月別アーカイブ: 2018年6月
道具入れニューバージョン
セブンカルチャークラブ成田のIさんの道具入れを、ご紹介
致します。
Iさんの道具入れは以前にも紹介させて頂いていますが、筆の先が
つかえてしまうので、新しい形のものを自作されました。
子供用の習字の筆入れに、いらなくなった風呂敷の生地を巻いた
そうです。
ワンポイントの飾りは別のラッピングについていた物を流用された
そうなのですが、誂えたように合っています。
中は太めのストローで仕切りを作ってあります。
これで必要なものが取り出しやすく、整理しやすくなっています。
Iさんはあるものを工夫されるアイディアが豊富で、いつも参考にさせて
頂いています。
道具の整理はリーズナブルで使いやすい物が出来るのが一番です。
筆類の持ち運びに悩まれている方は、どうぞ参考になさって下さい。
金銀使い分け
NHK学園市川オープンスクールのIさんの作品をご紹介致します。
1つの器で金銀を上手く使い分けておられます。
面白い形に割れたお皿です。
表面はブルーの柄に金泥の仕上げが際立っています。
接着の際、若干ズレてしまった分、仕上げの線が太くなっていますが、
それが割れの線の面白さを強めているようです。
一転、裏面は銀泥です。
こちらは硫化するとブルーの線と馴染む色になると思います。
こちらは湯のみでしょうか?
縁の欠けは銀で、将来的には硫化して釉薬に馴染むでしょう。
一方、割れの線は金泥です。
元々の釉薬掻き落としの柄と合っています。
Iさんは独特の感性の持ち主で、いつもその着想には刺激を頂いています。
今回はその感性の一端しかご紹介出来ませんが、今後も都度ご紹介
させて頂こうと考えています。
音楽に親しむ
昨日、今日と音楽に親しむ2日でした。
まず昨日はよみうりカルチャーセンター大宮教室のKさんが
所属している「三菱UFJ管弦楽団」の定期演奏会に行ってきました。
オーケストラの演奏を生で聴くのは久しぶりです。
会場のすみだトリフォニーホールに展示されていた
船越桂さんの彫刻「水のソナタ」
字幕付きの「くるみ割り人形」や「新世界」など、クラシックに疎い
私でも耳馴染みのある曲で、とても楽しめました。
音が空気の振動と共に伝わる感じ、たくさんの演奏家によって一つの曲が
奏でられる様子は生でなければ感じられないものです。
本日は映画「羊と鋼の森」を鑑賞。
本屋大賞を受賞した「音が聞こえる」と言われた作品が原作です。
青春映画や漫画原作の映画の印象が強い主演の山崎賢人ですが、悩みながら
成長していくピアノ調律師を好演しています。
特に大きな事件は起きないし、もちろんアクションもありませんが、美しい
静謐な映像でとても良い時間を過ごさせてもらいました。
どうもズルズルと24時間仕事状態にしてしまいがちな日常です。
音楽に親しんだ2日で、やっぱり心に栄養を与えなきゃと前向きに
考えました。
ひらがなの美ー高野切
もう先月のことなのですが、東京国立博物館に展示されている
「ひらがなの美ー高野切」展を見に行ってきました。
高野切とは「古今和歌集」を書写した現存最古の写本です。
平安時代の仮名の逸品で、仮名書の最高峰と言われています。
従来は紀貫之の書と言われていましたが、現在の研究では3人の
能書家が分担して書いたことがわかっています。
この展覧会では高野切において3人の書を比較した後、それぞれの
別の作品を紹介しています。
また類似した書風や同時代の名品を合わせて展示することで、より
3人の書の特徴がわかるようになっています。
今、私が臨書してるのは3人のうち、3種に分類される人が書いた
「粘葉本和漢朗詠集」です。
第1種の位も高く、落ち着いた円熟の書を書かれた人に近い感じですが、
高野切を書いた時は年齢が若かったようで、勢い余り飛んだり跳ねたり
する感じがあります。
臨書の際、使っているのは印刷のテキスト本なので、今回肉筆を見られた
のは、とても勉強になりました。
墨継ぎした時の墨の濃さ、渇筆と言われる少ない墨で書いた時の鋭さ
など、印刷ではわからない情報が把握出来ました。
本館特別1室のみの展示ですが、まさに穴が開くほど見てきました。
仮名書を勉強している方にはオススメです。
会期は7月1日日曜日までです。
盆栽世界6月号 まだあります!
