昨年12月に行なったオンライン講座でこの展覧会に言及したものの、
拝見しておりませんでした。
それを緊急事態宣言再発出の報道で駆け込みで見て来ました。
ウィーン・ロースドルフ城 城主のピアッティ家は代々日本の古伊万里を
中心として陶磁器を収集していました。
それが第二次世界大戦の悲劇によって粉々に破壊されてしまいました。
ピアッティ家は破壊された陶片を処分せずに集め、平和への祈りを込めて
一般公開していました。
この展覧会は日本との縁から波乱に富んだロースドルフ城コレクションの
全貌を明らかにするものです。
今回、最も拝見したかったのは日本の修復家が西洋式の修復方法でバラバラに
割れていたお皿を全くわからないように修復したものです。
実物を拝見したところ、欠損部分はわかった上で見ると新たに描いたのがわかり
ますが、接合した線は全くわからなくなっていました。
全体を俯瞰して見ると器が持つ元々の品格は全く損なっておりません。
改めて日本の使う為に直す金繕いと自分たちの歴史を残す為に直す西洋式の
違いがわかりました。
ロースドルフ城のコレクションは破壊された状態を想起させる展示がされて
いました。
破片になってもなお、その器の華麗な様、歴史的価値はわかります。
本当に心が痛みました。
美しく素晴らしい物であっても破壊させてしまうのが戦争なのでしょうか。
コレクションは時代、国を超えて収集された貴重なものです。
研究が進むことが敢えて処分せずに公開したピアッティ家に報いることに
なるのではないかと思いました。
残念ながらイベントは中止されたようですが、展覧会は緊急事態宣言再発出に
よっても継続されるようです。
最新の情報を確認の上、ご見学を検討下さい。
1月24日日曜日までです。