月別アーカイブ: 2025年1月
蒔絵皿揃え
先日に続き、NHK文化センターさいたまアリーナ教室のOさんの
作品をご紹介致します。
こちらは金繕いではなく、完品の取り皿に蒔絵を施されました。
グリーンの単色でシンプルなお皿にOさんご自身がセレクトした文様を
蒔絵されました。
Oさんは和の文様に精通されているので、5点のセレクトも秀逸です。
それを黄金分割でしっかり計算して柄の配置を決めています。
使用したのは金泥、銀泥のみです。
それが複雑に見えるのは柄のセレクトとレイアウトの妙だと考えます。
もし同様にシンプルなお皿をお持ちでしたら、このようなチャレンジを
してみませんか?
全く違う器に蘇るのは一緒でも金繕いと違う醍醐味があると思います。
てんとう虫?
NHK文化センターさいたまアリーナ教室のOさんの作品をご紹介
致します。
欠けの金繕いなのですが…
元々は小鉢の欠けだったのですが、弁柄漆を塗り重ねているうちに
盛り上がってきて、ついにてんとう虫型になったそうです。
さすがに触覚はありませんが、黒漆で点々を描き加えて立派な
てんとう虫が完成しました。
来客があると、この小鉢を出されて、お客様が驚くのを密かな楽しみに
されているとか。
単なる金繕いを超えたお遊びですが、楽しまれているご様子が素敵
でした。
湯口絵美子 日本画展
-Golden Afternoon-と副題のついた日本画家・湯口絵美子さんの
展覧会に行ってきました。
湯口さんは友人のお姉様という繋がりで、昨年夏〜秋に箱根・成川
美術館で行われた父娘展も拝見しました。
今回は湯口さんお一人で代名詞のバラの他、様々な花の共演を堪能
出来る充実した展覧会でした。
ご自身で育てている花を生き生きと描かれているのはもちろんですが、
そこに湯口さんならではの“意匠化”が加わり、独自の世界が形成されて
います。
これが見る人を惹きつけて止まない魅力になっているのだと思います。
植物は身近なだけに嘘があるとたちまち破綻します。
例えば蘭の葉に梅の花が咲くというようなのは有り得ない植物ですから、
いくら創作と言っても通りません。
真摯に植物に向き合い写生を繰り返し、それぞれの美しさを抽出された
華麗な世界を堪能下さい。
展覧会は1月21日火曜日まで。
松坂屋上野店7階 美術画廊です。
ちょっと加飾
NHK文化センター柏教室のKさんの作品をご紹介します。
鉢の割れの接着です。
割れを接着後、欠損を埋めて銀泥で仕上げられているのですが、その
仕上げの線を少しだけ装飾されています。
ほんの少しの遊び心ですが、それだけで楽しくなる感じがします。
欠損通りに仕上げられるのに慣れたらKさんのように遊び心を追求
してみてはいかがでしょう。
鯛牙制作 2025
以前にも鯛牙を制作した様子をアップしましたが、このお正月に
新しい物を作りましたので、ご紹介します。
今回は加熱していない鯛の顎のご提供を受けて制作しました。
大きさに多少違いがありますが、合計6本です。
鯛牙とは丸粉で仕上げをしたところを磨いて光沢を出すための道具です。
先端から根本近くと牙のカーブと柔らかさが絶妙に磨きに合うのです。
基本的には藤那海工房の本漆クラスの方を優先にお譲りする予定です。
魚の状態で3kg以上の大きさがあれば、道具としての牙が取れます。
(天然の鯛に限る。養殖物に牙はない。)
ご興味のある方には作り方もお教え致しますので、お問い合わせ下さい。
象嵌の花器
新年最初は私がご依頼を受けた金繕いの作品からご紹介致します。
象嵌の花器の割れです。
象嵌とは器の表面を彫り、その彫った部分に色のちがう粘土を
嵌めこんで模様をつける技法です。
器の表面に模様を描くのとはちがい、粘土そのものの色なので、
模様にメリハリがうまれます。
象嵌はもともと金工や木工芸でよく使われる技法です。
ご覧頂けるように高さ30cm弱の中に大変細かい細工がしてあります。
こちらは持ち主の方が作家さんにオーダーしたものだそうで、そう
いう意味では世界唯一の作品と言えます。
首の部分がいくつかに割れてしまっていたのを接着して欠損を補い
主に金泥で仕上げました。
縁の染付の紺の部分は目立たないように薫銀泥を使っています。
破損してしまったのは仕方ありませんが、金繕いをした箇所が
元々の造形に程よく馴染んでくれたかなと自負しております。