花の季節 2021

桜を始め、次々花が咲いて春を実感する季節になりました。

近隣の農家さんが畑で栽培しているチューリップです。
作物の連作を避けてかと思いますが、近隣へのサービスもある
のではないかと考えています。

昨年の今頃は緊急事態宣言で巣篭もり生活になり、買い物のついでに
花のスケッチをする日々でした。
未だコロナ禍の渦中にはありますが、昨年とは違う生活の中で花を
見ることが出来ていることに感慨深くなりました。

昨年春からお休みしていた西登戸教室もいよいよ5月から再始動する
ことになりました。
しっかり対策をしながら少しずつでも日常が取り戻せることを嬉しく
思っています。


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切子ガラスのひび

産経学園ユーカリが丘校のNさんの作品をご紹介します。
切子ガラスのカップのひびです。


まずひびを止めて頂き、表面の欠損を埋めてプラチナ箔で仕上げ
られました。
ブルーの被せガラスにはプラチナの色がよく合います。

Nさんはすでにガラスの金繕いのご経験がありますので、途中の作業、
仕上げ共、順調になさいました。
特に仕上げの線はとても綺麗にまとめられていると思います。

ガラスは陶磁器の金繕いを基本にしていますが、特性の違いから少し手順が
違います。
まずは特性の違いを理解し、手順を把握して頂きたいと思います。


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トクサの旅立ち

新芽が出る前がトクサの刈り時です。


途中から切ったとしても、そこから新たに伸びてくるわけではないので、
しっかり根元から切ります。

その後、細ずぎるものや痛んだものを取り除いて箱に平に干します。
干す場所は日当たりが良く、通風もある室内で構いません。
時々混ぜて天地を変えるようにします。
影干しや束ねて干すと、後でカビが発生する場合がありますので、
気をつけて下さい。

このところ、どのくらいの期間干せば良いのかという質問を多く受けます。
干す期間は1週間程度で構いません。
切った時にお分かりになるかと思いますが、トクサはかなりの水分を含んで
います。
これが飛べばいいのです。

同じく質問が多いのが色の問題です。
この件は干す期間と同様、これまでのブログで何回も取り上げていますが、
緑色のままで構わないというのが正解です。
道具としては枯れ色になる必要はないからです。

自宅マンションが4月から大規模改修に入るので、刈り取った後の鉢を
生徒さんが預かって下さいました。
手前の鉢3つが私のものです。
引き取りに伺う時には新芽がある程度大きくなっていると思います。

 


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変形のひび

港北カルチャーセンターのMさんの作品をご紹介致します。
お茶碗に入った変形のひびの仕上げです。


このタイプのひびに遭遇した方もおられると思います。
上下に分かれてひびが入るのですが、これが口をぎゅっと結んだような
形でとても美しいとは言えません。

現象としてはもう少し破損した時の衝撃が強ければUFO型に破片が外れて
いたものが、端が寸止めで止まり、ひびとなったものです。

仕上げの常套手段としては器に元々ある柄を流用して被せてしまうの
ですが、Mさんのお茶碗の場合縦縞模様でそれも出来ません。

そこでお勧めしたのが上のひびは縁の口紅(鉄釉の覆輪)に馴染ませる
ように銀泥で仕上げ、内側の面に当たる部分は生成り色の釉薬に馴染む
金泥で仕上げるというものです。

画像では銀泥が仕上げたばかりなので白いのですが、いずれ口紅に馴染んで
来るでしょう。
Mさんご本人にも気に入って頂けたようです。

もう1点ご紹介しますのが、日常の破損で最も多い小さな欠けの金繕いです。
初心者の頃、ドキドキしながら仕上げの作業をされていたMさんですが、
今や堂々たる完璧な仕上げです。

このような作品を拝見すると、何事も練習、経験なのだと感じます。
是非「この程度でいいんです。」と適当に妥協せず、チャレンジを続けて
頂きたいと思います。


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赤いバラ

先日、太田流礼法の家元に花活けのお稽古をして頂く機会を得ました。
その際に花材として使ったのが真紅のバラです。

7年ほど前にお家元が活けられた赤いバラがあまりに素敵だったので
リクエストさせて頂いたのです。
それだけでなく私自身が深い赤色が好きというのもあります。

今のお子さんはランドセルに多彩な色が用意されているように、色の好み
も多様化していると思います。
しかし私の子供の頃は小学校低学年の女の子に好きな色はと聞いたら
「ピンク」と答えるのが定番だったように思います。
そんな中で私は「赤!」と答えるちょっと変わった子供だったかもしれ
ません。

