梅の枝へ

NHK文化センターさいたまアリーナ教室のOさんの作品をご紹介
致します。
鉢の割れを梅の枝に変えて仕上げられました。

割れを接着して欠損を埋めたところです。
この形がまさに梅を彷彿させる形です。
ひと目見て、梅の枝に見立てて仕上げすることをお勧めしました。


接合の線を薫銀泥で仕上げるだけでなく、新たに梅の枝振りも加えて
頂きました。
それに弁柄漆で梅の花を描き加えておられます。
さらに蕊を金泥で入れて頂きました。

枝振りにしろ、蕾・花も梅の特性があります。
蒔絵をされる場合にはきちんとそれを把握してから行う必要があります。

また故実を踏まえて梅は紅梅がセオリーです。
いくら美しいからと言って白梅を選択してはなりません。

Oさんは接合の線で表面の釉薬が欠損して丸く削げていた部分を上手く
咲いた梅の花に蒔絵されました。
蒔絵前後を見比べて頂くと納得の完成形かと思います。

Oさんの作品のようにひと目で「これは◯◯◯にすべき」と判断がつく
ものばかりではありませんが、思いついたら是非チャレンジして頂きたい
と思います。


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箸置きの金繕い

昨日に続きNHK文化センター柏教室に在籍されていたTさんの作品を
ご紹介致します。
割れてしまった箸置きの接着&補強です。

割れてしまったのは画像左下のものです。
金泥の仕上げが数カ所入っているのがお分かりになるかと思い
ます。

平らな形の箸置きだったので、裏面から和紙で補強して頂きました。
手間はかかりますが、再破損の心配なくお使い頂けると思います。

同じデザインの箸置きがあると一つだけ違う印象になってしまうのは
気になるかと思います。
Tさんの場合、破損していないものは三角形の突起部分の釉薬が剥げて
しまっていたので、色漆を使って彩色して頂きました。
4つ並べると違和感がないかと思います。

また食卓で活躍していることでしょう。


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マグカップ取手補強

NHK文化センター柏教室に在籍されていたTさんの作品をご紹介
致します。
マグカップの取手の割れを補強して仕上げられました。

画像でお分かりになるように、かなり取手がバラバラに割れていました。
それを丁寧に接着し、内側から補強を入れて頂きました。

マグカップの取手は破損が多い部位ですが、再度使用したいとなると
補強が必須となり時間がかかります。

Tさんの作品の場合、まず接着が綺麗に収まっている事が成功の第1歩
となりました。
その後の補強の入れ方もとてもスムーズに作業されていたように思います。

これはTさんが熱心に他の方の作業をご覧になっていたことが大きいの
ではないかと思います。
とかく自分の作業に夢中になりがちですが、他の人の作業を自分の作業に
置き換えて考えられるのがTさんです。

カルチャーセンターにお越しになると、たくさんの作例を見られるのが
強みです。
その強みを最大限に活かしてご自分の制作をして頂ければ幸いです。


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金繕いの世界 講習会終了しました

昨日、NHK学園市川オープンスクールで行った「金繕いの世界
〜愛着のある器を甦らせる〜」という講習会が終了しました。

この講習会は前半で金繕いの歴史から実際の作業がどんなものなのか
画像をふんだんに使ってご説明した後、お手元の直したい器が金繕いが
可能なのか判定し、小皿に蒔絵体験もして頂けるものです。


蒔絵体験の様子

今回は従来から行なっている桜の花びらの蒔絵に加え、流水紋の置き目の
選択もご用意しました。




桜の花びらにしろ、置き目にしろ、制作される方によって全く違う作品
が出来上がります。
ご説明する側としても楽しみにしているところです。

金繕いの世界と題して歴史を説明する講演会はオンラインを含めて時々
行なっています。
実際の講座ではなかなかお話できない内容なので、機会がありましたら
是非ご参加頂ければと考えております。


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着彩する

NHK文化センター柏教室のSさんの作品をご紹介致します。
骨董の小皿の欠けです。
裏面ではありますが、欠損を埋めた後、仕上げの上に着彩して
頂きました。


仕上げの金泥で途切れてしまった柄を金泥の上から色漆で
着彩して戻しています。
ちょっとした作業ですが、損なわれてしまった感じが薄れるので、よく
お勧めしている方法です。

コツはやりすぎないこと。
そこはかとなく着彩して金泥のニュアンスを残すことです。

Sさんの作業は、そのニュアンスがとても良く出来ており、大変
高い完成度の作品になりました。

金繕い(金継ぎ)が流行することで、仕上げの状態を主張するものが
多くなっているように感じます。
でもこのような奥ゆかしい主張こそ日本らしい感じがしませんか?

