月別アーカイブ: 2020年2月
2020年4月期の募集
今年の4月から受講開始出来るカルチャーセンターをお知らせ
致します。
春から金繕いを始めてみませんか。
カルチャープラザ公津の杜 毎月第1月曜日 10:30〜12:30
港北カルチャーセンター 毎月第1土曜日 13:00〜15:00
NHK文化センター千葉 毎月第2火曜日 10:00〜12:00
産経学園ユーカリが丘教室 毎月第3月曜日 10:15〜12:15/13:00〜15:00
毎日文化センター東京 毎月第3木曜日 10:00〜12:00
よみうりカルチャーセンター大宮 毎月第4月曜日
13:00〜15:00/15:30〜17:30
NHK文化センター柏 毎月第4日曜日 13:00〜15:00
詳細については各カルチャーセンターにお問い合わせ下さい。
その他の教室についてはキャンセル待ちになる予定です。
コツコツ作業
よみうりカルチャーセンター大宮教室のOさんの作品をご紹介
致します。
Oさんはコツコツ作業をするのがお好きなだけあって、バラバラに
割れてしまった器も見事完成に漕ぎ着けました。
本体に対して取手が大きいところが愛らしいカップの割れです。
かなりバラバラに割れていたのですが、取手部分には損傷がなく、かなり
荒目の素地だったので、特に補強は入れて頂きませんでした。
しかしバラバラだったことで欠損も多くあり、それらを埋めていくのは
大変だったかと思いますが、とても美しい仕上がりです。
仕上げの線がアートに見えてくる程です。
お抹茶茶碗の割れです。
こちらはバラバラに割れていただけでなく、底の角に当たるパーツが
紛失していました。
その部分を別の素材で補い、銀泥で仕上げられました。
仕上がっているとわかりませんが、欠損を埋めるだけでも“大工事”でした。
Oさんの根気に敬意を表したいと思います。
磨き過ぎず
藤那海工房で本漆での金繕いをなさっているMさんの作品をご紹介
致します。
今回、仕上げて下さったのは作家物の器です。
両方共、銀丸粉です。
新うるしの蒔き放ちの仕上げと違い、本漆は生漆で固めて磨き上げて
いきます。
生漆で固めることで耐久性が上がりますが、色味が暗くなり、研ぎ破りの
リスクも負います。
Mさんの作品の場合、器がざっくりとしていたので、あまり磨き上げずに
完成としました。
次のステップとしては蒔き下漆をより平滑に塗って、研ぎの手間を減らす
ことかと思います。
ざっくりとした器だけではなく、磁器の繊細な器にも対応できるように
なって頂きたいと思いますが、まずは完成品が出来たことを喜び、使って
頂きたいと思います。
アール・デコ
NHK文化センター千葉教室のSさんの作品をご紹介致します。
いずれもひびが入ったところを加飾したものです。
まずは二股に分かれたひびの入ったマグカップです。
片側が顔型のレリーフがあるところにひびが差し掛かっていました。
そちらをトンボで加飾し、もう片方は花を蒔絵されました。
イメージは幾何学文様をモチーフとしたアール・デコということですが、
イメージ通りに仕上がったのではないかと思います。
もう一点は器の底にひびが入っていたものです。
唐突に底だけにひびが入っていたので、表側にある柄の一部を取る感じで
加飾されました。
ご本人としては不本意な部分もあるようですが、表の柄を利用したことで
唐突感は拭われていると思います。
Sさんは西洋骨董に造詣が深い方なので、アール・デコという発想は当然の
ことでした。
完成したものを拝見して、そのお考えが正解だったと見て取れます。
器に流用出来る柄がない場合、器全体のイメージから柄の方向を考えるという
のは参考になるのではないでしょうか。
カゴ型
NHK文化センター柏教室のTさんの作品をご紹介致します。
カゴ型の器の割れを金繕いされました。
画像の左上あたりが割れてバラバラになっていました。
1本は3mm程度の細いカゴ型になっているので、接着自体も難しかった
のですが、その後の欠損を埋めるのが大変でした。
隙間は手はもちろんのこと、筆などの道具も入りにくいのです。
とにかく欠損は埋めなければなりませんので、Tさんは根気よく作業
されました。
いよいよ仕上げになっても作業は困難を極めました。
割れの線は繋がっていなければ不自然なので、適当には出来ないのです。
頑張られた結果は画像でご覧になれる通りです。
苦労の程が伺えないくらい、さりげなく完璧に仕上がっています。
1日講座 日程変更
先日、HPとブログにてお知らせしました1日講座の日程ですが、
NHK文化センター様のご都合により、日程が変更になりました。
5月14日木曜日 10:00〜11:30 です。
既に先のご連絡の日程で計画を立ててしまった方には、伏してお詫び
申し上げます。
1ヶ月以上先の変更になりますが、改めてスケジュールをご確認頂けたら
幸いです。
今回好評であれば他の教室でも行いたいと考えてはおりますが、今後の
機会は不明です。
千葉近郊の方には是非今回の講座のご受講をご検討下さるよう、お願い
致します。
2/21からWEB先行予約
2/27から窓口・電話予約開始
幻の墨
かな書をしていて、どう頑張っても濃く墨色が出ず、悩んでいました。
その結果、墨を変えようと決心し、購入に出かけました。
ある書道具店で勧められたのが、もう廃業してしまった墨屋さんのもの
でした。
廃業してしまったという言葉だけが耳に残っている状態で購入したのですが、
実はこれが「幻の墨」とまで言われる和田栄寿堂の墨だったのです。
榊莫山先生の「墨」という著書で、日本画壇の巨匠ー川合玉堂、小林古径、
横山大観などがこぞってオリジナルの墨を注文したとあります。
莫山先生の著書が書かれた昭和56年の段階で、当代の方が後継に困っていると
悩まれていました。
墨作りの現場は真っ黒になって、灯した火を絶やさないように少しずつ煤を
取るという過酷なものです。
身内といえども後継を頼むのは難しいでしょう。
実際に使ってみて少し擦るだけで濃い色が得られ、細線は鋭く、枯れた線は
味わいがあり、墨の違いだけでこんなにも変わるものかと驚きました。
今までの墨とはすっかり勝手が違ってしまったので、使いこなすには時間が
かかりそうですが、貴重な墨に敬意を表しつつ頑張りたいと思います。
華麗な加飾
先日に続きNHK文化センター柏教室のAさんの作品をご紹介致します。
Aさんは今までも美しく欠損部分を蒔絵して下さいましたが、今回の
作品も華麗です。
香蘭社のお皿です。
ひびが入っていたのですが、それをそのまま仕上げてしまうと、とても
目立つこと。
そして真っ直ぐの線を描くのが難しいことを悩まれていました。
その結果、全く筆を使わず仕上げをされています。
直線ではなく、ぼやっと柔らかい線になっているのは、そのためです。
これがお皿にあった元々の柄に合い、違和感なく仕上がっています。
取手が見えないのですが、マグカップです。
縁に生じた欠けの形が良くなかったので、どう仕上げをするか考えて
頂きました。
その結果、元々カップに入っていたチューリップの形で隠されたのです。
先に銀泥でチューリップの形を仕上げ、花びらを金泥で描き起こして
おられるのも秀逸です。
2点とも素晴らしい工夫ですが、特にお皿の柔らかい線は参考にされたい
方がおられると思います。
具体的な手順は教室でご質問下さい。