柚木沙弥郎の100年

女子美アートミュージアムで行われている「柚木沙弥郎の100年」
展に出かけてきました。

今秋100歳を迎えられた染色家・教育者・デザイナーである柚木沙弥郎さんの
展覧会です。

芹沢銈介氏の型染カレンダーに感銘を受けて染色家の道に入られた柚木沙弥郎
さんの作風は民藝から近年はモダンデザインへと昇華しています。

私の中で民藝=野暮ったいイメージを払拭するには?というのが一つのテーマ
なのですが、柚木沙弥郎さんの変遷はまさにその解答でもあります。

今回の展覧会は50年近く教鞭をとられた女子美での展覧会だけあって、生徒たち
との交流の様子や女子美で取り組まれた幅広の注染染めが取り上げられています。

特に感銘を受けたのが先生と生徒の間のコミュニケーションツールであった制作
ノートです。
単に技法の指導だけでなく制作者としての心を伝えるものでもありました。
その内容は学生にとって「魔法のことば」として伝わり、今も宝物のようにノート
を大切に保管している卒業生が多くおられるとか。

作風から温かい人柄の方であろうと想像はしていたのですが、作品の評価会では
決して生徒を叱ることなく、失敗からも個性や可能性を見つけられたそうです。

私も教えるという意味では同じ立場です。
柚木先生のご様子に近づきたいと感じました。

展覧会は10月17日月曜日までと終了が迫っています。
来年1月13日から4月2日まで目黒区駒場にある日本民藝館でも展覧会が予定
されています。
こちらもお見逃しなく!


カテゴリー: 展覧会•イベント |

IROASOBI

学生時代の同級生であるPAKICOさんのさをり織りの個展に出かけて
きました。

「さをり」とは自分の感じるままに、好きに好きに織る手織りだ
そうで、PAKICOさんは5年前から始めたそうです。
本業はプロダクトデザイナーなのですが、流石の色彩感覚です。
会場は美しい色で満たされていました。

会場のcafe gallery Nは軽食、デザートも美味しいお店です。
私も自家製プリンを頂きましたが懐かしい感じのプリンでもちろん美味
でした。

会期は今月30日日曜日まで。
週末の木・金・土・日のみの開催です。
12:00〜19:00


カテゴリー: 展覧会•イベント |

白蝶貝のアクセサリー

陶磁器の修復がメインの金繕い教室ですが、陶磁器や漆器、
ガラス以外にも直したいと持ち込まれるものがあります。

NHK学園市川オープンスクールのTさんがお持ちになった物も
アクセサリー(ペンダントトップ)でした。

左上の白蝶貝が外れて紛失してしまっていました。
それを厚みのある厚貝から形を切り出して修復されました。

Tさんにとって、このペンダントトップは思い出のあるもので一部が
紛失してしまっても処分が出来なかったそうです。

そういうお気持ちにお応えすべく陶磁器でないものをお持ちになっても
何とか修復方法を考えてご指導しております。
それが蓄積して、かなり変わったものでも対応出来る様になりました。

