鯛牙制作 2025

以前にも鯛牙を制作した様子をアップしましたが、このお正月に
新しい物を作りましたので、ご紹介します。


今回は加熱していない鯛の顎のご提供を受けて制作しました。
大きさに多少違いがありますが、合計6本です。

鯛牙とは丸粉で仕上げをしたところを磨いて光沢を出すための道具です。
先端から根本近くと牙のカーブと柔らかさが絶妙に磨きに合うのです。

基本的には藤那海工房の本漆クラスの方を優先にお譲りする予定です。

魚の状態で3kg以上の大きさがあれば、道具としての牙が取れます。
(天然の鯛に限る。養殖物に牙はない。)
ご興味のある方には作り方もお教え致しますので、お問い合わせ下さい。


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象嵌の花器

新年最初は私がご依頼を受けた金繕いの作品からご紹介致します。
象嵌の花器の割れです。


象嵌とは器の表面を彫り、その彫った部分に色のちがう粘土を
嵌めこんで模様をつける技法です。
器の表面に模様を描くのとはちがい、粘土そのものの色なので、
模様にメリハリがうまれます。
象嵌はもともと金工や木工芸でよく使われる技法です。

ご覧頂けるように高さ30cm弱の中に大変細かい細工がしてあります。
こちらは持ち主の方が作家さんにオーダーしたものだそうで、そう
いう意味では世界唯一の作品と言えます。

首の部分がいくつかに割れてしまっていたのを接着して欠損を補い
主に金泥で仕上げました。
縁の染付の紺の部分は目立たないように薫銀泥を使っています。

破損してしまったのは仕方ありませんが、金繕いをした箇所が
元々の造形に程よく馴染んでくれたかなと自負しております。


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謹賀新年2025

明けましておめでとうございます。

年末はバタバタしていてSNS類の更新が途絶えてしまいましたが、
年が改まったところで更新していきたいと思います。

昨年は「金繕い(金継ぎ)」の知名度が更に上がり、今までにない
ご依頼があった他、水引、シー陶器・シーグラスで作る箸置き・
アクセサリー作り、貝合せ制作、草木染めと様々なイベントも行い
ました。
記憶に新しいのは座学の講座「文様の格」を行なったことでしょうか。

今年も更に楽しんで頂けるよう、精進して参ります。
引き続きどうぞ宜しくお願いします。


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レリーフを再現する

産経学園ユーカリが丘教室のNさんの作品をご紹介します。
Nさんは多彩なアイディアでこのブログにも頻繁に作品を
紹介させて頂いています。
今回は平皿の接着です。


かなりはっきりしたレリーフのついたお皿です。
角が割れてしまったのを接着した後、欠損を埋められました。

欠損して無くなってしまったレリーフの部分もしっかり再現されて銀泥
で仕上げられました。

仕上げ直後の撮影なので銀の色が白っぽいのですが、いずれ硫化した際
には釉薬に馴染んでわからなくなるかと思います。

深い上に細かいレリーフだったので再現は大変だったかと思います。
レリーフのある器はいろいろありますが、面倒がらずに再現して頂くと
完成度が高くなります。

再現の程度で迷われるようでしたら教室でご相談下さい。


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面相筆の功罪

仕上げは誰でも良い状態で行いたいもの。
そこで勢い筆に頼りたくなるのが人情です。
しかしその選択は合っているのか、面相筆についてご説明
したいと思います。


一般に面相筆というと「人や動物の表情を描くのに適した穂先の細い
筆」とあります。
毛質や穂の長さはいろいろありますが、金繕いの仕上げの筆としては
ベストとは言えません。

画像の筆は穂先がイタチで面相筆の中でも質が上等なランクになる
ものです。
しかし拡大の画像でお分かりになるように穂先の毛のまとまりは良いとは
言えません。

水彩画、日本画など水分が多い画材ならば繊細な作業を行えると思い
ますが、粘り気の強い漆には腰の強さが足りません。

往々にして画材店で案内を乞うと面相筆を勧められるようですが、仕上げ
に適した筆は教室でご確認下さい。


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貝絵 秋春

JEUGIAイオンモール八千代緑が丘教室のTさんの作品を
ご紹介致します。
ハマグリ貝の貝絵です。

金繕いの教室では金箔の扱いを学んで頂く為にハマグリ貝に金箔
を貼るカリキュラムをご用意しています。
ここから更に貝絵にチャレンジされたい方には引き続き、ご指導
しております。

