月別アーカイブ: 2018年3月
乾燥トクサの使い方
以前のブログで紹介しました並川平兵衛商店の乾燥トクサですが、
水に浸けてもバラバラに割れてしまうというご意見がありました。
取り寄せて見ただけで良い品と判断したのですが、使う時の状態を
確認してみました。
結論から言うと、初見の通り大変クオリティーの高いトクサです。
確かに割れやすいのですが、注意すれば問題ありません。
水に浸す時間は定番の20〜30分で、そっと使っているうちに水分が
馴染んできて柔らかくなります。
それでも割れてしまうという方には補助する道具がありますので、
教室でご相談下さい。
並川平兵衛商店さんによれば、刀研ぎではトクサを開いて中の
柔らかいところを取り除き、板に貼るものなのだそうです。
もちろん江戸時代には塩茹でしたトクサを開いて板に貼って使って
いたという知識はありますが、金繕いではそこまでしなくても
十分用を成すと考えています。
上野駅
上野駅はパンダブームです。
前から気になっていたのですが、アトレ上野レトロ館にクラシックな
スペースがあります。
今回ブログにアップするにあたって調べたところ、1932年(昭和7)
建築の現駅舎を生かして作られたものだったのです。
なかなか素敵な漆喰ワークなので、機会があったら是非ご覧
下さい。
卒業制作
セブンカルチャークラブ成田教室のHさんの作品をご紹介
致します。
華やかな草花の絵付けで人気の作家さんの器です。
フリーカップの縁が大きく欠けてしまっていました。
内側に反った形の上、断面も複雑でした。
これを根気よく埋められて、仕上げに至りました。
少々器の面との段差が出てしまっていますが、大きな金泥の
仕上げが美しく、絵付けと相まって華やかさが際立つよう
です。
小皿の縁が2か所欠けていました。
金泥の仕上げが釉薬に馴染んで、とても自然な仕上がりに
なっています。
こちらも縁の欠けです。
緑釉に金泥が映えて美しい仕上がりです。
Hさんは丁寧な作業振りだけでなく難しい技術にも挑戦されて、
教室に刺激を与えて下さっていました。
残念ながらご家庭の事情で講座の継続受講を断念。
このブログに載せさせて頂いた作品が卒業制作になりました。
でもいつか講座にお戻りになれる可能性があると信じて、お待ち
したいと考えています。
その時は今回間に合わなかった力作の完成を見せて頂けること
でしょう。
美吉野紙 小口販売
先般のブログで美吉野紙の10枚売りは東急ハンズの漆芸材料
コーナーならありますとご紹介していましたが、金繕いの
教室を受講して下さっている方から情報が寄せられました。
取り扱いがあるのは藤井漆工芸株式会社さんです。
530mm ×300mm のサイズで¥162です。
こちらには東急ハンズと同サイズの真綿も販売されています。
10cm × 10cm ¥216 です。
問題は送料です。
都内が¥800、神奈川県、千葉県が¥850なのです。
何人かの方でシェアするなど、お考えになった方が良いかも
しれません。
ご参考まで。
つなぐ
NHK学園市川オープンスクールのIさんの作品をご紹介致します。
縁の欠けからひびが伸びていました。
それを延長してお皿のぶどう蔦につなげています。
金泥の直しが柄の一部のようになりました。
ご本人としては延長した線をもう少し曲線的にしてつなげたかった
そうなのですが、なかなか思う通りにいかないものです。
つなげて柄の一部にするという試みは十分成功していると
思いますので、合格となさって良いかと思います。
赤絵に金泥が映えているのも優美さを加えていると思います。
Iさんの取られた方法は修復部分をなじませる手段として、とても
効果的な方法なので、ぜひ参考にして頂きたいと思います。
小さめハマグリ貝
先日、ひな祭り向けに販売されていた小さめのハマグリ貝を
購入しました。
片手に納まる、香合に良いサイズです。
ひな祭り頃には、このサイズが販売されていることが多く、昨年も
購入しました。
残念ながら煮沸中に1個が割れてしまいました。