該当する器に出会いましたら是非チャレンジしてみて下さい。


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お皿に金の糸

NHK文化センター千葉教室に在籍していたSさんの作品をご紹介
致します。
ディナー皿の割れです。


まず偶然の妙に驚かされる割れとひびの位置です。
人間が考えられない位置と大きさ。
絶妙のバランスで入っています。

実は接着がずれてしまっていました。
預かり物でしたので、根気良く修正し仕上げられました。

当初、プラチナ泥で仕上げを試みられたのですが、持ち主の方が金泥を
望まれたので変更されています。

やはり金繕いというと一般に金のイメージが強いようです。
預かったものを仕上げられる場合はご希望をきちんと確認するべきだと
思います。

日本だけでなく世界の方が金繕いに魅了される一端がこのお皿で表現
されていると思います。
絶妙さをご堪能下さい。


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柔らかい仕上げ

前回に引き続きカルチャープラザ公津の杜教室のMさんの作品を
ご紹介します。
マグカップの取手の欠けです。

釉薬の雰囲気に合わせて筆ではない道具を使って仕上げをされています。
ほわっと柔らかい雰囲気に仕上がりました。

この方法は何度かご紹介していますが、簡単なようで簡単ではないのが
難しいところ。
必ず説明を受けて練習してから挑んで下さい。

何気なく馴染んでいますが、これはMさんがきちんと欠損を埋められて
いるからこその仕上がりです。
安易に挑めると思ったら大間違いです。

高い完成度になるには相応の努力と時間が必要ですし、どう仕上げたいか
という主体性も必要です。
もちろんご希望を聞いて最適な方法はお教えしますが、全部お任せでは
アドバイスも難しくなります。

日常で「素敵!」と思われたら記憶に留めてみて下さい。
インスピレーションはそこから始まります。


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螺鈿で仕上げ

カルチャープラザ公津の杜教室のMさんの作品をご紹介します。
小さい欠けではありますが、螺鈿を入れて仕上げとされました。

元々の器が黒のマット釉なので、黒漆をベースとする螺鈿が自然に
馴染んでいます。

既製品の小さく顆粒になった螺鈿を使ったとはいえ、小さな欠けに
螺鈿の粒を入れるのは簡単ではありません。

完成した姿は欠けの中に小さな宇宙が内包したようで、ちょっと使う
のが楽しくなる感じになったかと思います。

カルチャープラザ公津の杜教室では他にも螺鈿にチャレンジされて
いる方がおられますが、金属粉で仕上げる蒔絵とは全く手順が違い
ます。

チャレンジしたい方は、まず手順を確認下さい。
なお他所で聞いた方法で着手された続きの説明は、お断りしております
のでご注意下さい。


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オオガハス2022

千葉県の方ならご存知かと思いますが、「オオガハス」が見頃を
迎えています。


「オオガハス」とは1951年(昭和26)に千葉市検見川で発見された古代の
ハスの種から発芽した物です。
発見に尽力された植物学者の大賀一郎先生の名が冠されています。

千葉駅近くの千葉公園に栽培されていますので、徒歩圏内に住んでいた時
には写生したりしていました。
今回撮影の画像は千葉駅改札を出て右側に進んだデッキに展示されている
ものです。

弥生時代以前と推定されている古代ハスなので、原種に近い形を保っている
のではないかと思います。
シンプルな形状に凛とした気高さを感じていまして、何らかの形で作品に
昇華出来ないかと密かに考えています。

開花期はそろそろ終了かと思われますので、ご興味を持たれましたら、
お早めにご見学下さい。
7時くらいまでに現地に辿りつきますと、開花の際の音が聞けるそうです。


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ティーポット取手補強

NHK文化センターさいたまアリーナ教室のOさんの作品を
ご紹介致します。
ティーポットの取手が割れてしまったのを補強して仕上げられました。


白とピンクのツートンで楽しいデザインのティーポットです。
取手がいくつかのパーツに割れてしまっていました。

接着後、取手の内側から補強し、熱い飲み物を入れて耐えられる
強度にして頂きました。

ポット部分に多数ひびが入っていたのも、同時に金繕いされて
います。

ティーポットの他、マグカップなど取手が割れた場合には補強を
お勧めしています。
熱い飲み物が入る器は何より安全性が第一と考えるからです。

補強にはそれ相応の手間がかかるので、お考え次第によっては気をつけて
使うので補強は不要という方もおられます。

しかしOさんの作品のように補強が入っているとわかりにくくデザインに
見えてしまう方法もありますので、安全のために是非補強をご検討
頂ければと思います。


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