ご存知のように赤い色は人間に活動力を与えます。
この色を見てやっぱり素敵と思えるので、私の気持ちは元気と言っても
いいのではないでしょうか。


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思いがけず

NHK文化センター千葉教室のHさんの作品をご紹介致します。
急須のひびです。


2箇所に入っていたひびを止められ、金泥で仕上げられました。
黄瀬戸系のベージュ色の釉薬に金が程よく馴染んでいます。

実はこの急須はHさんが普段使われていたものではなく、ご自宅を片付けて
いたら偶然出てきたものなのだそうです。
講座を受講するにあたって、いい教材になるとお持ちになりました。
完成してみると元々の急須の良さが際立ち、使いたくなる品に変身しました。

このように元の印象が変化するのも金繕いの醍醐味かと思います。
この急須はただ仕舞われていたものから、実際に使われるものへと新しく
生まれ変わりました。


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希望展vol.15 希望のかたち2

先日ブログに書いた希望展についての続報です。

ちょっとした壁に飾るアートとしていいなぁと思ったのが、太田保子
さん達の小額です。


今回私が購入したのが和田祐子さんのカードです。

単純にアートとして気に入ったので購入したのですが、カードとして
使うのもいいですし飾ってもよしということで、しばらく飾っておこうと
思います。

これら売上金は被災地でキャンドルを灯す活動にキャンドルを送る資金
になります。

アーティストの方達には実験の場になり、購入者にはアートが気軽に手に
入る希望展ですが、何よりチャリティーという大きな目的で結ばれています。
会期は17日水曜日まで。
気になった方は日本橋のギャラリー砂翁までお出かけ下さい。

 


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こだわりの仕上げ

NHK文化センター千葉教室のIさんの作品をご紹介します。
煎茶器のひびの仕上げです。


ひびを止めた後、丁寧に欠損を埋め、仕上げられました。
こだわられたのが仕上げの線です。
繊細な器の感じから言うと、やはり細い線が似合います。
しかし口径が小さいので内側の仕上げは難しいところがありました。
そこを克服し完成に漕ぎ着けられたのです。

外側の釉薬は淡い赤紫です。
これに金泥がとても映えて綺麗に見えるかと思います。
金は色的には黄色と考えますと紫とは反対色になるからです。

仕上げの色の選定に迷われたら、色彩のセオリーに従ってみるのも
いいかと思います。


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希望展vol.15 希望の形

今年も友人のアーティスト大古瀬和美さんが出品している東日本大震災
チャリティーのグループ展「希望展」に出かけて来ました。

まず大古瀬さんの作品です。
東日本大震災の1年後に奉納した作品に繋がるもので、点の一つ一つが犠牲者
への鎮魂の意味があるそうです。

大古瀬さんの作品はこのように思考と表現がリンクしているところが深いと
思っています。


毎年ご説明していますが、この希望展は被災地へのチャリティーの意味が
あり、作品の販売価格が手に入れやすい額に設定されています。
小品が多いので家にアートを取り入れてみたいと思われている方には最適です。

会場の日本橋・ギャラリー砂翁では感染症対策を行っておりますので、安心
してお出かけ下さい。
3月17日(水)まで。
11:00〜18:00
日曜日はお休みです。


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漂白実験中

あまりポピュラーではない漂白剤で漂白の実験をしています。

この小皿は60年くらい醤油皿として使われていたものです。
特に破損はないのですが、さっぱりさせようと漂白したところ、釉薬の
貫入に汚れが浮き上がってきました。

すでに3ヶ月ほどかけて漂白しているのですが、いまだに浸けた水が
茶色に濁ります。
60年かけて醤油が染み込んでいるのですから簡単ではないということ
なのでしょう。

金繕いの教室では修復を始める前に漂白をお勧めしますが、数時間、
数日では汚れが落ちないことがほとんどです。

しかし根気よく漂白して頂くと修復箇所がわからなくなる場合があります
ので、是非頑張って頂きたいと思います。


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