大きく不定形

NHK文化センター柏教室のAさんの作品をご紹介致します。
マグカップ縁の欠けですが、大きく不定形でした。


仕上げの形については色々ご相談しましたが、結局元の形通りに
仕上げることになりました。
それにあたっては特殊な道具を使って頂きました。
結果、大変きれいな仕上げになっています。

不思議な形に欠けてしまった場合、器の中にある柄から選んで蒔絵
するのが常套手段ですが、欠損通りに仕上げるのも正統派と考えます。
そういう意味でAさんの仕上げは成功例となりました。

大きく不定形の形の欠損を金繕いされている方には、とても参考に
なるかと思います。


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預かり証のススメ

金繕いの講座を長く受講して下さっていると、ご家族、ご友人からの
依頼を引き受けることがあるかと思います。
そのお相手がご自身と縁遠い場合には、預かり証を発行されることを
お勧め致します。

というのも最近、私自身がトラブルに巻き込まれたからです。

器をお預かりした方は社会的にも地位がある方で、お預かりするのも2度目
だったことから、すっかり安心しており、預かり証を発行せず請け負って
しまいました。

全ての原因はここにあるのですが、お預かりした翌月から頻繁に催促のメール
が入りました。
それは預けたご本人が預けた日を半年前だと勘違いし、「もう1年近く預けて
いるのにまだ返してもらえない。」と考えていたからです。

加えてお預かりした際に私が「お聞きしていたより軽傷ですね。」と言った
言葉尻を押さえられて、金繕い代金も値切られてしまいました。

真摯に金繕いの作業をされている方に同じような思いをさせたくありません。
書式についてご質問のある方は遠慮なくお問い合わせ下さい。


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飾り物の仕上げ

JEUGIAイオンモール八千代緑が丘教室のSさんの作品をご紹介
致します。
たくさん仕上げられたのですが、まずは置物の仕上げです。

くちばしと羽の先が破損していました。
くちばしは新うるしの弁柄と色が合っていたので、欠損を埋めたままにされ
ました。
羽の先は銀泥で、硫化すれば体の色と同じようになるはずです。

先般のブログで飾り皿の金繕いをご紹介しましたが、Sさんの作品のように
具象の置物でも同様に金繕いが可能です。




酒器、小鉢、湯のみなど、まだまだたくさん仕上げて来られました。
Sさんは手作業がお得意な上、自宅でもしっかり作業して来られるので、
このような成果が上がりました。

欠けの仕上げに刷毛目が出てしまうこと、ひびや割れの仕上げの線が
太めなことが今後の課題です。
さらなるレベルアップを期待しています。


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茶入れの仕上げ

NHK学園市川オープンスクールのKさんの作品をご紹介致します。
まずは茶入れです。

口縁周りが割れ、ひびが伸びていました。
接着後、欠損を埋め、金泥で仕上げられました。

ぐるっと円弧を描いた仕上げの線がとても綺麗です。
仕上げの線が景色になるという好例ではないでしょうか。

茶入れのように口がすぼまった物、例えば徳利、一輪挿しなどのような形態
の場合、欠損を埋める〜仕上げるという作業が内側については出来ない
場合があります。
このような時は、あえて何もしないという選択をする場合があります。

Kさんの茶入れの場合、欠損は出来うる限り埋めて頂きましたが、筆が届き
にくい内部の仕上げはしてありません。
このあたりの判断は迷われるところだと思いますので、適宜ご相談下さい。

もう一点、中皿の接着です。

割れと縁の欠けがありました。
仕上げは数度に分けてされているのですが、痕跡は全くありません。
地塗りも完璧なので、刷毛目も全くありません。

このあたりのコツはお教えしたことを実践して下さっているのですが、ここ
まで完璧になさる方は早々ありません。
ひとえにKさんが真面目に取り組まれた成果なのですが、私としても本当に
嬉しい完成度です。

