NHK文化センター柏教室のSさんの作品をご紹介致します。
マグカップの欠けです。
画像を見てお分かり頂けるかと思いますが、Sさんは妥協のない作業を
される方で高い完成度を誇ります。
今回、悩まれたのは仕上げです。
このマグカップはご友人からの預かり品なのですが、最初のご意向として
は釉薬に馴染むように漆の色でというオーダーでした。
昨今、金泥が高額になっていることもあり、漆の色で仕上げたいという
ご希望が多くなっています。
しかしこれは意外に難しいもので、今回のマグカップのように風合いの
ある感じを狙うとなると、更に難易度が上がります。
金繕いの仕上げが金や銀という金属の色を用いるのは日本人が金属粉を
用いる蒔絵を得意としていたことに起源があるかとは思いますが、金属粉
が何にでも合う無敵の素材色であることが最大の理由だと考えています。
漆の色が簡単とお考えになっていたら、それは間違いです。
金属色を使った方が失敗がなく、簡単です。
金額面も大きな問題だとは思いますが、安易に色漆に飛びつかれません
ように。