月別アーカイブ: 2023年2月
切り替える
NHK学園市川オープンスクールのSさんの作品をご紹介致します。
マグカップの割れの接着です。
Sさんにご提案したのが仕上げで地の部分と絵柄の部分の金属粉を
変えることです。
ベージュがかった地の部分は金泥で、花の図柄の部分は薫銀泥で
仕上げて頂きました。
これはよくお勧めする方法ですが、仕上げの線が具象的な図柄の上を
通過する場合には効果的な方法です。
特にSさんのマグカップは図柄が深い染付の色だったので、薫銀泥が
馴染んで目立ちません。
仕上げの日を全く別の日にする必要がありますが、これだけで図柄が
切られたようになるのを緩和出来ます。
ちょっとした手間をかけることでステップアップします。
似たようなケースの場合には是非ご検討下さい。
取手の行方
NHK文化センターさいたまアリーナ教室のOさんの作品を
ご紹介致します。
前回に引き続きマグカップの取手ですが、やはり切り落とされた
ケースで、その取手部分の活用例です。
金具に固定されて帯留になりました。
これは単発のイベントで行っていた「箸置き・アクセサリー作り」の
応用です。
マグカップ本体の方は割れ口を滑らかにして螺鈿を貼られています。
元々の染付の柄と同様の青味になりますので、こちらも新しい魅力に
なりそうです。
Oさんの作品のように元の形に戻す以外の方法も金繕いとしては「アリ」
だと思います。
自由な発想でお考え下さい。
マグカップの取手
産経学園ユーカリが丘校のAさんの作品をご紹介致します。
マグカップの取手を外されました。
2個共、取手が割れてしまっていました。
取手が割れた場合、選択肢は
1.マグカップとして使えるように補強を入れて復元する
2.思い出の品として形を戻す(使用はしない)
3.取手は外してしまい、別の形で使う(フリーカップ、ペン立て)
の3つがあります。
どれを選ぶかは持ち主の方の考え次第なので、私の方からお願いする
ことはありません。
Aさんは選択肢の3を選ばれ、取手は外すことになりました。
この場合、どうしても取手の座の部分は残りますので、それをどのように
するかがポイントになります。
Aさんは画像左のカップは座を少し残す形に、画像右の物は根元から
外されました。
この塩梅も割れた形、カップ元々のデザインなどを考え合わせて決めて
いきます。
最終的には座の部分は素地を守る釉薬がなくなってしまったところを
何らかの形で滑らかにして仕上げを行います。
どの方法を選択してもそれなりの作業は生じます。
ご自分が元マグカップをどのように使いたいのかで方針を決めて下されば
よろしいかと思います。
広い面積の仕上げ 洋食器編
産経学園ユーカリが丘校のTさんの作品をご紹介致します。
洋皿の大きな欠けです。
大きい長楕円のお皿は湾曲もあり、複雑な形をしています。
欠けは表から見ると分かりませんが裏から見ると幅3cmくらいの
大きな欠けでした。
Tさんは複雑な形を妥協することなく形を作り込まれました。
その徹底振りが完成度の高さになっています。
特にサイズが大きい欠けの仕上げが難しいのは教室に来て下さっている
方々なら良くお分かりかと思います。
綺麗な仕上げには仕上げのテクニックばかりでなく完璧な下地作りが
物を言います。
そのような金繕いに挑んでいる方はTさんの作品が励みになるかと思い
ます。
シー陶器・シーグラス
昨年行ったイベントで作って頂いた産経学園ユーカリが丘校の
Mさんの作品をご紹介致します。
プレゼントを前提にされていまして、2個のイメージを合わせて
います。
染付の磁器と赤系と色のイメージを合わせておられるところと、
中心に配置されたパーツから放射状にレイアウトがお揃いという
のがオシャレですね。
シー陶器とシーグラスという素材を使うことで、なかなか体験出来
ない「呼び継ぎ」という技法が短時間で作れるのが魅力です。