月別アーカイブ: 2020年9月
「金繕いの世界」講演会終了しました
本日、NHK文化センター千葉教室で行われた「金繕いの世界」の
講演会が終了しました。
ご参加頂いた皆様、ありがとうございました。
このコロナ禍の時期に30名様ものご参加を頂きましたこと、本当に嬉しく
思っております。
先般のオンライン講座からさらに内容をブラッシュアップして皆様の前で
お話しし、さらに実物展示も行いました。
会の終了後、たくさんの方とはお話し出来ませんでしたが、ご満足頂けた
ご様子に安堵しているところです。
来月、NHK学園市川オープンスクールでも同様の講座を行いますが、既に
こちらは満席となっております。
今回、何らかの形でご参加が叶わなかった方にも、次の機会がご案内出来ればと
考えております。
蔦
港北カルチャーセンターのTさんの作品をご紹介致します。
欠けの仕上げを器元々の柄に合わせて加飾されました。
ベースを金泥で仕上げて、葉脈、蔦を銀泥で仕上げられています。
蔦が巻いている様子も描かれているので、より器元々の柄に馴染んでいる
と思います。
ちょっとしたことですが、描き加えられることでより自然な感じになります。
仕上げに一手間加えてみませんか?
2020年10月期の募集
10月から受講できるカルチャーセンターの教室をご案内致します。
場所によっては新型コロナウィルス対策の為、定員を低く抑えている
ところがあります。
受講をご希望の方はお早めにお申し込み下さい。
●募集がある教室
NHK文化センター柏教室
毎月第3金曜日 13:00〜15:00 1席のみ
毎月第4日曜日 10:00〜12:00
毎日文化センター(竹橋)毎月第3木曜日 10:00〜12:00
産経学園ユーカリが丘 毎月第3月曜日 13:00〜15:00
●その他の教室をご希望の方
キャンセル待ちか、都度お問い合わせを受け付けている状態です。
各教室にご確認下さい。
花器の金繕い
NHK文化センター柏教室のKさんの作品をご紹介致します。
笠間焼の花器の金繕いです。
ひびが2本入っていました。
正面の両サイドにひびが入っていたのを止め、表面の欠損を埋めた後、
焼締のザラザラとした感じに合わせて点々と銀泥で仕上げられました。
銀泥が硫化してくると焼締に馴染んでくる予定です。
通常通り仕上げをしてしまうと直線でしっかり線が見えてしまいます。
それを極力目立たないように点々と仕上げをされた訳です。
実はある道具を使ってほとんどの作業を行なった後、手描きで点を加えた
という大変な労作でもあります。
器の状態に合わせて仕上げの表現を変えるという柔軟な考えは他の
方にも参考になると思います。
和巧絶佳展
現在、パナソニック汐留美術館で行われている「和巧絶佳展」に
出かけてきました。
サブタイトルは「令和時代の超工芸」です。
工芸というジャンルにとらわれることなく、工芸素材を用い、工芸技法を
駆使して工芸美を探求する1970年以降に生まれた12人の作家の展覧会です。
拝見してみてアートと工芸(使うもの)の境界線という印象を受けました。
工芸は使う上での配慮が求められますが、今回展示のものはアート寄りなので
作家によっては解釈に悩むものもあります。
個人的な好みになりますが、截金をガラスに施した山本茜さんの作品、蛍手を
突き詰めた新里明士さんの作品に惹かれました。
お二人とも伝統的な技術を独自の手法で転換されており、美しさと新しさが
あると思いました。
会期は9月22日(日)までなので、今週末は混雑する可能性があります。
美術館の案内を確認の上、お出かけ下さい。
同じように描く
NHK文化センター柏教室のUさんの作品をご紹介致します。
縁に生じた欠けです。
画像のほぼ正面に欠けがありました。
それを器に元々描かれている赤い実と葉の絵付けを同じように描いて
隠してしまわれました。
赤と緑の色が新うるしで出しやすい色だったこともありますが、全く
違和感がありません。
金銀で仕上げるのもいいですが、このような攻めるアイディアは大歓迎
です。
金繕いには「こうでなければならない」はありません。
どうぞ自由に発想してみて下さい。
ガラスのオーナメント
NHK文化センター柏教室のYさんの作品をご紹介致します。
ガラスのクリスマスオーナメントの金繕いです。
下段の部分に縦にひびが入っていました。
そのひびを止めた後、表面の欠損を埋めて、銀泥で仕上げられました。
あまり違和感のない感じで仕上がったと思います。
オーナメントというと食器ではありませんが、金繕いの技術の応用で
修復が出来ます。
何か直したいものがあれば、とりあえず教室にお持ちになってみて下さい。
経験のないものでも、ご相談にのります。
「金繕いの世界」オンライン講座終了しました
本日、私としても初めてのオンライン講座を開催しました。
既に金繕いの講座を受講中の皆様もたくさんご参加頂き、ありがとう
ございました。
自宅から配信していた様子です。
PCの手前に置いてあるのは書き込みだらけの原稿です。
時間配分を計算し何度も練習をして本番に臨んだのですが、実際は練習通りに
行かないもので、想定していた時間配分は途中から飛んでしまいました。
しかし皆様にご満足頂けたようで安堵しているところです。
今回はZoomの中でもウェビナーという講演会に特化した形式で、演者の方から
受講者は全く見えません。
配信中はひたすらPC画面に向かって喋るので、ある意味孤独な戦いでした。
このコロナ禍でオンラインというものが一般的になりましたが、やはりお話しする
なら反応を確認したいものです。
改めて人との繋がりを感じました。
形を合わせる
NHK文化センター柏教室のIさんの作品をご紹介します。
縁が薄く削げたような割れでした。
元々、市松文様など四角をモチーフにした柄が入っているマグカップ
です。
薄く縁が削げたように割れた場合、ドーナッツ型になってしまうので、
なかなか素敵には仕上がらないのですが、Iさんは四角に形を整える
ことで欠損部を違和感なく馴染ませることに成功しました。
縁の金彩も金箔を綺麗に貼り直し、さらに繋がりが出来ています。
何らか蒔絵をすることで欠損部のイメージを変えることをお勧めして
いますが、シンプルに幾何学文様に整えるだけで十分美しいと気づかせて
くれた作品でした。