月別アーカイブ: 2024年2月

輪島キリモトさんのこと

新年早々起こった大きな地震は遠く関東に住む私にも衝撃的な
出来事でした。
幸いお付き合いのある方は早々に無事が確認出来ました。
輪島キリモトさんもHPで皆様無事と知り、せめて復興の一助に
なればと日本橋三越の店舗に出かけました。

購入させて頂いたのは「山道(やまみち)長手皿」。
拭き漆の弁柄色です。


緩やかに弧を描く枠は遠山に見立てたものだそう。
お盆としても使えるし、もちろんお皿としても使える汎用性
の高いもの。
以前から気になっていたのですが、この機会に求めさせて頂き
ました。

スタッフの方にお聞きすると皆様無事とは言え、ご自宅が全壊
するなど、今は生活再建が最優先となっているとのこと。
この長手皿も被災を免れた品が限られたルートを辿って東京に
入ってきたものだそうで、3枚から好みの木目を選べたのは奇跡
と言ってもいいようです。

現在はお直しを承れる状況ではないそうですが、少しでも早く
輪島が漆器の製作が出来る環境が整うのを願うばかりです。


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ガラスのお猪口

産経学園ユーカリが丘校のNさんの作品をご紹介致します。
ガラスのお猪口のひびの直しです。

セオリー通りひび止めを行って頂いたのですが、透明なガラス
なので、ひびが斜めに入っている様子がハッキリとわかってしまう
状態でした。

そこでNさんは断面が見えてしまう範囲をプラチナ箔で大胆に
カバーしました。
元々リボンが閃いたようなラインが入っていたので、それと呼応
するようなデザインになり、元からこの状態だったかのようです。

Nさんの作品は度々ご紹介させて頂いていますが、いずれもアイディア
に富んだ素敵な作品ばかりです。

今回の作品もガラスの金繕いをチャレンジしようとお考えの方には
参考になったのではないかと思います。


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手塚雄二展

現在、日本橋三越で行われている「手塚雄二展」に行って
きました。
NHKの日曜美術館でご覧になった方もおられると思い
ますが、この展覧会は東叡山寛永寺根本中堂天井絵奉納
記念として企画されたものです。

まず日本橋三越の本館1階ホールに6×12メートルという長大な
天井画が展示されていました。

本来なら高いお堂の天井に設置されているものが床置きされて、
間近で見られるという貴重な体験から始まりました。

大きさ、板に描くという初めてのチャレンジを感じさせない阿吽
の2頭の龍は大迫力。
様々な角度で堪能させて頂きました。

加えて第ニ会場の作品展示です。盛り上げたマチエールと金銀箔で
奥行きのある空間表現、岩絵具の丹念な塗り重ねで表された
美しい色彩。
会場内に「清けし、幽けし」という言葉がありましたが、その世界
に浸れる作品群でした。

手塚先生は東京芸大で指導にあたられたそうですが、生徒はこの
ような指導者に巡り会えて幸せだったのではないかと思います。

会期は3月4日月曜日まで。
お買い物ついでに、ご覧になれるボリュームです。


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難しい釉薬

藤那海工房 西登戸教室のKさんの作品をご紹介致します。
お茶道具の杓立てです。


割れたのを接着した後、欠損を埋められ薫銀泥で仕上げておられ
ます。
難しかったのが工程ではなく、釉薬についてしまった新うるしを
除去することでした。

確かにマットな釉薬なのですが、稀にこのように除去がしにくい
場合があります。

効果があるアイテムがいくつかありますので、もし取りにくいと
思われましたら、ご相談下さい。

苦労の末、Kさんの作品は美しいフォルムの杓立てに薫銀泥のライン
が鮮やかなものになりました。


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本漆クラスの募集

藤那海工房 本漆クラスの募集を行います。
毎月第1木曜日 13:00~15:00です。

当工房の本漆の工程は一般的なものとは違う独自の手法です。
スペースの関係上、2名様という少人数制でじっくり学んで
頂きます。

工房の場所は西船橋駅から徒歩11分。
受講開始は2名様が申し込まれた時点となります。
→お陰様で満席になりました。
 3月からのカルチャーセンターの募集をお待ち下さい。

申し込み、お問い合わせはHPのコンタクトのページから
お願いします。

今年は金繕いにチャレンジしてみようという方のご応募を
お待ちしております。


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「本阿弥光悦の大宇宙」展

現在、東京国立博物館で開催されている「本阿弥光悦の大宇宙」
展を見てきました。

光悦は琳派の始祖として著名なので、皆さんご存知かと思います。
琳派のくくりで展覧会は多く行われていますが、光悦のみという
のは珍しいかと思います。

ですので私としては初見の作品も多くあり、「信(信仰)」「漆」
「刀」「書」「陶」と光悦の業績をカテゴリー分けした展示を
面白く拝見しました。

天才観測というキャッチコピーほど深掘り出来ていないのではないか
という批判はあるかと思いますが、時代背景や光悦がどのくらい
関わったのかは不明という解説は現段階の報告として正直なところ
だと考えます。

同時代の方の作品が展示されているので、光悦がいかに異才か感覚的に
わかりやすいと思います。まずは光悦を堪能しようくらいの感覚でご覧
になるのもいいかと思います。

会期は3月10日日曜日まで。
事前予約の必要はありません。


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JEUGIAカルチャーセンター八千代緑が丘教室のTさんの作品を
ご紹介致します。


陶器の板皿の割れの接着です。
表面が凸凹なので、亀裂を埋めるのが大変でしたが、繊細な線を
描かれ金泥で仕上げられています。

今回工夫して頂いたのがススキの穂と思われる穂先の部分です。
色漆・白で点描して頂き、元の絵付けと馴染ませています。

植物に関わらず具象的な絵付けを遮るように仕上げの線が走って
しまうと損なわれた感じが否めません。
そこで常套手段としてお勧めしているのが、今回のような着彩です。

ほんの少し手を加えることによってイメージがガラリと変わります。
お勧めした場合には是非チェレンジしてみて下さい。


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うるしとともに

現在、泉屋博古館で行われている「うるしとともに
くらしのなかの漆芸美」という展覧会を拝見して来ました。

住友コレクションの漆芸品の数々を用いられてきたシーンごとに
ひもとき、漆芸品を見るたのしみ、使う喜びについてもう一度
考えたいとした展示です。

漆芸技法について丁寧に解説されているので、改めて勉強したいと
いう方には最適ではないかと思います。

同時開催として近年、寄贈された染付大皿も展示されています。
斬新で大胆な意匠は大皿ならではです。

散策がてらお立ち寄りになるのには、よろしいかと思います。
2月25日日曜日まで。


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