大きな欠けの仕上げ

NHK文化センター千葉教室のTさんの作品をご紹介致します。
大きな欠けの仕上げです。


最大幅が3cm近くある欠けです。
これほど大きいと仕上げの作業は格段に難しくなります。
そこでTさんには特別な道具を使って頂きました。

この特別な道具も人によっては難しい場合があるのですが、Tさんは難なく
こなされました。
その結果、地塗りが綺麗に出来て、素晴らしい完成度になりました。
教室の方々から賞賛が絶えなかったのも理解出来ます。

大きい欠けの仕上げをなさる方は、是非Tさんの完成度に続いて頂き
たいと考えております。
作業の前にご相談下さい。


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急遽 藍の種蒔き

今秋、自宅マンションの大規模改修があるので、藍の種蒔きは
しないつもりでした。
それが工事が来春に延期となる可能性が大となり、急遽種を取り寄せ、
蒔きました。

昨年は種を蒔いた後に真冬並みの寒さが来たりして発芽が良くなかった
のですが、さすがに5月中旬になっているので、そのような問題は
なさそうです。

そういうことを前向きに考えて、昨年の反省点をクリアして、うまく
育てられたらいいなぁと考えています。


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凸凹をなくすには

藤那海工房 西登戸教室のOさんの作品をご紹介致します。
たくさん完成させて来て下さいました。


ちょっとわかりずらいのですが、急須の底にひびが入っていたのを金繕い
されました。
この底部分にひびが入ったのは、破損とは思われません。
別の理由が考えられます。
しかしプラチナ泥のおしゃれなデザインに見えるので、結果的に素敵に
なったとしてヨシとするべきだと思います。

こちらは作家さんもののモダンなデザインの大皿です。
裏面に大きく欠けていたのを金繕いされました。
こちらもプラチナ泥で、シャープなお皿の意匠ととてもマッチしていて
いい感じに仕上がっています。

最後は欠け+ひびとひびの入ったお皿です。
長いひびの線はご本人も満足の出来です。
最初の頃は難儀されていたのを、すっかり克服されました。

問題は欠け+ひびです。
少々凸凹が出ていたのですが、今回は完成とされました。
なぜ凸凹が出来るかと言うと、ズバリ下地に問題があるからです。

ではそれをどう克服するかと言うと、ひたすら弁柄を塗ってトクサで
磨く作業を繰り返すしかありません。
「忍」の字が頭に浮かぶことがしばしばあるくらいですが、ここを
おろそかにすると仕上げてみて気に入らないとなる訳です。

但しこれはご自分の持ち物を直されていることなので、強制は致しません。
おおらかな仕上げも構わないと思っています。


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ハマグリ貝 修復への道2

先般、割ってしまったハマグリ貝を接着したところまで、ご報告
しました。
その後、せっせと欠損を埋めたところです。

ほぼ破片が足りないところが埋まっています。
もう少し作業して、完璧に埋まったら再度金箔を貼ります。

貼ってしまうと内側はどこが欠損していたのか、わからなくなる予定です。
次回は金箔を貼ったところでご報告したいと思います。


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小さな鳥脚

藤那海工房 西登戸教室のIさんの作品をご紹介致します。
湯のみの割れ+ひびです。

鳥脚状の欠損は器の形、厚み、カーブなどの条件で変わってきます。
Iさんの作品の場合、外側に反っている部分の中に収まっています。
それがとても可愛らしく見えます。

Iさんは手仕事がお好きなだけあって、作業がとても丁寧で綺麗です。
仕上げも慣れられていくうちに、どんどん上達なさると思います。
今回の作品は線がとても綺麗に描かれていて、金泥の蒔くタイミングも
大成功です。