すでにAmazonで完売している「盆栽世界6月号」ですが、
まだ出版社に在庫があることがわかりました。
取り扱いがある書店に依頼するか、出版社に依頼(送料がかかります)
すれば手に入ります。
よろしかったら7月号と合わせてお取り寄せ下さい。
在庫があると言っても潤沢とまでは言い切れません。
少なくとも一菜会の金繕いの教室の皆様分はありません。
ご興味のある方はお早めにお手配下さい。
どうぞよろしくお願い致します。
自作の窯キズ直し
NHK学園市川オープンスクールのYさんの作品をご紹介致します。
ご自分で作られた板皿の窯キズを金繕いされました。
瑠璃釉に金泥が映えています。
またキズが入った位置も絶妙です。
通常の窯キズと違っていたのは、途中で途切れているところです。
瑠璃釉の上から乗せた白い水玉状の釉薬が接着剤になったのか、ここは
亀裂が完全には入っていないのです。
それもまた面白さになったのではないでしょうか?
もう1点は、かなり複雑に割れた小皿です。
その為、欠損を埋めるのに時間がかかりましたが、仕上げてみると
複雑な線がアートのようです。
これも金繕いの不思議なところです。
度々このブログでも書いていますが、窯キズは独特の手順で直して
いきます。
作業される前に是非ご確認下さい。
この技術を身につけて頂くとYさんのように陶芸をなさる方はせっかくの
自作を諦めずに済むと思います。
花と器のハーモニー2018
今年も横浜山手西洋館のイベント「花と器のハーモニー」に
出かけてきました。
先日の週末は毎日2,000人の来場者があり、大盛況のようです。
全体テーマは「彩光の7つの扉を開けて…」
◯外交官の家 邂逅〜Kaikou〜木漏れ日の中で1/fゆらぎを感じて
昨年末の「世界のクリスマス」については辛口批評をしてしまい
ましたが、今年の「花と器」は全体的にとても見ごたえがありました。
西洋館という空間を生かした装飾で、お花も生花がふんだんに使われていて、
本当に華やかです。
全体の雰囲気を撮ってもよし、クローズアップ撮影もよしの撮影が出来ると
思います。
私なりのベストを選ぶなら「ベーリック・ホール」です。
それぞれ場所でイメージの違う装飾がされており、館の中を散策する
楽しみがあります。
またちょっとした所にもきめ細かく装飾がされているのも好印象です。
話題になるのはエリスマン邸の志穂美悦子さんでしょう。
日本初のアクション派女優としての姿を覚えている方もおられると思いますが、
現在は結婚後に学ばれた花の世界で注目を浴びる存在になっています。
画像でもお分かりになるかと思いますが、ダイナミックな装飾はなかなか
ないと思います。
会期は今週末の10日までです。
横浜市イギリス館以外の館はスリッパに履き替えるので脱ぎ履きしやすく、
石畳の散策路が歩きやすいクッション性のある靴でお出かけになるのが
いいと思います。
隣接する公園も花がいっぱいです。
どうぞ横浜までお出かけ下さい。
盆栽世界7月号 本日発売
盆栽鉢の金繕いハウツー後編を掲載して頂いた7月号が本日
発売になりました。
赤色の表紙が印象的です。
内容の濃さは先日のブログでご紹介した通りです。
既にご紹介している教室では大変好評で、6月号に続き購入を
考えて下さる方が多く、この場でも感謝申し上げます。
私としては何より真摯に取材から編集まで取り組んで下さった
S編集長の労苦に雑誌が好評であるという形で報いたい気持ち
でいるのですが、教室の皆様が少なからず私の顔を立てて
下さっていることも有難く感じています。
お付き合いという言葉で言ってしまえばそれまでですが、人間の
つながりとはこのような積み重ねで成り立っていると思います。
合理的なドライばかりではなく、ウエットな部分も必要なのです。
これからも皆様のお気持ちに応えられるよう、頑張らなければと
考えております。
印はわかりやすく
以前のブログでも書いていますが、接着で段差が出来てしまった
場合、それを解消するように弁柄漆を塗っていきます。
作業を始める前に大切なのが、どこを塗るべきなのか、しっかり
印をつけることです。
上の画像は藤那海工房 金繕い教室のKさんの作業状態です。
とてもわかりやすく印を付けられているので、これに従って
安心して作業が出来ると思います。
「段取り8分」という言葉がありますが、下準備をしておけば
後の作業が楽になるのです。
接着がずれてしまったのは、マイナスかもしれません。
でもプラスに変えるチャンスを上手に活かして頂ければと考えています。