NHK学園市川オープンスクールのYさんの作品をご紹介致します。
陶芸も嗜む方で、自作の器を金繕いされました。
プレート皿です。
立ち上がりの部分に金彩で小さな水玉を描かれています。
とてもキュートな作品なのですが、平らな部分に穴が空いてしまって
いました。
これは「窯キズ」という焼成段階のアクシデントで出来た破損です。
その穴を金繕いの技法で埋められ、金泥で仕上げられました。
立ち上がりの金彩と合って、違和感がないかと思います。
金繕いした部分も最初からのデザインに見えるのではないでしょうか?
こちらは自作のものではありませんが、カップの把手が欠けてしまったのを
埋めて、金泥で仕上げられました。
釉薬との相性がいいので、景色の一つのように見えます。
この2点で問題があったのが、仕上げのゴミの混入です。
色々原因があるので確認させて頂いたところ、蒔き下を塗った筆に残っていた
弁柄が原因でした。
作業時間が長いと筆が含んだ新うるしが簡単に落とせなくなります。
少々すすぐ程度では筆に残ってしまいます。
対処方法としては15分ほど薄め液の中につけ込んでから、中性洗剤で穂先を
ほぐしながら洗うのです。
これが徹底していないと、筆の毛1本1本に弁柄がコーティングされた状態になり、
次に使った時に穂先の中からパラパラとゴミが出てきてしまうのです。
ゴミ混入の仕上げは気にしないと言えば気にしないでも済むかもしれません。
でも筆の洗浄さえしっかりしてあれば起きない現象です。
仕上げは綺麗に越したことはありません。
是非ご注意を。
もう1点は、自作の箸置きに貝合せの制作で残った金箔をあしらわれたものです。
陶芸として焼成が終わった後にちょっとプラスすることが簡単にできるのは、
大きなメリットだと思います。
こんな風に金繕いを応用して楽しんで頂けて、私としても嬉しい作品でした。