Kさんの作品を見て、金繕いをするのなら美しくを追求したいと考える方が
増えてくれたらと願っています。


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飾り皿の金繕い

セブンカルチャークラブ成田教室のFさんの作品をご紹介致します。
飾り皿の割れです。

よく飾り皿の金繕いは出来ますかと質問を受けます。
飾る物と言っても陶磁器であれば通常通り金繕いは可能です。

Fさんがお持ちになったお皿はマヨルカ焼き系の素地が柔らかい物でした。
ですのでしっかり下準備をして頂いてから接着、その後欠損を埋めて
金泥で仕上げられました。

食事用の器と違い、飾り皿という点で見栄えを優先しました。
その為、さらに作業を加えたのが金泥の上からの着彩です。
ほぼ表面の全般に着彩を施しました。
新うるしの色と近いことも幸いして、大きく横切った金泥の存在感が
薄められたと思います。

飾り皿の金繕いをご検討の方は「見栄え」も考慮されることをお勧め致します。


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ソープカービング

趣味でソープカービングをなさっているOさんから作品を頂戴しました。

見た目も美しいですが香りも高いので、まずはルームフレグランスとして
楽しみ、その後は普通に石鹸として使えば良いそうです。

私としては細かい細工のテクニックはもとより、均等に刻む方法など
とても気になります。

中でも1つの石鹸からドーム状に切り取り、蓋になっているというのは
どのような手順なのでしょう。
機会があれば是非ご教示頂きたいと考えています。


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ミキモトのシュガーポット

お預かりしていたミキモトのシュガーポットをお返ししました。

本体部分が大きく3つに割れていました。
お嬢様が幼い時に割ってしまったのを木工ボンドで接着していた
という微笑ましいエピソードをお聞きしています。

時間の経過のせいか、木工ボンドを剥がすのに時間がかかりました。
これは水に浸せば外れると考えていたので、勉強になりました。

時間がかかったのが角の大きな欠損でした。
複雑な断面の欠損を木片で埋め、内部の形として違和感なく成形する
ため、丁寧に作業を積み重ねました。

ちょっと工夫したのが、柄の再現です。
これは教室でもしばしばやって頂いていることですが、様々な柄が
入っているのを仕上げの線が遮っていたので、その部分を再現
しました。

依頼主の方はもちろん、割ってしまったお嬢様にも喜んで頂いて
改めてこの仕事の素晴らしさを感じたご依頼でした。


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藍の分植2019

先に種を蒔いた分が10cm程の大きさに成長したので、分植しました。

今はジョウロからの水の勢いに負けてしまうようなひ弱さですが、高さ
60cm、直径60cmもの大きさに成長するので、プランターには2株しか
入れられません。

昨年の失敗を反省して、植え込み時にオルトランというアブラムシなどに
効果がある薬品を散布しました。

10日程後に蒔いた分は全て発芽しましたが、まだまだ小さい状態です。

何とか大きく育って欲しい…今はひたすら願う気持ちです。


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盆栽鉢の金繕い

よみうりカルチャーセンター大宮教室のSさんの作品をご紹介致します。
盆栽鉢の金繕いです。


小さい鉢ですが、割れてひびが入っていました。
鉢の場合、植える植物の根張りと冬場に鉢が含んだ水分が凍結し、再度割れて
しまう可能性があります。

そこでSさんの盆栽鉢もひび止め、接着後、欠損を埋めた上で内側に和紙を
貼って頂きました。
和紙を使うと言うとどなたもびっくりされますが、Sさんの作品でご覧
頂けますように、上からしっかり新うるしを塗り重ねて「漆含浸和紙」の
状態になっています。
ですので水密性も問題ありません。

Sさんはとても作業が綺麗な方なので、通常の仕上げになる金泥の部分は
もとより、内側の和紙を貼った部分もこげ茶色で完璧に仕上げられました。
これで見た目も使用上も心おきなく使って頂けます。

詳しい手順は昨年私がご協力しました雑誌「盆栽世界」2018年7月号に
類似の破損状態のものが掲載されていますので、参考になさって下さい。


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ミニサイズ

高さ6cm弱、3.7mlのミニサイズのタバスコをNHK文化センター千葉
教室のYさんから頂きました。

巷ではミニサイズのものが流行っているそうで、私もミニサイズのカッター
など持っています。
しかしタバスコにもミニサイズがあるとは思いませんでした。
どうやら持ち歩いて使う用途のようです。

ところで頂戴したのはタバスコが金繕いの道具だからです。
すでに教室でお使いになった方もおられます。

何に使うのかは教室でご質問下さい。
ヒントは何かの代用として使うということです。


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