月別アーカイブ: 2020年3月
横浜港の桜2020
今日はNHK文化センター横浜教室の助手で横浜に出かけました。
日本丸の手前の桜は咲いていましたが、街路はまだ蕾でした。
例年、桜を見ると春が来たと気持ちが明るくなったのですが、今年は新型
コロナウィルスの影響で不安感が優っています。
今はひたすら皆様のご健康を願うばかりです。
朱泥の急須
藤那海工房 西登戸教室のOさんの作品をご紹介致します。
急須として最もポピュラーな常滑焼きの朱泥の注ぎ口の割れを
金繕いされました。
急須の注ぎ口は突出しているので、壊れやすい場所です。
さらに朱泥は独特の性質から活着が悪いという問題点があります。
そのためOさんにはしっかり下準備して頂いて、接着して頂きました。
接着後、欠損を埋めて頂き、金泥で仕上げられました。
朱泥に金が映えて美しいです。
注ぎ口は再度ぶつけて破損させる可能性があります。
さらに慎重を期すならば和紙で補強をお勧め致します。
もう一点、小鉢のひびです。
単純にひびに金泥だけだと目立ちすぎるということで、通過している葉型の
染付柄にも金泥で輪郭線を入れられました。
これが程よい効果でひびの線が緩和されています。
ほんの一手間ですが効果が高く、参考にして頂きたい工夫です。
デジタルスケール遍歴
漆芸に限らず材料の重量を正確に測らなければならない場合が
あります。
そのために購入したのがデジタルスケールです。
最初は画像左のキッチンスケールを使っていました。
これだと小数点以下が計測出来ません。
微妙な調整が出来ないと生徒さんから指摘を受けて購入したのが
真ん中のものです。
しかし某国製のせいか精度が低いとクレームが…
コンパクトで軽く、持ち運びも楽だったのですが(涙)
これ以上はやはり国産だろうと購入したのが一番右のものです。
調整用の重りもついており、カバーや袋もしっかりしています。
まだ使い始めたばかりなので、評価はこれからです。
今度こそ上手くいくといいのですが。
夜店の思い出
NHK学園市川オープンスクールのIさんの作品をご紹介致します。
お母様が子供の頃、夜店で買った磁器製の小物入れです。
欠けが生じていましたが、処分出来ずにお持ちになっていたものを
金繕いされました。
昭和の頃の絵付けが愛らしく、処分出来ずにおられた気持ちがわかります。
欠けだけでなく、ツマミに描かれていた花柄も復元されました。
このように思い出が蘇るというのが金繕いの世界だと思います。
母娘の交流もお聞きしていて嬉しいお話でした。
この他、ちょっとした欠けの器も金繕いされています。
こうして蘇らせることを積み重ねていくのを楽しんで頂ければと考えています。
筆に癖をつけない
ある程度の時間使い続けた筆は、薄め液に長い時間浸し続ける必要が
あります。
ただ薄め液の瓶にそのまま筆を入れてしまうと、穂先が曲がって癖が
付いてしまいます。
NHK学園市川オープンスクールのKさんがとてもいい工夫をされていたので、
ご紹介します。
薄め液に丁度よく穂先が浸る位置で止まるようにクリップで止めている
のです。
この方法だと穂先に癖がつかずに長い時間浸しておけます。
実は穂先のコンディションが悪くなる原因は、筆の洗い方が不足している
ためなのです。
長く線が引けないとか、穂先が割れてしまうとか、そんなことに心当たりは
ありませんか?
