月別アーカイブ: 2019年6月
ミキモトのシュガーポット
お預かりしていたミキモトのシュガーポットをお返ししました。
本体部分が大きく3つに割れていました。
お嬢様が幼い時に割ってしまったのを木工ボンドで接着していた
という微笑ましいエピソードをお聞きしています。
時間の経過のせいか、木工ボンドを剥がすのに時間がかかりました。
これは水に浸せば外れると考えていたので、勉強になりました。
時間がかかったのが角の大きな欠損でした。
複雑な断面の欠損を木片で埋め、内部の形として違和感なく成形する
ため、丁寧に作業を積み重ねました。
ちょっと工夫したのが、柄の再現です。
これは教室でもしばしばやって頂いていることですが、様々な柄が
入っているのを仕上げの線が遮っていたので、その部分を再現
しました。
依頼主の方はもちろん、割ってしまったお嬢様にも喜んで頂いて
改めてこの仕事の素晴らしさを感じたご依頼でした。
藍の分植2019
先に種を蒔いた分が10cm程の大きさに成長したので、分植しました。
今はジョウロからの水の勢いに負けてしまうようなひ弱さですが、高さ
60cm、直径60cmもの大きさに成長するので、プランターには2株しか
入れられません。
昨年の失敗を反省して、植え込み時にオルトランというアブラムシなどに
効果がある薬品を散布しました。
10日程後に蒔いた分は全て発芽しましたが、まだまだ小さい状態です。
何とか大きく育って欲しい…今はひたすら願う気持ちです。
盆栽鉢の金繕い
よみうりカルチャーセンター大宮教室のSさんの作品をご紹介致します。
盆栽鉢の金繕いです。
小さい鉢ですが、割れてひびが入っていました。
鉢の場合、植える植物の根張りと冬場に鉢が含んだ水分が凍結し、再度割れて
しまう可能性があります。
そこでSさんの盆栽鉢もひび止め、接着後、欠損を埋めた上で内側に和紙を
貼って頂きました。
和紙を使うと言うとどなたもびっくりされますが、Sさんの作品でご覧
頂けますように、上からしっかり新うるしを塗り重ねて「漆含浸和紙」の
状態になっています。
ですので水密性も問題ありません。
Sさんはとても作業が綺麗な方なので、通常の仕上げになる金泥の部分は
もとより、内側の和紙を貼った部分もこげ茶色で完璧に仕上げられました。
これで見た目も使用上も心おきなく使って頂けます。
詳しい手順は昨年私がご協力しました雑誌「盆栽世界」2018年7月号に
類似の破損状態のものが掲載されていますので、参考になさって下さい。
ミニサイズ
高さ6cm弱、3.7mlのミニサイズのタバスコをNHK文化センター千葉
教室のYさんから頂きました。
巷ではミニサイズのものが流行っているそうで、私もミニサイズのカッター
など持っています。
しかしタバスコにもミニサイズがあるとは思いませんでした。
どうやら持ち歩いて使う用途のようです。
ところで頂戴したのはタバスコが金繕いの道具だからです。
すでに教室でお使いになった方もおられます。
何に使うのかは教室でご質問下さい。
ヒントは何かの代用として使うということです。
一輪挿しの金繕い
NHK文化センター柏教室のMさんの作品をご紹介致します。
一輪挿しの割れの接着です。
頚部が割れてしまっていました。
接着後、欠損を埋め、銀泥で仕上げられています。
まだ銀泥が仕上げ立てで白いので、一輪挿しの元の柄と合っています。
これが硫化してくると地の色に合ってくるので、目立たなくなると思います。
このように銀泥の場合は変化を想定して仕上げるのが大切ですが、変化を
楽しめる仕上げでもあります。
現状の白い状態でもとても綺麗なので、撮影させて頂きました。
サロネーゼとは言えない
自宅で教室を開いている人を「サロネーゼ」と言うそうです。
私もそういう意味ではサロネーゼと言えるかもしれませんが、
自分としてはそんな自覚はありません。
教室にご参加の方は講座時間直前にお見えになり、終了時間が来ると
手早くお帰りになります。
講座終了後に優雅にお茶という感じではなく、皆様金繕いの作業に
集中なさっている感じです。
私としての自慢はご参加の方が皆様とても人柄がいい方ばかりだと
いうことです。
住む場所もお仕事も今までの経緯も全く違う方々の集まりなのに、教室では
和やかにおしゃべりされています。
現在、工房の教室は本漆のクラスは満席です。
新うるしのクラスが第2月曜日に行っているクラスに空席があります。
見学も受け入れておりますので、ご興味のある方は「コンタクト」の
ページからご連絡下さい。
講座の開始はいつからでも結構です。
ご連絡お待ちしております。
渺渺展2019
6月は日本画家の友人達がグループ展を行うので、お誘いが楽しみな季節です。
廣瀬佐紀子さんが参加している「渺渺展」に出かけてきました。
渺渺展は様々な場で活躍する日本画若手作家の集まりによる展覧会です。
お互いテクニックなど情報交換も出来、作家同士でも貴重な体験になる
と聞いています。
廣瀬佐紀子さんの作品です。
迫力ある山の風景ですが、単にあるがままを描いたとは言えません。
廣瀬さんの画力と筆致の力強さがなければ、この表現は出来ないと思います。
渺渺展は本展と小作品展、素描展の3箇所で構成されています。
この3つを見ると作家がどのようにして本作に達したのか、過程や思考の経過を
辿れるようになっています。
ちなみに私は本展の大作を見てから素描、小作品と回りました。
会期は明日9日までです。
直前のレポートで申し訳ありませんが、銀座にお出かけの方は是非お立ち寄り
下さい。
横浜山手西洋館 花と器のハーモニー2019
毎年出かけている横浜山手西洋館のイベントに出かけてきました。
今年のテーマは「開港160年 山手今昔 想いを馳せて…」です。
●山手111番館 classical1926〜modern2019
●ベーリック・ホール Jeux de Fleurs -花遊び-
●ブラフ18番館 flowers born from wood
全体の感想としては、かなり満足感があったと言えます。
館それぞれが鮮やかな花の色に飾られていて楽しめました。
特に男性の華道家が多かったせいか、空間をダイナミックに使った花活けが
印象的でした。
私なりのベストを選ぶとすれば、横浜市イギリス館でしょうか。
色合いが綺麗だったことと、寝室のコーディネートが今までにない感じで
記憶に残りました。
会期は今週末9日日曜日までです。
周辺の港の見える丘公園や山手イタリア山公園も花がいっぱいですので、
散策も楽しいかと思います。
是非お出かけ下さい。
福々しいトクサの新芽
ピラティスを教えて頂いているMidori先生から譲って頂いたトクサが
福々しい新芽を出しています。
大トクサに見間違えたのかと思うほど立派な新芽なので、思わずMidori先生に
遺伝子が違うのですか?と質問してしまいました。
勿論、遺伝子の違いではなくて、Midori先生が私に株を渡す前にしっかり肥料を
与えていたからなのです。
総じて地植えより鉢植えの株の方が育ちがはかどらないものなのですが、肥料の
効果がこれほどとは思いませんでした。
トクサの育て方については、お悩みの方が多いので、しっかりMidorim先生に
ご教示頂き、皆様にもお伝えしたいと思います。