月別アーカイブ: 2019年3月

本漆の金繕い

私の主宰している藤那海工房では、本漆での金繕いもお教えして
います。
その本漆クラスのOさんの作品をご紹介致します。
小鉢の欠けです。

器の風合いに合わせて、あまり金粉を磨き過ぎず仕上げられました。
小さな欠けですので、このご判断は適切だったかと思います。
目立ち過ぎず、いい塩梅で馴染んでいるかと思います。

私共の本漆の金繕いの手順は、一般的な本漆の工程とは異なる部分が
あります。
伝統を重んじつつ合理化出来るところは簡単にして、より取り組み
易くしています。

これから本漆クラスの方もどんどん完成品が出てくると思います。
都度ご紹介して参りますので、お楽しみに!


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三椏の花2019

先日、刷毛の江戸屋さんに出かけたついでに小津和紙さんにも
立ち寄りました。
昨年のブログにも書きましたが、今年も三椏(ミツマタ)が花を
咲かせていました。

三椏はジンチョウゲ科の落葉低木で、枝先が三つに分かれることから
「ミツマタ」の名があります。
花の香りも沈丁花に近いものでした。

和紙の三大原材料として知られていますが、日本に入って来たのは
最も遅く、近世になってからです。

優美で緻密な肌になることから印刷効果がよく、かつては紙幣として
使われていました。
金箔の間に入っている箔合紙も三椏です。

小津和紙さんには栽培が難しいと言われる雁皮も植えられています。
花が咲くなら是非見てみたいと思っています。


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レリーフも復元

私自身が金繕いし、先日お返しした煎茶茶碗をご紹介致します。


片手に収まる小さいお茶碗ですが、小さい破片もある割れでした。
工夫したのが表の花形のレリーフです。
盛り上げて花が描かれているのですが、ちょうど割れが入って、複数箇所が
欠損していました。
それを丁寧に復元し、花の部分だけ白金泥(プラチナ)で仕上げてあります。

和洋問わず、形も様々にレリーフのある器は多くあります。
金繕いの際にそれをどこまで再現するかは悩まれるところかと思います。
しかし極力再現を心掛けられますと、格段に完成度は上がります。

返却後、関係者の方々から完成の状態に大変ご満足頂けたとお礼状を
頂戴しました。
このように喜んで頂けると本当に励みになります。
レリーフの再現を疎かにせず、粘って頑張って良かったです。
こちらこそ、ありがとうございました。


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普通のことになるように

港北カルチャーセンターのTさんの作品をご紹介致します。
それぞれ欠け、割れ+ひびを欠損通りに直されたものです。



基本の技術をしっかりと確実に金繕いなさっているので、全く違和感
なくご覧になれるかと思います。
金繕いの仕上げが元々のもののように感じられるかもしれません。

それはTさんが丁寧に作業された結果です。
ご本人としては少々直したい部分はあるそうなのですが、とても綺麗に
仕上げられていると思います。

いずれも日常生活で使われて、存在するのが当たり前になっている
器だと思います。
そういう器こそ取れたボタンを付け直すように金繕いして頂ける
ようになればと願っています。


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木のブローチ

先日拝見した「希望展vol.13」で、山﨑香文子(かふみ)さんの木の
ブローチを購入しました。

山﨑さんは元々、版画家なのだそうですが、そこから発展して木製の
オブジェなども作られているそうです。

木の色と白い塗装の組み合わせがニュートラルなので、どんな服装にも
合いそうなところが気に入りました。
軽いというのも重要なポイントです。

希望展の収益の一部は東日本大震災の鎮魂のためのキャンドルを灯す
イベントに寄付されます。
ささやかな支援ですが、何かをしたいという方には良いかと思います。

展覧会は今週末16日までです。
場所は日本橋・ギャラリー砂翁です。


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江戸屋さんの漆刷毛

漆刷毛や江戸屋さんは以前のブログでご紹介してきました。
今回、江戸屋さんの引き出しに漆刷毛が収められているところを
撮影させて頂けましたので、ご紹介致します。

分、寸の単位で色々なサイズがあります。
江戸屋さんの漆刷毛は「通し」といって、先端から尾部まで毛が
入っています。

この人間の頭髪を使った刷毛は江戸時代に発明された物ですが、人間の
髪の毛がいいと至るまでにどれだけ試行錯誤されたのでしょうか。
ここにも日本人ならではの工夫を感じます。