左側の貝には秋(紅葉と松葉)、右側の貝には桜を新うるしの色で
描かれました。
Tさんはご趣味でスーパーリアルの油絵を描かれているそうで、
画題を描くのは難なくこなされているのですが、題材の選び方、
レイアウトの考え方など日本文化に合わせて検討して頂きました。

新うるしで描いて頂くと器としても使用が可能なので、飾るだけで
なく食卓にも華を添えるアイテムになるはずです。
楽しんでお使い頂ければ嬉しいです。


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筆の収納

このところ、筆の収納をどうしたらいいか?というご質問が続き
ましたので、ご説明したいと思います。

筆の収納は大きく分けると筆巻と筆筒になるかと思います。
まず筆巻です。


こちらは私が自宅で使っている名村というメーカーのブラシケース
・ショート(水彩画用)です。
(紐は柔らかい質のものに交換しています)
画像でご覧頂けるようにかなりの本数の収納が可能です。
私は3つ折りで使っていますが、筒状に巻くことも可能です。
筆先側にカバーがついていますので、筆やキャップの脱落の心配が
ないのも評価出来ます。

こちらは筆筒です。
画材メーカー品から100円ショップ品まで様々あります。
メリットはコンパクトなところでしょうか?

難点は目的の筆を探しにくいところと、逆さまに収納してしまうと
筆先を痛める可能性があることです。

変わり種はキャンプ用のカトラリーケースです。
何とダイソーで330円。
立体的に丸められるので、テーブルの上で筆立てのように立てて
置くことも可能です。

難点は長さが筆に対してギリギリなこと。
カバーをすると筆先が潰れる可能性大です。

いろいろご紹介しましたが、お裁縫が得意な方は自分の使い勝手に
合わせて自作するのが一番かと思います。
何より大切なのは道具のコンディションが作業の質に関わるので、
穂先を痛めない方法を重要視するべきということです。


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縞々復活

NHK文化センターさいたまアリーナ教室のYさんの作品を
ご紹介致します。
長方皿の割れです。


片身かわりの斜線の柄が和風過ぎず、モダンな感じが魅力のお皿です。
角部分が割れていたのを接着されました。

仕上げは通しで金泥で仕上げた上から染付の斜線を再現するように
銀泥で入れて頂きました。
仕上げ直後は白く抜けた感じに見えますが、いずれ硫化して染付の
ラインが復活したようになる予定です。

Yさんの作品の場合、染付のラインが細いので難しかったとは思いますが、
線を入れるコツがありますので、同様のチャレンジをしてみたい方は
教室でご確認下さい。

仕上げはひと手間かけると、より魅力が増します。
お勧めした場合には是非積極的に取り組んで頂ければと考えています。


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常滑焼急須のつまみ

NHK文化センターさいたまアリーナ教室のSさんの作品をご紹介
致します。
常滑焼の急須のつまみが折れてしまっていました。


使用頻度の高い急須は補強が必須になる筆頭でもあります。
殊につまみは蓋を持ち上げる分の荷重がかかりますので、注意が必要
です。
さらに常滑焼は独特の土の特性で接着自体が難しいところがあります。
そこでSさんには念には念を入れた補強を行なって頂きました。

まず断面に穴を開けて頂き、軸を入れてあります。
さらにつまみと本体の関連を強める為に和紙で補強を行なって頂きました。
これだけの作業をして頂くと再破損のリスクはかなり減ります。

Sさんは作業が丁寧で綺麗なので完成した姿は元からつまみの座部分に
金の装飾が施されていたように見えると思います。
返却された持ち主の方のお喜びも伺える作品になりました。


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藍の復活

今夏の酷暑で藍が枯れてしまったと以前のブログに書きましたが、
実は虫の息で残っていた株があったのです。
もしかして何とかなるかもと水やりを続けていたところ、涼しく
なったところで遂に花が咲きました。


問題は受粉するかどうかなのですが、上手くいけば種が取れます。
復活も遂げたことですし期待して待つことにします。


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