月別アーカイブ: 2020年7月
本漆で薫銀泥
藤那海工房で本漆の金繕いをなさっているKさんの作品をご紹介します。
飾り皿の欠けの修復です。
少々分かりにくいのですが、下の画像で縁の真ん中あたりが欠けていました。
欠損を埋めて、薫銀泥の焦茶で仕上げて頂いています。
私は本漆で金繕いをされるのであれば、粉固めが出来る丸粉で行うのがいいと
考えています。
これは使用と洗浄を繰り返す日用食器ならば、その方が耐久性があるからです。
しかしKさんの器は飾り皿ということで、目立たないことが再優先でした。
ですので色が一番合う薫銀泥の焦茶という選択になったのです。
実際、置かれる方向で見ると欠損部は全く目に入りません。
でも目立たない作業がしてあることで納得感が大きいと思います。
ケースバイケースで手段を変えるのが金繕いの醍醐味とも言えます。
桐箱のススメ
先般、私が割ってしまった貝合せの修復が完成したと記事にしました。
コロナ禍でなかなか返却が叶いませんが、お返しするにあたって桐箱
に収めることを考え、上野の箱義桐箱店に出かけました。
桐箱は衝撃、火災から大事なものを守るとして伝統的に使われてきたので
高価というイメージが強いと思います。
実は既成サイズで選べば、さほど高額ではありません。
今回、大きい貝と小さい貝に合わせて2箱購入していますが、¥1,000にも
及びません。
購入にあたっては実際収めるものを持参してお店の方に探して頂くのが
いいと思います。
HPでも商品の案内はされていますが、想像以上にたくさんのサイズがあり、
お店の方にお任せするのが一番かと思います。
今回の品はウコン布に包んでお返しします。
こちらもウコンの防虫・防菌効果で大事なものを守ります。
何と言っても桐箱のスペシャル感は格別です。
私のお詫びの気持ちも伝えてくれると思います。
西洋骨董の金繕い
NHK文化センター千葉教室のSさんの作品をご紹介致します。
西洋骨董の金繕いです。
画像の物の中には180年前の貴重な器もあります。
それぞれ欠けやひびがあったものを一気に仕上げて来て下さいました。
金繕いは日本発祥のものなので、洋食器は金繕いはしないものと思われて
いる方もおられます。
しかしSさんの作品をご覧頂ければ全く違和感がないのがお分かり頂けると
思います。
今後、更なるレベルアップとしては欠けがたくさんあるのを目立たせない
工夫を検討して頂くことです。
完成したところで又、ブログで紹介させて頂ければと思っております。
ひび3本
よみうりカルチャーセンター大宮教室のFさんの作品をご紹介致します。
巣ごもり期間中に仕上げて来て下さいました。
同じ角度には入らなかったのですが、湯呑にひびが3本入っています。
大きくはない湯呑に3本もひびが入っていると目立ってしまうので、
元々の柄の弁柄色を色漆で再現して頂きました。
この方法は度々ブログで紹介していますが、ほんの少しの手間で欠損が
目立ちにくくなります。
特にFさんの湯呑は弁柄色だったので、手がつけやすかったと思います。
成功の第1歩はFさんの金泥の仕上げが丁寧に細い線で描かれていることです。
これにちょっとした工夫が加わって高い完成度となりました。
今日までに次々完成作品を撮影させて頂く機会に恵まれました。
講座が再開されたと実感が深まります。
都内近郊の新規感染者が増えていますが、何とかこのまま踏みとどまって
欲しいと願っています。