かなり弱火で加熱していたのですが、天然の物なので致し方ないと
思います。
このまま水に浸けて1か月後、磨けるようになります。
割れた貝も接着すれば使える可能性があるので、一緒に浸け込みました。
千葉県は産地があるので入手がしやすいのですが、他の地域はひな祭り
以降、市場から一旦姿を消します。
その後、初夏に稚貝の「ぜんな」が出てきます。
こちらも愛らしいので、お好みであれば入手下さい。
金繕いのカリキュラムでは、金箔の扱いを学んで頂くために貝合わせの
制作をして頂いています。
大きさに決まりはありませんので、入手出来る時にお求め下さい。
大宮教室から
よみうりカルチャーセンター大宮教室から完成作品の
ご紹介を致します。
まずはご主人のフリーカップの欠けを金繕いされたOさんの作品
です。
縁の欠けを金泥で仕上げられました。
ご本人としてはシックに銀泥がお好みなのですが、金繕いしたと
ハッキリわかるように金泥を選択されました。
これはよくある選択です。
金繕い(金継ぎ)= 金 とお考えになる方が多いので、馴染ませて
完成とするより、アピールするように金を使うのです。
こちらはFさんの作品です。
カップ、ソーサー共、縁の欠けでした。
ちょうど縁の釉薬が茶色だったので、銀泥を選択されました。
銀が硫化すれば、あまり目立たなくなります。
蒔き下の弁柄漆が大変薄く塗れていたのですが、その分、塗り
残しが出てしまっていました。
それを補修して完成となりました。
銀の仕上げで注意したいのが、塗り残しの場合です。
補修は出来るだけ時間をあけないうちにやらないと硫化が
進んでしまい、一つの欠けの中で色違いが出ます。
お二人共、仕上げに慣れて来られて、どんどん完成度が高く
なっています。
仕上げはやればやるほど上手になるという証明ですね。
貝合わせに豆雛
3月3日を過ぎると、カリキュラムで作った貝合わせと雛飾りの
様子を報告して下さる方がおられます。
そのうち実際飾ったものをお持ちくださったセブンカルチャークラブ
成田教室のKさんのお持ち物をご紹介致します。
貝合わせの制作段階で、こげ茶色の貝をとても気に入っておられました。
この渋い色はなかなか貴重な色で、私も大好きです。
合わせた豆雛はしまい込んでおられたものが復活したそうです。
土人形かと思われますが、ひなびた表情が何とも愛らしい一品です。
貝の傾斜で寄り添ってしまうのも、またいい感じです。
貝合わせの制作で、雛が再び活躍するというのは嬉しいお話です。
ぜひKさんのように生かしてみられて下さい。
再び
ある雑誌に金繕いのハウツーを掲載して頂けることになり
ました。
実はちょっと違う分野の雑誌なのです。
しかしとても参考になる内容の予定です。
現在鋭意撮影中!
詳細が決まりましたらブログでお知らせ致しますので、どうぞ
よろしくお願い致します。
希望展 vol.12
拝見する度ご紹介しているので、ご存知の方も多いと思います。
日本橋のギャラリー砂翁で開催されている「希望展 vol.12」を
見に行ってきました。
今回の展示は新しいアーティストの方が加わったり、新しいチャレンジ
をしている方がおられて、さらに作風のバリエーションが広がったように
思いました。
友人の大古瀬和美さんの作品です。
お庭の手入れで触れ合う自然のものをモチーフにされ、木工作家の
方とのコラボレーションで作品にまとめられました。
今までにない作品で「そう来たか!」と驚きもあり、大古瀬さんが
自然からパワーを得ている様子もわかって嬉しくなりました。
他に気になった作品をご紹介致します。
この展覧会は売上金の一部が被災地に灯りとして届けられます。
その為作品が大変リーズナブルな価格で販売されています。
いずれも家の中のちょっとしたスペースに飾るのに最適なサイズ
になっていますので、アートを購入することに抵抗がある方にも
チャレンジしやすいと思います。
今年もオカメサクラが満開です。
都内で最も早く咲く桜だそうで、濃いめのピンクは心が躍る感じが
します。