添田亜希子さんのガラス

日本画家・斉藤佳代さんのグループ展でお知り合いになったガラス
工芸作家の添田亜希子さんの個展に出かけてきました。


ブルーグレーのベースにランダムに入った多彩な筋が印象的な花器を
購入させて頂きました。
不定型のフォルムは見る角度で印象を変えます。

実は宙吹きガラスでランダムに色を入れるのはとても難しいのだそうです。
複雑に入ったラインは形、色共に美しいのですが、これは添田さんが
油彩科出身という背景にあるかと思います。

千家古流の生花を12年以上お稽古している私ですが、流儀の形にこだわらず
お花が入れられる花瓶を探していました。
なかなか気に入ったものが見つからなかったのですが、添田さんの作品は
美しさと共に理想の形でもありました。

水を入れると、また色味に変化があるそうです。
お花を入れて飾るのが楽しみです。

添田亜希子さんの「硝子うつわ展」は18日(月・祝)まで。
本八幡駅そばの「三毛猫雑貨店」で行われています。


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講習会「金繕いの世界」

NHK学園市川オープンスクールで「金繕いの世界〜愛着のある
器を甦らせる〜」と題して講習会を行います。

まず金繕いの歴史についてご説明した後、実際の作業について
画像をふんだんに使って解説します。

その後、金繕いの仕上げになる蒔絵体験を行って頂きます。
今回は「桜の花びら」か気軽に取り組める写し絵の「流水紋の置き目」
の選択制です。

お手元の破損した器をお持ち頂ければ、金繕いで修復可能かどうかの
判定も致します。

メディアで話題になっている金繕い(金継ぎ)とはどんなものなのか
覗いてみたいという方には最適な内容です。
ご検討を宜しくお願いします。

7月29日(金) 10:00〜12:00
残席はわずか1席です。お早めにお申し込み下さい!


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お月様

金繕いのご依頼を受けていた小鉢が完成しましたので、ご紹介
致します。


縁の部分にある薄く削げた破片をご自身で接着剤で接着されて
しばらくお使いになっていたそうなのですが、欠けからのびる
ひびに色が入って来てしまい、金繕いをご依頼頂きました。

ひびの汚れは油シミになっていたのを様々な薬品で根気よく
除去しました。
接着剤で接着してしまった破片は剥離しようとすると破損してしまう
ので、あえて外さず別の方法で固定しました。

綺麗になったひびは止めてありますが、目立たなくしてあります。
破片の周りの欠損は丁寧に埋めて金泥で仕上げました。

プラスしたのが染付の柄が繋がるように銀泥の仕上げを足した
ことです。
これは度々ご紹介していますが、硫化すると染付の色と違和感なく
融合する予定です。

ご依頼下さった方はこの仕上がりを「お月様のよう」と喜んで下さい
ました。

実は今回のようにHPのコンタクトから金繕いのご依頼があった場合は、
まずお断りしています。
これは過去に極端な短納期を強いられたり、金繕い代金を安価にする
ように迫られたりした苦い経験から行なっていることです。

なぜ今回お受けしたかというと、頂いたメールにインスピレーションを
感じたからに他なりません。

ご本人様からお許しを頂いてSNSの文章をご紹介致します。
このように喜んで頂けるからこそ仕事を続けていけるのです。

https://note.com/kyo_coco/n/nde1fdb7740a8


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ルピナス

先日のグループ展に出展されていた斉藤佳代さんの扇子です。
画題はルピナス。



斉藤さんが私にはこれが似合うと薦めてくれたのですが、調べてみると
いろいろ繋がりがあることがわかったのです。

プロフィールに記載しているように家の家紋が藤に由来することから、
作品にしても工房名にしても藤にこだわってきました。

ルピナスは花型でもわかるように藤と同じマメ科なのです。
それも別名「のぼり藤」

私の太田流礼法の齋号(師範の資格を取ると頂ける名前)は「鶴昇齋」
といい、「昇る」という字が入っています。

ということでこの斉藤さんの作品は私のところに来るべくして来たと
勝手に思いを深くしています(笑)


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ガラスを磨く

NHK文化センター柏教室のNさんの作品をご紹介致します。
ガラスの器の直しです。



2つ共アンティーク風の型押しガラスの器です。
赤い印のついた先に欠けがありました。

ガラスの欠けの場合、大きさによっては金繕いの技法ではなく、磨き
上げをお勧めする場合があります。
単純にヤスリで磨き上げるだけなのですが、人によって得手不得手が
あるようです。

Nさんの場合、とても向いていたようで、2個共スムーズに磨き上げ
が完了しました。
完成状態を見ると一体どこに欠けがあったのかわからないかと思います。
日常にお使いになる場合、わからなくなるという状態はBestではないかと
思います。