現在は漆器のお重にチャレンジされています。
漆器の修復はひたすら丁寧に作業するしかありませんが、Iさんならば
きっと成し遂げて下さると思います。


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線香作り

西登戸教室をお借りしているKさんには、お香を匂い袋、練香と
教えて頂いてきましたが、今回はお線香を教わってきました。

匂い袋、練香と同様に使う素材を聞き、自分のイメージに合わせて
調合していきます。
それを水で練って注射器に入れて出す細い棒状とコーン型に成形
しました。

これをしっかり乾燥させて完成です。

実際火をつけて聞いてみたところ、狙いの「すっきりした甘め」になって
おり、なおかつ天然素材なので上品な香りで、かなりの満足度です。

香りは焚いている時ではなく、燃え尽きてしばらく経ってから残り香を
楽しむものなのだそうですが、時間の経過で変化していくのも面白いと
思いました。

調合の仕方で全く違う香りが出来上がりますし、何より天然素材なので
プレゼントにもいいのではないでしょうか。
是非またチャレンジしたいと考えています。


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小石原ポタリーの器

藤那海工房 土曜日クラスのTさんの作品をご紹介致します。
小石原ポタリーの器の割れです。


小石原ポタリーとは福岡県・小石原の窯元と、フードコーディネーター・
長尾智子さんのコラボレーションによって作られた新しい民芸の器です。
「刷毛目」「飛びカンナ」を特徴としています。

民芸の器の難しいところは、現代の感覚と乖離してしまっていることかと
思います。
そこを長尾さんのセンスで温かみや懐かしさといった良い感覚を残しつつ、
モダンに転換しています。

Tさんの作品はかなり複雑に割れてしまったものを接着し、銀泥で仕上げられた
ものです。
この複雑な割れが景色となって小石原ポタリーのセンスと合っているのが
面白いところだと思います。

長い線の仕上げは大変だったそうですが、根気よく修正を重ねられて、大変
高い完成度になりました。


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金繕いは再構築

たまたま見たNHKの「デザイントークス+(プラス)」という番組が
「再構築」というテーマでした。

このデザイントークス+という番組は、「デザイン力ってなんだろう?」
という好奇心をもとに形に宿る精神、哲学をひも解きながら日本のデザイン
の世界を探求するものです。

再構築というテーマは、デザイナーの吉泉聡さんを迎えて、これまでのモノと
人との関係を再構築するようなデザインについて語られていました。

再構築というのは、例えばすでにある製品に新たなデザインを加えて新しい
プロダクトを生み出すことを指しています。

この論議の中で金継ぎ(金繕い)が出てきました。
MCの金継ぎにも興味はあるかとの問いに、吉泉さんはあると答えます。
金継ぎ(金繕い)は破損したというマイナスの状態をプラスに再構築する
ものだという吉泉さんの説明に腑に落ちるものがありました。

元は職人の技術であった金繕いが今や「kintugi(金継ぎ)」で海外に通用する
ようにまでなったのは、単にもったいない精神を超えて新たな意匠をまとった
ものに蘇らせる「再構築」に魅了されたからではないでしょうか。

かく言う私も金繕いの再構築に魅了された一人です。


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置き換える

藤那海工房 金繕い教室のIさんの作品をご紹介致します。
扇型の三つ足の器です。

この三つ足が一つ損なってしまっていました。
そこでその部分を別のもので置き換えて接着して頂きました。
画像の手前に写っているものですが、馴染んでいるので一見した程度だと
何かはわからないと思います。

実は石です。
Iさんご本人が器に合う物を探されました。

これを単に接着しただけではありません。
料亭からの依頼品なので、お返しした後の取り扱いに耐えられるように
補強してあります。
その後、器と新しい脚の間を埋めて仕上げられました。

見た目だけでなく強度にも配慮された金繕いで、お返しした先様にも
ご満足頂けると思います。


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作品画像

お教えしている教室で撮影させて頂いた作品画像を整理しています。

改めて見てみると、数えきれない状態になっていました。

都度、ブログでご紹介していますが、他の教室の方の参考になるのは
もちろん、励みになったりと当初は想定していなかった効果があるように
思います。
「完成した作品を先生に撮影させてと言われるのが目標だった。」とおっしゃって
下さる方もありました。

撮影をお願いすると、どなたも快く応じて下さり本当に感謝しております。
画像は私にとりましても貴重なデータです。
どうぞ今後も撮影にご協力下さいますよう、お願い致します。


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