以前、着手段階の画像をアップしていますが、貝合せの破損の修理の
ご依頼を受けていた物が完成しました。
取り落としてしまわれたそうで、裂け目が出来てしまう程の深刻なひびでした。
それをまず新うるしで、ひび止めしました。
表面に残った深刻な溝を埋め、傷を枝振りに見立てて紅梅を蒔絵しました。
これは内側の貝絵の画題が源氏物語から取られた物だったので、それに合わせて
考えました。
内側はご依頼主様が描かれた松の絵が入っています。
画像右上に溝があったのですが、こちらは内側と同じ画材で分からないように
作業しました。
金繕いというより絵画の修復作業ですね。
このような作業が出来たのは、ご依頼主様が元々描かれた画材が今回の作業を
助けてくれる物だったからです。
貝絵の画材によって修理の方法が変わりますので、なさりたい場合はあらかじめ
ご相談下さい。
こちらの品は緊急事態宣言が出ている今、返却を見合わせています。
事態の収束が叶いましたら、ご依頼主様の元へ帰る予定です。