今後も来るもの拒まずで柔軟に対応して参ります。
ご遠慮なく教室にお持ち下さい。


カテゴリー: 生徒さんの作品 |

GRのTシャツ

ユニクロが毎年夏にTシャツを出します。
今夏は企業コラボで私が愛用しているカメラ RICOH GRシリーズ
が展開されていました。

いい歳してあり得なーい!と散々悩みましたが、結局購入。
ピラティスのレッスンの際に着用しています。
笑ってやって下さい。


カテゴリー: 日常の風景 |

カップの取手を取る

NHK文化センター千葉教室の方の作品をご紹介致します。
コーヒーカップの取手を取られました。


マグカップを始め、カップ類の取手が破損してしまうのは良くあるかと
思います。
取手の金繕の場合、まず取手を持って使いたいか否かが手順の決定に
繋がります。

使いたい場合は破損に合わせて補強の方法を検討しますが、相応に
作業は大変です。

そこで取手の復元は諦めて根本から切り落としてしまい、別の用途で
使うという考え方をする方もおられます。

その場合は取手の痕跡をどう処理するかですが、今回ご紹介の作品は
ドーム型に綺麗に整えられた好例です。

金泥で仕上げられた姿はカップの優美なデザインとも合致しているかと
思います。

取手が破損してしまった場合はまず方針をどうするかご相談下さい。


カテゴリー: 生徒さんの作品 |

固定概念を排除する

NHK学園市川オープンスクールの方の作品をご紹介致します。
小鉢の欠けです。


縁の角がしっかり立った形状です。
このような器は往々にして欠けやすいのが難点です。
案の定、数カ所欠けてしまったのを丁寧に埋められました。

この器は茶系と黒がまだらになった釉薬なのですが、セオリーですと
銀泥をお勧めすることが多いです。
しかし画像の通り金泥がとても綺麗に映えています。

確かに理屈から言って金泥が合わないことはないのです。
そこを固定概念で銀泥で渋くまとめるものと思っていました。

ご紹介の作品は固定概念を覆して下さいました。
お教えする立場として「ねばならない」は禁物と考えを改めています。


カテゴリー: 生徒さんの作品 |

2022年10月期の募集

各カルチャーセンターの10月開講のクラスの空席状況が判明しました。

●10月開講で空席があるクラス
NHK文化センター千葉:毎月第4木曜日 10:00〜12:00  1席のみ
NHK文化センターさいたまアリーナ:毎月第4月曜日 13:00~/15:30~
NHK文化センター柏:毎月第4日曜日 10:00~12:00/13:00~15:00
カルチャープラザ公津の杜:毎月第1月曜日 10:30~/13:30~
毎日文化センター東京(竹橋):毎月第3木曜日 10:00~12:00

●キャンセル待ち
NHK学園市川オープンスクール
毎月第1金曜日 13:00~15:00/15:30~17:30
毎月第2金曜日 15:30~17:30
産経学園ユーカリが丘校:毎月第3月曜日 10:15~12:15/13:00~15:00

●来春募集予定
港北カルチャーセンター:毎月第1土曜日 13:00~15:00
JEUGIAカルチャーセンターイオンモール八千代緑が丘:
毎月第2金曜日 10:00~12:00

NHK学園市川オープンスクールはキャンセル待ちが数十人と多く、2〜3年
お待ち頂く状況です。
ご事情が許すようであれば近隣の教室へのお申し込みをご検討下さい。

コロナ禍第7波も落ち着いたようです。
ご受講をご検討いただけたら幸いです。
教室でお待ちしております。


カテゴリー: お知らせ |

バラバラでも

NHK学園市川オープンスクールのSさんの作品をご紹介致します。
かなりバラバラに割れてしまったお茶碗を接着されました。


15ピースほどに割れたのを接着するのは、かなり大変なことですし、更に
ずれが生じてしまったのを解消するのは難しかったと思います。
それを根気よく作業されたSさんには本当に頭が下がる思いです。

内側が染付、外側が赤絵でタコ唐草が描かれている印象的な絵付けの器
です。
仕上げは内側が金泥で外側は銀泥と変えられました。
更に銀泥は部分的に赤絵の柄を描き起こしておられます。
表裏で表情が違えたのが修復を超えた迫力を持っているかと思います。

ピース数が多い割れだと金繕いをためらわれると思いますが、割れの接着は
金繕いの醍醐味でもあります。
ためらわれることなく挑戦してみて下さい。


カテゴリー: 生徒さんの作品 |

お休み中の成果

藤那海工房 西登戸教室は一般のご家庭を教室としてお借りしている
関係上、このコロナ禍をお休みしたり、時間や人数を減らして対応
してきました。
有難いことに、ご参加の皆様は再開を待っていて下さいました。

お休みしてしまうと作業の手も止まってしまいがちですが、Oさんは
着々と作業を続けて下さり、たくさん完成作品を持ってきて下さい
ました。
主に欠けの器が多いのですが、一気にご紹介したいと思います。




お料理の上手なOさんはお持ちの器も作家ものなどこだわっておられ
ます。
それらを破損しても金繕いして、再度使って下さることはお教えして
いても嬉しいことです。

西登戸教室は今春から通常通りの体制で継続しています。
受講の方も募集していますので、近隣の方はご検討頂けたら幸いです。


カテゴリー: 生徒さんの作品 |

柄を戻す

NHK文化センター千葉教室のSさんの作品をご紹介します。
洋皿の欠けの金繕いです。


縁の金彩の部分が欠けてしまったのを戻され、更に元々の柄を色漆で
彩色して完成されました。

洋皿はSさんの作品のように柄だったり、レリーフがあったりと装飾が
されていることが多いと思います。
それをどこまで再現するかは悩みどころです。

Sさんの場合は柄を描かれることによって金繕いされた部分を目立たせない
だけでなく、金彩と仕上げの金の色味が違うところも緩和されたのでは
ないかと思います。

ついつい手間を惜しんでしまう傾向にあるとは思いますが、もうひと手間
加えるだけで完成度が上がります。
どうぞ前向きにチャレンジしてみて下さい。


カテゴリー: 生徒さんの作品 |