月別アーカイブ: 2019年10月

著名盆栽鉢の金繕い

個展開催前に盆栽鉢の金繕いを納品していました。
いずれも著名な作なので持ち主の方に了解を得て、ご紹介しようと
思います。

まずは徳川家に繋がる四国の藩主の方の持ち物だった楕円型の鉢です。
ひびが2本と破片の接着を行いました。

破片は一度接着剤で接着されていたのですが、これがズレていました。
これを剥離し、接着し直して欠損を埋めて金泥で仕上げてあります。

名工ではなく素人の作ではないかという鉢の鄙びた味わいと金泥が呼応して
見所になったのではないかと思います。

次は葛明祥の大型の楕円型の盆栽鉢です。
ひびが入っていたのを止め直し、金泥で仕上げました。

葛明祥は、清朝乾隆・嘉慶年間(1736年-1820年)に活躍した宜興窯の陶工
です。
濃い青の特徴的な流れや濃淡のある海鼠(なまこ)釉の陶器を製作しました。
「葛明祥造」の印が底にある盆栽の盆や鉢、急須、花瓶、火鉢などが造られて
います。

こちらもご自身で接着剤を流し込み、パテで溝を埋められていました。
しかし接着剤は全くひびに入っておらず、パテも劣化してボロボロになって
いました。

2つ共、歴史のある盆栽鉢なので、金繕いの際の注意点として汚れを落とさない
ようにということがありました。
あらゆる手段を使って経年の味わいを残しましたが、持ち主の方がひびを止める
ため接着剤を流し込んだ際に剥がれてしまった物は元に戻すことは出来ません
でした。

金繕いというと食器のイメージが強いと思いますが、同じ陶磁器である鉢も修復
可能です。


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マグカップ把手を残す

NHK文化センター柏教室のKさんの作品をご紹介致します。
マグカップの把手の割れです。

マグカップの把手は割れやすい部分です。
その金繕いの仕方は、また飲み物を入れて使いたいか否かという
点で変わってきます。
Kさんの場合は、少し残して手掛けにするという方法を取られました。

手掛けにした部分を丸く研いで危なくないように加工し、銀泥で仕上げ
られました。
センスがあるのが、下に残った座の部分の仕上げです。
実は表にフェルトのような起毛の柄が入っているのですが、この柄と
合わせた色に新うるしの色を調合されました。

新うるしの色で仕上げる場合はあり得るのですが、美しく見えるかどうか
よく検証する必要があります。
そういう意味でKさんの作品は上手く使われた例と言えます。
漆の色で仕上げたいという方は参考になさって下さい。


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生徒さんの作品

個展会場で好評だった一つが生徒さんの作品画像を貼ったパネルです。

これはブログでも紹介している生徒さんの作品の中から加飾をされている方、
画像として金繕いの箇所がわかりやすい方の作品を90点選んで制作して
あります。

スペースの関係上90点と限りがあった為、撮影させて頂いた全ての作品が
ご紹介出来ずに大変残念でした。
ご紹介出来なかった方には大変申し訳なく思っております。

集大成しますと圧巻だったこともあり、写真集にして欲しいなどのご要望を
頂きましたが、現在のところ予定はありません(笑)

また台風の影響や体調不良などの理由で会場にお越しになれなかった方から、
工房まで出向くので作品を見せて欲しいとか、ブログで紹介して欲しいとの
ご要望を頂いておりますが、こちらも考えてはおりません。

と申しますのも会場に来て下さった方は万障お繰り合わせ頂いたのはもちろん、
台風後交通が十分に回復していない中、電車が止まっては進む状態でも
お越し頂いた方など一方ならぬご苦労の上来て下さった方がおられるのです。
そのような方がおられるのに安易にブログに掲載することは出来ません。

展覧会は一期一会。
例え台風でも同じ機会は得られないとご理解頂けたら幸いです。


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正倉院の世界展

現在、東京国立博物館で行われている「正倉院の世界」展に出かけて
来ました。
副題に「皇室がまもり伝えた美」とあるように御即位記念の特別展です。

今回の展示で目玉は「黄熟香(蘭奢待)」だと思います。
私は実物を初めて拝見しましたが、想像していた以上に大きさがあったこと、
天下の名香と言われるだけあって、ただの木材とは違う何かを感じるもの
でした。