気軽に使いたいという場合は磨き上げにチャレンジしてみて下さい。


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トクサの胞子葉群

この季節トクサの先端には胞子葉群が出来ます。


どこかで見たように気がすると思います。
そう、それは「ツクシ」ではないでしょうか。

それもそのはず、トクサとスギナは同じトクサ科です。
さらにツクシとスギナは同じ株でスギナが栄養茎、ツクシは胞子茎
と役割が別れています。

トクサは主に地下茎で増えていくので、胞子の効果がどのくらいか
わかりません。
しかしツクシのような胞子葉群を見ると、トクサの出自に思いを
馳せて頑張れ!という気持ちになるのです。


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把手をなくす

マグカップの破損で多いのは把手が割れることです。
金繕いする際には直して使いたいかどうかを考えて頂くこと
から始まります。

一つの回答は把手を切り落としてしまうことです。
フリーカップや花器など、用途を変えて使い続けて頂きます。

産経学園ユーカリが丘校のMさんの作品は、切り落としてしまった
例です。


把手の座部分を綺麗にドーム状にならして、青紫色に硫化した
銀箔で仕上げられました。

座の部分は切り落としたとしても破損の痕跡があって、ならすのは
簡単ではありません。
Mさんは丁寧に作業されて出来上がったドーム状の形はそれだけで
美しいものでした。

マグカップに元々描かれていた青い花紋様と同様の色で仕上げたい
というご希望でしたので、私が在庫していた青紫色に硫化した銀箔を
お譲りしたのです。

たまたま5mm角の箔だったので、仕上がった感じが紫陽花の花の
ように面白くなりました。

簡単に切り落とせばとお考えの方、その後の作業が丁寧でなければ
Mさんのような作品は出来ません。
よくよくご検討あれ。


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日本画展 ハシゴ

この時期は日本画家である友人たちがグループ展を開くので、毎年
楽しみにしています。
本日はその展覧会をハシゴしてきました。

●渺渺展
若手作家の集まりによる展覧会。様々なスタイルが見られる。

友人の廣瀬佐紀子さんの作品。
先般の個展に続き、雄大な山岳風景を描いた作品。
空が狭いのは山の迫力を感じながら間近で写生したからこその構図。


合わせて開催されている小作品展は二十四節気をテーマにして
います。
渺渺展では抽象画を描かれていた方が小作品では岩絵具の重なりが
美しい具象画を描かれていたりとチャレンジが見られます。

会期は明日12日日曜日まで。
銀座の東京銀座画廊・林田画廊・ギャラリー和田にて

●こころばえの会
9人の女性作家のグループ展。
今年の試みはお扇子の作品です。
表裏をうまく使った方もおられて、楽しめました。

画像を撮影し忘れました!
会期は本日11日までで、ご紹介できず、残念。


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横浜山手西洋館 花と器のハーモニー2022

コロナ禍で中止されていた横浜山手西洋館の「花と器の
ハーモニー」が再開されました。
久しぶりにイベントに出かけ、エリスマン邸の館長をしている
友人にも会えました。

今回のテーマは「山手の丘のウエディング物語」で各館が違う
スチュエーションで展示を行っています。

●山手111番館 ダイヤモンド婚式「永遠の青と白〜ダイヤモンド婚を
祝う〜」


●横浜市イギリス館 結婚式「青水無月 華燭の典」

●山手234番館 紙婚式<色で魅せる優しい空間>

●エリスマン邸 銀婚式「そして、これからも…」

●ベーリック・ホール 結婚式 未来への懸け橋「希望」

●外交官の家 金婚式 船上の金婚式

●ブラフ18番館 結婚式お二人のご自宅に招いたようなアットホーム
なウエディング


正直にお伝えすれば展示は以前の2分の1と言っていいくらい縮小
されています。
しかし人数制限をし、一方通行で誘導する工夫をして開催に踏み切った
運営側の努力を評価したいと思います。

会期は6月12日日曜日までと短いのですが、近隣の公園の花々も見頃
です。
合わせてお出かけになるといいかと思います。


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新しい魅力

NHK文化センター柏教室のKさんの作品をご紹介致します。
水差しの割れです。


縁の部分がかなり細かく割れてしまい、接着だけでも大変な状態
でした。
この後、接着で生じたズレを根気よく埋められ、金泥で仕上げられました。

鮮やかな緑色の釉薬に金泥が映えています。
複雑に割れた線がアートになっており、新たな魅力が加わったようです。


同時にKさんが仕上げられた作品です。
お猪口だと思うのですが、こちらも味わいのある釉薬に薫銀泥の
仕上げが美しい作品になりました。


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