保土ヶ谷宿

私の出身地は神奈川県横浜市です。
その中でも東海道五十三次の宿場町であった「保土ヶ谷」という
横浜市の中央にある古い土地の出身です。

横浜市というと住みたい街の上位にノミネートされるなど、いいイメージが
あるかと思いますが、それは主に北部の新興住宅地を指しています。

保土ヶ谷は元・宿場町と言っても観光資源になるようなものは残っていません。
本陣跡に門扉、旅籠屋だった金子家(脇本陣というのは誤り)が残っている
程度でしょうか。
「北向き地蔵」(どんなに違う向きに変えても北向きに戻る)とか「政子の
井戸」(北条政子が化粧直しに使った井戸)などありますが、とても地味です。

毎年1月2日〜3日に行われる箱根駅伝の第2区、難所として有名な権太坂の
少し東京寄りと言った方がわかりやすいかもしれません。

保土ヶ谷駅近くにある「金沢横町道標」です。
金沢・浦賀往還への出入り口にあたり、この道標が設置されたそうです。
ここまでコンディションが良いものは珍しいとのことで、現在でも大切に保存
されています。

同じく駅近くにある蕎麦屋の「桑名屋」さんです。
宿場町としての町おこしに熱心な当代が江戸時代のイメージで建てられました。
ちょっとタイムスリップ感覚を味わえます。

おしゃれな新興住宅には敵いませんが、尾道ばりの山坂ありの保土ヶ谷が
やっぱり好きなようです。


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芸術的な線

先般、盆栽鉢の漆繕いをご紹介させて頂いたNHK文化センター柏教室の
Hさんの作品をご紹介致します。


割れの接着です。
接合線が複雑な形をしていて、ちょっとしたアートに見えます。
人間が考えて出来る形ではないのが面白いところです。

銀泥で仕上げられていますので、いずれ硫化して染付けの柄に馴染んで
いきます。

ちなみにこの柄は「十草紋様」と言います。
道具として使っている物の柄とはご縁があるものです。


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鉢映り

NHK文化センター柏教室のHさんの作品をご紹介致します。
盆栽鉢の漆繕いです。


黒系の釉薬の盆栽鉢ににゅうが数本入っていました。
幸い深刻な状態ではなかったので、ひび止め自体を黒で行い、目立たなく
して頂きました。

鉢の内側にその痕跡が残っていますが、土を入れれば見えなくなってしまうので
問題ありません。

出雲大社ヤブツバキを植えられたところです。
漆繕いした部分が正面にあるのですが、全くわかりません。

ここで「鉢映り」という言葉を教えて頂きました。
盆栽の世界では木と鉢の相性を重要視されるそうで、その様子に関して鉢映り
という表現が出てきます。

Hさんの作品の場合、濃い赤の花をつける出雲大社ヤブツバキと黒い釉薬の
鉢は「鉢映り」が暗いとなるようです。
ダークな色味同士を合わせると引き立たて合わないということだと解釈しました。

色彩学では「美度」という数値を算出します。
色相、トーンが乖離しているほど美度が高くなります。
恐らく美度が高ければ高いほど鉢映りがよくなるのではないかと推察しています。
いい勉強をさせて頂きました。


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「金繕いの世界」講演会終了しました

本日、NHK文化センター千葉教室で行われた「金繕いの世界」の
講演会が終了しました。
ご参加頂いた皆様、ありがとうございました。

このコロナ禍の時期に30名様ものご参加を頂きましたこと、本当に嬉しく
思っております。

先般のオンライン講座からさらに内容をブラッシュアップして皆様の前で
お話しし、さらに実物展示も行いました。

会の終了後、たくさんの方とはお話し出来ませんでしたが、ご満足頂けた
ご様子に安堵しているところです。

来月、NHK学園市川オープンスクールでも同様の講座を行いますが、既に
こちらは満席となっております。
今回、何らかの形でご参加が叶わなかった方にも、次の機会がご案内出来ればと
考えております。


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港北カルチャーセンターのTさんの作品をご紹介致します。
欠けの仕上げを器元々の柄に合わせて加飾されました。


ベースを金泥で仕上げて、葉脈、蔦を銀泥で仕上げられています。
蔦が巻いている様子も描かれているので、より器元々の柄に馴染んでいる
と思います。

ちょっとしたことですが、描き加えられることでより自然な感じになります。
仕上げに一手間加えてみませんか?