穂先に何となく粘り気があったり、根元に固まりがあったりするのです。
酷い場合は穂先からボロボロと固まった新うるしが出てくることがあります。
このような状態はある程度の時間、薄め液に漬け込んで、しっかり台所洗剤で
洗い直すと復活します。
そのためにはこの筆の固定方法は大きな助けになってくれると思います。
金箔貼り皿
カルチャープラザ公津の杜教室のSさんの作品をご紹介致します。
1日講座などで行なっている「金箔貼り皿」を制作して下さいました。
こちらはシンプルな構成で金箔を貼るというカリキュラムです。
構図を検討して頂く際に黄金分割の手法も学べる一石二鳥の内容です。
金箔が映えるので晴れの日のテーブルには最適です。
Sさんの作品もシンプルな構図ですが、これにお食事を盛って頂くと
華やかになるのではないかと思います。
金箔貼り皿は通常の教室ではなかなか実現しませんが、ある程度やって
みたいという方がまとまればリクエストにお答えしています。
もう1点は小さい猪口の割れの接着です。
全体は金泥で仕上げられていますが、染付の人物の部分は銀泥に変えて
あります。
銀泥が流下してくると馴染んで目立たなくなります。
人物をまたがる破損は痛々しい感じがしますが、馴染ませるようにすると、
その感じが緩和されます。
公津の杜教室は以前のセブンカルチャークラブからカルチャープラザへ
リニューアルされました。
以前と変わりなく講座を行なっております。
新規の受講も承っておりますので、ご検討宜しくお願い致します。
カルチャーセンター再始動
2週間、休講していたカルチャーセンターの講座ですが、本日、
産経学園ユーカリが丘教室から再始動しました。
出来うる限りの対応をして、ご不安のないように努めておられます。
私自身も健康に留意し、万全の態勢で伺います。
よかったらお越し下さい。
お願い
発熱、風邪様の症状があるなどの場合は、受講をご遠慮下さい。
作品例ファイル
突然の休みを有意義にしようと鯛牙の次に取り組んだのが「作品例」の
ファイルです。
拙著「金繕いの本」にも載せられなかった技術に取り組んだ生徒さんの
作品をまとめたものです。
何事も百聞は一見にしかずというように、言葉で説明するのには限界があります。
私自身が試作したサンプルなども用意していますが、既に取り組まれた生徒さん
の画像を見て頂くのも有効な手段と考えています。
持ち歩いているカメラのデータを探して見て頂いていたのですが、さすがに量が
多くなって探すのに手間取るようになってしまいました。
そこでチャレンジされることが多いテクニックをまとめたファイルを作成しました。
見たいという方にはお見せ致しますので、お申し付け下さい。
いよいよ明日16日月曜日からカルチャーセンターの教室が再開致します。
各カルチャーセンター共、出来うる限りの対策をして皆様をお迎え致します。
もちろん私自身も万全の体調で伺います。
ご無理は申し上げませんが、前向きなお気持ちでお出で頂けたら幸いです。
お教室でお待ちしております。
パーツが足りない
器が割れた時、どんなに回収を頑張ってもパーツが足りないことが
あります。
実は意外にも大きなパーツが足りないのは問題にならないのですが、
厚みを形成する間が足りないというのは注意が必要です。
上の画像は現在、私が金繕いでお預かりしているお皿です。
裏面から見るとパーツが揃っているように見えるのですが、間が随分
足りません。
今回の場合、パーツの安定感が良かったので接着が可能でしたが、不安定な
場合は工夫が必要です。
どういう状況なのかで対応策が変わりますので、接着の作業を始める前に
必ず仮組みをしてパーツの過不足、安定感を確認して下さい。
「多分大丈夫」で踏み切ると後のリカバリーに苦労します。
硫化で出る味わい
先日に続きNHK学園市川オープンスクールのKさんの作品をご紹介
致します。
徳利の口縁が欠けたのを金繕いされました。
欠けたところを埋め、銀泥で仕上げてあります。
欠けた範囲が大きく、目立ち過ぎる可能性が高かったのですが、銀が渋く硫化
ことで元々の釉薬に馴染み、自然な感じに仕上がりました。
仕上げ次第で完成の印象が変わります。
どのような感じを望まれるのか、ご自身のものなのか、お預かりのものなのか、
勘案すべき要素を合わせてお考えになるのが良いかと思います。
最近は金銀をブレンドしたもの、銀を人工的に硫化させてあるものなど、販売
されているもので変化をつける方も多くなりました。
悩まれるようならばサンプルを作っておりますので、ご相談下さい。