技術的に興味があったのが課程も紹介されていた「螺鈿紫檀五絃琵琶」です。
螺鈿、鼈甲で作られた装飾部分は本当に美しいものでした。


画像は撮影OKの別の復元模造品

今回、宝物をどのように守ってきたのかという展示もされていました。
中でも「塵芥」には驚きました。
収蔵品から落ちた残片も処分せず、大正時代から100年かけて丁寧に分類し、
未だ知られていない情報を内包するものとして分析されているのです。
この途方もない作業によって私達は貴重な品を拝見出来ているのだと実感
しました。

11月6日より後期で展示替えが行われるので、また出かけたいと考えて
います。


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器の柄で隠す

NHK文化センター柏教室のHさんの作品をご紹介致します。
マグカップのひびと接着です。


表側で見て左側は小さな破片の接着でした。
破片の周囲に欠損があり、ドーナツ型になっていました。

右側は内側にひびが生じていたのですが、これが口をぎゅっと結んだような
線状の形になっていました。

両方ともエレガントなカップの柄とは違和感があるものでした。
そこでHさんにカップにある柄からお好みのものを選んで頂き、破損を埋めた
上からかぶせるように仕上げて頂きました。

柄は外から内側に折り込んだようになっており、元から金で柄が入って
いたかのように仕上がりました。
Hさんご本人の満足度も高かったようです。

破損の修復から、さらに発展した手法です。
違和感のある破損が生じてしまった方には、とても参考になると思います。


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第3回生藍染め大会2019

今年3回目の生藍染めを行いました。

1年草の藍はそろそろ終わりを迎える時期になっています。
本来は9月末に染められるコンディションだったのを、個展の関係で
今日まで延びてしまっていました。
かなり葉の状態が良くなかったのですが、右の青は良く染まっています。
左側は1回目の染めで色が浅かったのを、さらに染め重ねました。

今年の生藍染めは個展の際に使う敷き布を染める目的で行っていました。
狙い通り先般の玉ねぎ+生藍青で緑色に染まった分も含めて、大活躍
してくれました。
個展をサポートして下さった方から、自然の草木染めなので違う色でも
とても合っていると指摘がありました。
全くその通りで、自然の力を再認識しました。

もう1回分くらい染められそうなので、近日また行う予定です。
これらは来年、赤系の色を重ねて紫色が染められないかとチャレンジする分
です。
きっとこれも今までの色と合う色になるはずです。


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個展終了しました

昨日、個展が終了しました。

大型台風が襲来ということで予定を早めたり、交通機関の回復を狙って
ご来場頂き、最終的に222名様もの方にご覧頂けました。
深く感謝申し上げます。

自分が想像していた以上に来場の皆様に喜んで頂き、これほどの喜びは
ありません。
頑張って良かったの一言です。

個展開催においては設営・撤収、受付とたくさんの方にサポートして
頂きました。
この場を借りて厚く御礼申し上げます。
ご来場の皆様の喜びは皆様のものです。

残念ながら日程の調整が出来なかったり、交通機関がどうにもならなかった方
から次の機会をと言って頂いておりますが、あまりの満足感のために今後の
ことは白紙です。


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10/12の個展会場について

台風で個展の状況に影響が出ています。
昨日の終了後、会場を非常事態体制に変更してきました。


非常事態体制の会場

本日10/12、ギャラリーは入り口のインターフォンで呼んで頂くと
会場にお入りにはなれます。
しかし交通機関の乱れから、私が在廊することは断念致しました。
大変申し訳ありません。

明日は交通機関の回復を見計らって会場に入る予定ですが、ギャラリー
自体は本日同様、11:00からお入りになれます。

ただ終了時間の15:00に変更はありませんので、もし明日お出でになる
ようでしたら、お気をつけ下さい。

12日にお越しになりたいとお伺いしていた方がたくさんおられたので、本当に
残念に思っております。


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個展始まりました

本日10月9日水曜日より個展が始まりました。


会場搬入の様子

「金繕いの本」に掲載の作品から、今まで作り溜めた作品を24点、貝絵作品を
4点展示しております。
初日の今日は主催者不在にも関わらず多数のご来場を頂き、御礼申し上げます。

残念ながら週末の12日は台風襲来が予想されております。
開場時間を短縮することを検討しておりますので、お早めのご来場をお願い
致します。


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