15:00
2024年2月27日火曜日スタート 全6回
講習費 ¥30,000
場所 藤那海工房(西船橋駅より徒歩11分)


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内と外

前回に続きNHK文化センター柏教室のAさんの作品を
ご紹介致します。
接着をした器ですが、内側と外側の仕上げ方法を変えた
意欲作です。


前回と同じく鳥脚状に割れたものですが、外側の仕上げは高台の
柿色に合わせ、内側は縁近いところに出ている白いラインに
合わせられました。

苦労したのが外側の柿色で、ご本人が納得する色になるまで色漆
を混合しては塗りを繰り返しました。

なかなかバッチリ合うというのは難しかったのですが、意図は
十分伝わるものと思います。

固定概念で仕上げは内側も外側も同じというイメージがありますが、
使用の際に同時に見ることはありません。
Aさんのようにそれぞれベストの選択をしてもいいのです。

Aさんの作品は自由な発想でOKと見せてくれる好例になりました。


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釉薬の肌に合わせる

今年最初にご紹介するのはNHK文化センター柏教室の
Aさんの作品です。
お抹茶茶碗の割れを接着されたのですが、工夫されたのが
仕上げの仕方です。


割れ方はいわゆる「鳥脚」状で接着には特に問題がないもの
でしたが、Aさんが悩まれたのが欠損を埋める作業と仕上げ
です。

画像でもご覧頂けるように釉薬がクレーターのように穴あきが
あり、埋めづらい上、仕上げもしずらいというものなのです。

欠損を何とか元の印象に合うように埋められたあと、凸凹の
表面を平滑に仕上げるのは難しいという壁にぶつかりました。

そこでAさんが選択したのが釉薬の雰囲気に合わせてランダムな
仕上げにするというものです。

手順としては欠損を一旦仕上げた後、特殊な筆を使ってニュアンス
のある感じにされています。

悩まれた結果たどり着いた結論ですが、攻めの姿勢が面白い効果
を産んだのではないかと思います。

私は先生としてアドバイスを出来る限り致しますが、生徒さん自身
が悩まれて考え出したアイディアに勝るものはないと考えています。
まずはやってみたいとおっしゃってみて下さい。


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謹賀新年2024

明けましておめでとうございます。

新年早々痛ましいニュースが続き、心が痛む年明けと
なってしまいました。
だからこそ平和であるように、皆様が無事であるようにと
祈らずにはおられません。

今年は金繕いに軸足を置いて活動する予定です。
皆様に楽しんで頂けるよう、日々努力して参りたいと考えて
おります。

本年もどうぞ宜しくお願い致します。


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花器の金繕い

産経学園ユーカリが丘校に在籍されていたTさんの作品をご紹介
致します。
花器の金繕いです。


実はこの花器は以前、縁が欠けてしまっていたのを金繕いされて、
お使いになっておられました。
それが上から物が落ちてきて、かなりバラバラに割れてしまいました。

これだけでもかなり心が折れると思うのですが、Tさんは接着をし、
根気よく欠損を埋めて仕上げに漕ぎ着けられました。

よく金繕いは食器だけと思われているのですが、陶磁器である花器も
同様に金繕いは可能です。

Tさんの場合、温かみのある白系の釉薬に合わせて銀泥が少し硫化した
ところで色止めされました。
割れた分だけ仕上げの線が走っているのですが、釉薬に馴染ませたことで
痛々しさより面白さが優ったと思います。

素晴らしい完成度で割れてしまった時のTさんのショックも拭われたのでは
ないかと思います。


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バラバラ

NHK文化センター千葉教室に在籍されていた方の作品です。
小さな鉢がバラバラに割れてしまっていたのを接着されました。


直径6cm程度の小さな鉢で用途としては珍味入れといったところで
しょうか。
黒釉が美しく、歪んだ形が小さいながらも印象的な器です。

これが大小10ピース以上に割れてしまっていたのですが、接着して形を
戻されました。

難しかったのが形が歪んでいるのを再現することです。
そもそも接着の段階でズレも生じてしまっていたので、これを調整しつつ
成り立たせるのは大変な努力だったかと思います。
とても思い入れのある器だということなので、何とか完成に辿り着いたと
考えております。

銀泥で仕上げてみれば複雑に入った線が面白さを醸しています。
ご本人の努力に見合った完成度と言えるでしょう。

安易に手を抜くと、この喜びは得られません。
今一歩の作業を頑張ることをお勧め致します。


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出光美術館「青磁」展

現在、出光美術館で行われている「青磁」展に出かけてきました。
中国で生まれた青磁は、作られた場所、時代で様々な変化を
見せます。

中国をはじめアジアから欧米まで、そして皇帝・貴族から一般の人々に
受容されます。
この展覧会は中国の青磁生産の代表的な窯から高麗や日本、さらに東南アジア
などの青磁も取り上げ、世界の人々を魅了した青磁の世界を紹介します。

私は特に南宋時代の青磁が好みです。
青磁の色味を最大限に生かしたシンプルな造形が絶妙に美しいのです。

また今回は日本も含めた他国への青磁の広がりも面白く拝見しました。
青磁という共通項はありますが、それぞれの国によって解釈が違うのです。
この辺りも楽しんでご覧になると新しい発見があるのではないかと思います。

会期は来年1月28日(日)まで。
会場は混んでおらず、じっくり、ゆっくり拝見出来ました。


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