月別アーカイブ: 2024年10月
文様の格 見逃し配信
10月30日、「文様の格」と題した講習会をNHK文化センター千葉
教室とオンラインで行いました。
1時間半、文様の格とその取り合わせ、文様を検討する際に押さえて
おくべき知識をふんだんに盛り込んでお話ししました。
渾身の内容が11月2日から16日まで見逃し配信でご覧頂けます。
あいにく途中で行ったクイズはご参加頂けませんが、内容は十分お楽しみ
頂けます。
御視聴をどうぞ宜しくお願い致します。
ひびを蒔絵
産経学園ユーカリが丘校のNさんの作品をご紹介します。
鉢のひびです。
ひびが縁から斜めに目立つ形で入っており、このまま仕上げをしても
素敵には見えないことが想定されました。
そこでご提案したのが、元々器に入っている葉の形のように蒔絵することです。
内側は栗の葉が増えたようになり、外側は蔦文様風に馴染ませられました。
いずれ銀泥が硫化して、ますます元の絵付けに馴染むと思います。
何か蒔絵を加えたい場合はその器にある図柄を利用するのが基本です。
ただし無理はせず、これだという案がまとまってから着手しましょう。
四田淳三・湯口絵美子 父娘展 雪と薔薇
現在、箱根 芦ノ湖湖畔にある成川美術館で行われている
「四田淳三・湯口絵美子 父娘展」に行ってきました。
荘厳で静謐な雪の塔を描き続けた父・四田淳三さんと娘・
湯口絵美子さんの鮮やかで情熱的なバラの対比が織りなす美の
競演でした。
湯口さんの描くバラは洋花の西洋のエッセンスと日本画の清心さ
が同居する不思議な魅力があります。
このあたりが日本画ファンのみならずバラを描く、もしくはモチーフ
として扱う方の心を捉えて幅広いファンがいらっしゃいます。
箱根観光の際に足を伸ばして頂くと外の喧騒とは隔絶した静かな空間
で作品が堪能出来ます。
芦ノ湖までは難しいという方は来年1月に都内で湯口さんの個展が
予定されておりますので、そちらへどうぞ。
父娘展は11月13日までです。
金繕いから学ぶ 文様の格
「金繕いから学ぶ 文様の格」と題して1日講座を行います。
10月30日水曜日 13:30〜15:00
NHK文化センター千葉教室
近年、金繕いはただ破損を直すだけではなく、蒔絵をプラスして
オリジナリティを求める傾向にあります。
そこで必要になるのが文様に関する知識です。
あまり知られていませんが日本では文様に厳密な格付けがあります。
その知識を踏まえた上で作品に最も相応しい文様を選択すべきでは
ないでしょうか。
この講座では一般の文様辞典にはない知識をご紹介します。
お聞き頂くことで日本文化に対する造詣を深めて頂ければ幸いです。
ご参加をお待ちしております。
◯オンデマンド(リアルタイムでの視聴〜ご都合が良い時に視聴)
花器の金繕い
私が金繕いを承った花器をご紹介します。
象嵌で繊細な柄を入れたものですが、縁周辺が割れてしまって
いました。
破片を接着後、欠損部分を埋めました。
仕上げは縁に金彩が入っているので、基本的に金泥を使用。
縁下の染付部分のみ薫銀泥を使いました。
その結果、程よく馴染んだのではないでしょうか。
この花器は持ち主の方が作家さんにオーダーして作って貰った
ものとお聞きしております。
唯一無二のものとして完成した姿を気に入って下さっていれば
嬉しいです。
金が馴染む
藤那海工房 金繕い教室のTさんの作品をご紹介します。
お抹茶茶碗の割れです。
オレンジ色の枇杷釉に白抜きで雪輪文様が入っている優美な抹茶
茶碗が鳥脚様に割れていました。
周囲に欠損も多かったのですが、これを根気よく埋められて金泥で
仕上げておられます。
枇杷釉と金泥の馴染みがよく、目立ち過ぎず存在感があるのは金泥
ならでは。
Oさんの作品は度々紹介させて頂いておりますが、とても丁寧な作業を
される方です。
その手で作られる美しい下地があってこその美しい仕上がりをご覧
下さい。
「この程度でいいんです。」と諦めがちな方には是非参考にして頂き
たいと思います。
シー陶器・シーグラス 箸置き・アクセサリー作り2024
随分時間が経ってしまったのですが、今年3月に行ったシー陶器・
シーグラスで作るアクセサリー作りのご報告です。
こうして並べてみると、ご参加の皆様それぞれで大変面白い作品が
完成していると思います。
相応の時間がかかる金繕いと違い、1日のワークショップで完成する
のも魅力だと考えています。
とはいえじっくり取り組むのが性に合うので、もう行わない予定?
呼び継ぎにチャレンジ
藤那海工房 土曜日クラスのSさんの作品をご紹介します。
飯茶碗の呼び継ぎです。
呼び継ぎとは金繕いの技法の一つで、共継ぎと呼ばれる元々同じ
器の破片を使うのではなく、全く別の器の破片を欠損部に入れる
接着方法を指します。
Sさんの作品の場合、陶器の飯茶碗に敢えて磁器の破片を入れています。
その結果、本体と入れた破片の厚みが随分違いましたので、主に内側
でその差を調整しています。(内側の接合線が太くなる)
金繕いを習っている方々からすると「いつかは呼び継ぎ」というくらい
憧れの手法です。
というのも呼び継ぎを行うには
1.ある程度欠損のある本体
2.欠損部を埋める破片
が必要になるからです。
特に2.の欠損を埋める破片は意匠性も重要になってきますので、より
ハードルが上がります。
やってみたい、とお考えの方は、上記の2点に該当する器集めから
始めてみてはいかがでしょう?
集め方については、教室でご相談にのっております。