月別アーカイブ: 2024年1月
チューブに注意
新うるしの教室に来て下さっている方にお願いします!
最近、弁柄に誤発注や間違えて購入する方が出ています。
画像でご覧頂けるように、チューブの弁柄の色名がシールに
なっています。
これが最近粘着力の弱いシールに変わったようで、剥がれやすく
なっています。
剥がれてしまうと「濃赤」という色名が出てきます。
なのでシールが剥がれてしまったり、わざわざ異物として剥がして
しまった方が私からお求めになるにしろ、ご自分で購入されるにしろ
間違って濃赤を求めになってしまうケースが出てきました。
初心者でお入りになった際、お渡ししているのは「弁柄」です。
「濃赤」は漆器の直しで色が合う場合でなければ必要ありません。
ただ間違って購入してしまっても問題ありません。
顔料が酸化第二鉄という石の粉である点は同様で、単なる色違いと
考えて頂ければ差し支えないのです。
しかしオレンジ系の渋い赤である「弁柄」に対し、「濃赤」は
ダークな濃い赤なので、色の違いで驚いてしまうのは否めません。
出来ればお間違えのないよう、お求め下さい。
シンメトリー
NHK文化センター柏教室のAさんの作品をご紹介致します。
おかずなどを入れる器の蓋です。
割れ方が美しく、シンメトリーです。
時々神がかり的な破損の仕方があるのですが、まさにAさんの器は
それに該当します。
美しくシンメトリーに割れたラインは仕上げの金泥が黒い釉薬に
映えて神々しさすら感じます。
実は内側が粉々に割れていて、こちらを整えるのが大変だったかと
思います。
しかし表の美しさの為なら頑張れたのではないでしょうか。
この人為の及ばない美しい造形があるから金繕いはやめられないと
思うのです。
贈答の礼と日常作法2024
礼法の方で「贈答の礼と日常作法」の講習会を行います。
日本では人生の折り目折り目に贈答を行うという習慣があります。
これが今日では見た目の美しさや新奇さが先行してしまい、本質が
忘れられてしまっています。
この講習では人前で恥をかかないための日常作法と包み・結びの
基本的な形式を学びます。
本質を学ぶことによって何となく曖昧にしていたことを明確にし、
日本文化の深淵に触れられます。
残席1名様ですので、お早めのご参加をご検討下さい。
毎月第4火曜日 13:00〜15:00
2024年2月27日火曜日スタート 全6回
講習費 ¥30,000
場所 藤那海工房(西船橋駅より徒歩11分)
内と外
前回に続きNHK文化センター柏教室のAさんの作品を
ご紹介致します。
接着をした器ですが、内側と外側の仕上げ方法を変えた
意欲作です。
前回と同じく鳥脚状に割れたものですが、外側の仕上げは高台の
柿色に合わせ、内側は縁近いところに出ている白いラインに
合わせられました。
苦労したのが外側の柿色で、ご本人が納得する色になるまで色漆
を混合しては塗りを繰り返しました。
なかなかバッチリ合うというのは難しかったのですが、意図は
十分伝わるものと思います。
固定概念で仕上げは内側も外側も同じというイメージがありますが、
使用の際に同時に見ることはありません。
Aさんのようにそれぞれベストの選択をしてもいいのです。
Aさんの作品は自由な発想でOKと見せてくれる好例になりました。
釉薬の肌に合わせる
今年最初にご紹介するのはNHK文化センター柏教室の
Aさんの作品です。
お抹茶茶碗の割れを接着されたのですが、工夫されたのが
仕上げの仕方です。
割れ方はいわゆる「鳥脚」状で接着には特に問題がないもの
でしたが、Aさんが悩まれたのが欠損を埋める作業と仕上げ
です。
画像でもご覧頂けるように釉薬がクレーターのように穴あきが
あり、埋めづらい上、仕上げもしずらいというものなのです。
欠損を何とか元の印象に合うように埋められたあと、凸凹の
表面を平滑に仕上げるのは難しいという壁にぶつかりました。
そこでAさんが選択したのが釉薬の雰囲気に合わせてランダムな
仕上げにするというものです。
手順としては欠損を一旦仕上げた後、特殊な筆を使ってニュアンス
のある感じにされています。
悩まれた結果たどり着いた結論ですが、攻めの姿勢が面白い効果
を産んだのではないかと思います。
私は先生としてアドバイスを出来る限り致しますが、生徒さん自身
が悩まれて考え出したアイディアに勝るものはないと考えています。
まずはやってみたいとおっしゃってみて下さい。