月別アーカイブ: 2023年9月

海外産の漆器

藤那海工房 西登戸教室のOさんの作品をご紹介致します。
東南アジア系が産地の漆器の直しです。

日本にはない独特の意匠が素敵な漆器です。
特にお使いになってはいないとのことですが、置いておくだけで雰囲気が
ある一品です。

こちらはまず取手の部分が裂けてしまっていました。
これをただ接着するだけではなく、糸を巻いて仕上げられました。
釣り具で使う巻き方だそうで、巻き始めと巻き終わりがわからない
ところが、より綺麗に見せています。

このほか物入れ部の痛みもしっかり直して完成とされました。

実はこのもの自体は同じ教室のIさん所有のもので、返却されたご本人が
喜ばれたのは勿論です。

ご自分のものを直すのが金繕い教室ではありますが、面白いもので
自分が破損させたものは同じように欠損するのです。
ですので預かって直しを行うと自分が壊さない形で破損しているものを
直すことになるので、とても勉強になります。

その他、お返しするとなると作業も丁寧になるので、そこも腕を上げる
要素になります。
是非お友達、ご親戚から預かって直してみましょう。


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マグカップの補強

藤那海工房 西登戸教室にいらしたIさんの作品をご紹介致します。
マグカップの割れに補強をしたものです。

マグカップの取手周辺が割れたケースです。
再度使用を考える場合、接着後にしっかりとした補強が必要です。
Iさんの場合、縁に近いところで糸を巻いて頂きました。

この方法ですと樽にタガが嵌めてあるように、再度剥離してしまう
のを押さえます。
Iさんは細い糸を必要最小限の巻き数で収められました。

もちろん単純に糸を巻いてあるだけではありませんし、糸の材質も
問題になってきます。

同様のケースの場合、まずは手順をご相談下さい。
詳細についてご説明致します。


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映画「バカ塗りの娘」

お勧め下さる方があって映画「バカ塗りの娘」を見てきました。

「バカ塗り」とは津軽塗を指します。
バカに塗って、バカに手間暇かけて、バカに丈夫なことから「バカ塗」
と言われます。

NHK「大奥」で徳川家光を演じ好評を博した堀田真由演じる津軽塗
職人を目指しつつも引っ込み思案な娘が、ある挑戦で道を開くまでの
様子を描きます。

私としては漆を混ぜたり、漆刷毛で漆を塗る音がきっちり捉えられている
こと、48工程もある津軽塗の制作の様子が丁寧に追われているところに
感銘しました。

漆塗の職人では食べていけないという厳しい現実が示されますが、文部科学
大臣賞を獲ったこともある名工の祖父の漆はやってもやっても、さらに
追い求めたいというセリフに奥深さを感じました。

弘前の四季の移ろいの中、大きな事件が起きる訳でもなく淡々と日常を
追う映画です。
派手さはありませんが、日本の漆芸の中でも多彩な技法を持つ津軽塗に
親しんで頂ければと思います。


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2023.10月 新規募集

2023年10月から受講が出来るカルチャーセンターの教室を
ご案内致します。

産経学園ユーカリが丘校:毎月第3月曜日 10:15~12:15/13:00~15:00
NHK文化センターさいたまアリーナ:毎月第4月曜日 15:30~17:30
NHK文化センター柏:毎月第4日曜日 10:00~12:00
カルチャープラザ公津の杜:毎月第1月曜日 10:30~12:30/13:30~15:30

いずれも募集は若干名です。
お申し込み・お問い合わせは該当するカルチャーセンターにお願いします。

お陰様で金繕い(金継ぎ)が人気講座となっております。
早くご受講になりたい方は近隣にこだわらず空席のある教室でのご受講を
お勧め致します。


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可愛いツマミ

藤那海工房 西登戸教室のOさんの作品をご紹介します。
急須のツマミの金繕いです。


突起しているツマミは急須に限らず破損してしまいやすい部分です。
摘むだけでなく移動も伴うので、強度が高い「のりうるし」での接着
をおすすめしています。

接着前に補強、接着後もさらに補強という時間を要する手順になり
ますので、使用頻度や思い入れの深さなどで作業手順を決めて
参ります。

Oさんの作品の場合は、元々の可愛らしい鳥型のツマミが元通りになり、
接着面も隠れて目立たない完成になりました。

ツマミが紛失していても対応ができますので、是非ご相談下さい。


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身体を整えるやさしいピラティス

敬愛するインストラクターのMidori 先生の教室がNHK文化センター
千葉教室で募集を行っています。


「ピラティス」の名称は聞いたことはあっても、どんなものなのか
ご存知ない方もおられると思います。
元々は負傷兵のリハビリのためにジョセフ・ピラティスさんが考案した
エクササイズですが、バレリーナから火がつき、アメリカのスターが
取り入れたことによって知名度が上がりました。
日本でも芸能人に愛好家が多いのをお聞きになったことがあるかも
しれません。

体幹の筋肉を鍛えることによって身体のバランスを得るものですので、
リラックスイメージの強いヨガに対してエクササイズという側面が
強くなります。

私はMidori先生にご指導頂いて10年以上になりますが、確実に変化が
ありました。
一番は体型です。
体幹がしっかりすることによって年齢的に肥満に陥ることから免れている
と思っています。

また身体のバランスが調整されるので、不要な痛み(50肩、ぎっくり腰、
ひざ痛など)からも遠ざかっているようです。

鍼灸師の資格を持つMidori先生の身体の具合を見極める力は他の追従を
許しません。
講座のタイトルにあるように「やさしく」身体を整えて下さると思います。
ご興味のある方は、ぜひ受講をご検討下さい。

第2・4水曜日 13:00〜14:10
NHK文化センター千葉


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傷なりの美しさ

前回に続き藤那海工房 西登戸教室のKさんの作品をご紹介致します。
恐らく水指の蓋ではないかというものの接着です。


目の荒い陶器なので割れ口も揺らぎがあります。
それをKさんは自然に傷の通り仕上げられました。

仕上げの際にご質問が多いのですが、線が太い部分と細い部分がある
場合、全て太く仕上げるのか否かという問題です。

これに関しては太いところは太く、細いところは細くと傷の通りに仕上げ
られるのをお勧めしています。
というのも自分の思う通りに仕上げの線は変えられるのですが、あまりに
作り過ぎるとかえって不自然な感じを受けるからです。

これは誰しも割れた状態を目にしていて、知らず知らずのうちに割れの
ラインというものが頭に残っているからだと思われます。

Kさんの作品は元々の割れ方も美しかったのですが、自然に仕上げられた線も
美しく、大変素晴らしい作品になりました。

下の画像はKさんが一気に仕上げられた作品達です。
他にも精力的に新しい試みに挑まれているので、またご紹介したいと思います。


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窯傷の大鉢

藤那海工房 西登戸教室のKさんの作品をご紹介致します。
大鉢の窯傷の金繕いです。


窯傷とは焼成段階で生じてしまった破損のことです。
古くは茶道の世界で「神の成せる技」とされ、敢えて傷の痕跡を
残すように金繕いしました。
これは窯傷独特の形状があってこその修復方法とも言えます。

茶道具でなく日常の器であれば痕跡を残さず、綺麗に金繕いするという
のも考え方の一つです。
どのように直すのかは、ご自身の判断にお任せしています。

Kさんの場合は日常の器でしたので、やや低めではありますが、しっかり
欠損は埋めてあります。
銀泥の仕上げで直径40cmほどもある大鉢のワンポイントになったのでは
ないでしょうか。


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