短面に板が回っているのがお分かりになるかと思います。
これを切り、毛を仕立てる必要があります。
すぐ使える状態にはなっていませんので、ご注意下さい。


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ワイングラスの金繕い

港北カルチャーセンターのKさんの作品をご紹介致します。
ワイングラスの割れを金繕いされました。


以前にも同じ港北カルチャーセンターの方のワイングラスの金繕いを
ご紹介致しましたが、やはり同じような割れ方でした。
どうも形からいって、この形状に割れやすいのだと思われます。

Kさんは接着後、割れ口の破損を埋められ、金箔で綺麗に仕上げられました。
丁度グラスのステー部分にブルーが入っているので、金箔がとても映えて
います。

Kさんは丁寧に作業される方で、難しい接着にもチャレンジされておられ
ます。
今後も完成品を楽しみにしています。


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貝絵 菖蒲

セブンカルチャークラブ成田教室のKさんの作品をご紹介致します。
カリキュラムで金箔貼りをされたハマグリ貝に絵を描かれました。


元々、絵心がある方なので、自由に画題を選んで頂きました。
構図や貝絵のセオリーを学んで頂き、それに忠実にまとめられています。

やや小ぶりな貝だったので絵を描かれるのには制限があったかと思い
ますが、とても完成度の高いものが出来たと思います。

次のステップとしては、元絵の選び方と着彩の仕方でしょうか?
真面目さが出て少々絵が硬くなってしまったのをクリアすれば、さらに
良い作品が出来上がると思います。

ご本人は精一杯とおっしゃっておられましたが、またチャレンジして
頂きたいと思います。


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急須の蓋 補強

昨日に引き続きNHK学園市川オープンスクールのKさんの作品を
ご紹介致します。
急須の蓋の補強です。

割れてしまった急須の蓋の補強については、今まで度々ご紹介しています。
表面を見ると、普通に仕上げがしてあります。

急須の蓋は熱がかかる上、持ち上げて置くという移動が伴います。
割れた場合、その分リスクになりますので、補強をお勧めして
います。

Kさんの蓋の場合、無釉の部分が急須本体に接するので擦れます。
そこで補強は避けることにしました。
形は三日月に見えるような形にしています。

補強の紙を均すのに苦労されましたが、これで半永久的に外れてしまう
ことはありません。
安心してお使いになれます。

どのような形で補強するのが良いのか、手順はどのようにするのかは
教室でご確認下さい。


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ズレた接着の仕上げ

NHK学園市川オープンスクールのKさんの作品をご紹介致します。
接着がズレてしまった器の仕上げです。

接着がズレてしまった場合、出来た段差をわからないように幅広く
仕上げて頂くのをお勧めしています。
ズレた部分は素地が釉薬に保護されず見えている状態であること、段差
部分に汚れが溜まりやすいこと、箸やカトラリーが引っかかってしまう
ことなどから、そのままにしない方が良いと考えているからです。

仕上げに至るまでの手順を戸惑われる方もおられるので、段階を踏んで
ご説明しています。
ぜひそれを確認してから作業を始められて下さい。

Kさんの作品は、その手順を丁寧に全うし、綺麗に仕上げられました。
ことに最近仕上げの上達が著しいのですが、このズレの仕上げも完璧
です。

今は接着の腕も上がっているので、今回ご紹介したようなズレをカバー
した仕上げは必要なくなると思いますが、このテクニックがきっと他で
役に立つと楽しみにしています。


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