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2020年10月期の募集

10月から受講できるカルチャーセンターの教室をご案内致します。
場所によっては新型コロナウィルス対策の為、定員を低く抑えている
ところがあります。
受講をご希望の方はお早めにお申し込み下さい。

●募集がある教室
NHK文化センター柏教室
毎月第3金曜日 13:00〜15:00 1席のみ
毎月第4日曜日 10:00〜12:00

毎日文化センター(竹橋)毎月第3木曜日 10:00〜12:00
産経学園ユーカリが丘  毎月第3月曜日 13:00〜15:00

●その他の教室をご希望の方
キャンセル待ちか、都度お問い合わせを受け付けている状態です。
各教室にご確認下さい。


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花器の金繕い

NHK文化センター柏教室のKさんの作品をご紹介致します。
笠間焼の花器の金繕いです。
ひびが2本入っていました。


正面の両サイドにひびが入っていたのを止め、表面の欠損を埋めた後、
焼締のザラザラとした感じに合わせて点々と銀泥で仕上げられました。
銀泥が硫化してくると焼締に馴染んでくる予定です。

通常通り仕上げをしてしまうと直線でしっかり線が見えてしまいます。
それを極力目立たないように点々と仕上げをされた訳です。
実はある道具を使ってほとんどの作業を行なった後、手描きで点を加えた
という大変な労作でもあります。

器の状態に合わせて仕上げの表現を変えるという柔軟な考えは他の
方にも参考になると思います。


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和巧絶佳展

現在、パナソニック汐留美術館で行われている「和巧絶佳展」に
出かけてきました。
サブタイトルは「令和時代の超工芸」です。

工芸というジャンルにとらわれることなく、工芸素材を用い、工芸技法を
駆使して工芸美を探求する1970年以降に生まれた12人の作家の展覧会です。

拝見してみてアートと工芸(使うもの)の境界線という印象を受けました。
工芸は使う上での配慮が求められますが、今回展示のものはアート寄りなので
作家によっては解釈に悩むものもあります。

個人的な好みになりますが、截金をガラスに施した山本茜さんの作品、蛍手を
突き詰めた新里明士さんの作品に惹かれました。


お二人とも伝統的な技術を独自の手法で転換されており、美しさと新しさが
あると思いました。

会期は9月22日(日)までなので、今週末は混雑する可能性があります。
美術館の案内を確認の上、お出かけ下さい。


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同じように描く

NHK文化センター柏教室のUさんの作品をご紹介致します。
縁に生じた欠けです。

画像のほぼ正面に欠けがありました。
それを器に元々描かれている赤い実と葉の絵付けを同じように描いて
隠してしまわれました。

赤と緑の色が新うるしで出しやすい色だったこともありますが、全く
違和感がありません。

金銀で仕上げるのもいいですが、このような攻めるアイディアは大歓迎
です。
金繕いには「こうでなければならない」はありません。
どうぞ自由に発想してみて下さい。


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ガラスのオーナメント

NHK文化センター柏教室のYさんの作品をご紹介致します。
ガラスのクリスマスオーナメントの金繕いです。

下段の部分に縦にひびが入っていました。
そのひびを止めた後、表面の欠損を埋めて、銀泥で仕上げられました。
あまり違和感のない感じで仕上がったと思います。

オーナメントというと食器ではありませんが、金繕いの技術の応用で
修復が出来ます。
何か直したいものがあれば、とりあえず教室にお持ちになってみて下さい。
経験のないものでも、ご相談にのります。


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