月別アーカイブ: 2018年3月
意匠合わせ?
よみうりカルチャーセンター大宮教室のHさんの作品を
ご紹介致します。
洋皿の縁の欠けの金繕いです。
独特な欠けの形です。
有名メーカー独特の蘭の柄が入っていますが、欠けの形が
まるで蘭のイメージに合わせたようです。
偶然の妙ですが、このようなことが起きるのが金繕いの
面白いところです。
仕上げは縁の金彩に合わせて金箔でなさっています。
絵具屋三吉
昨日の横浜からのつながりで、横浜の日本画材店をご紹介
致します。
絵具屋三吉さんです。
JR関内駅南口からすぐのところにあります。
ネットショップも充実しているので、こちらも便利です。
実際の店舗に行ったのは随分昔で久しぶりに足を運んだところ、
すっかりリニューアルされて飲食店かと思うくらいお洒落な感じに
なっていました。
日本画材店で購入できるものでしたら、横浜教室の方はこちらが
便利だと思います。
ただ注意して頂きたいのが、教室でお出ししている金泥は取り扱いが
ないということです。
完全に同じものでないものを混ぜて使ったりしてしまうと、まだらに
なりますし、蒔くタイミングなども違いがあります。
ところで度々ご質問があるのが、購入先についてです。
「金繕い用品店」というような全ての品物を扱っているお店はあり
ません。
様々な分野から適切と思われるものをご用意しているからです。
ですので今回ご紹介しました絵具屋三吉さんも、日本画材のもの
でしたら取り扱いがあるとご理解下さい。
桜満開 横浜 2018
見越しの月
NHK文化センター千葉教室のYさんの作品をご紹介致します。
縁が小さい破片になって割れていました。
接着の際、小さい破片がさらに分割。
その上、位置がズレて接着してしまいました。
そのままの形をなぞって仕上げると、あまり素敵には見えない
状態だったので、全体を覆うように丸く仕上げられました。
この位置から見ると、陰刻の山並みの向こうに登った月のように
見えます。
丸くして月に変えるというアイディアもさることながら、円形の
入れ方もとても良かったので、この素晴らしい景色になりました。
もちろん蒔き下の塗り方も良いので、金泥の仕上がりも美しく
出来ています。
円形はシンプルで簡単に見えますが、どこで切るかによっては月に
見えなくなります。
あらかじめ位置については教室でご相談下さい。
また広い面積を均一に仕上げるには、いろいろテクニックがあります。
こちらも説明を受けた上で練習をしてから実際の仕上げに挑まれる
ことをお勧め致します。
吉野紙
現在、漆濾し紙として使われている「美吉野紙」は合成繊維の
紙で、本来は楮を原料とした「吉野紙」が使われていました。
柔紙(やわらかみ)とも呼ばれた吉野紙は、京都の女官たちが
「やわやわ」と呼び、懐紙として好んで使われました。
近年では高級な漆塗りの漆を濾す紙の他、文化財の修理用紙として
使われているそうですが、この紙を漉くのは昆布さんただ1軒と
なってしまっています。
ふっくらと柔らかいだけでなく粘り強い紙は、根気よくチリを取り除く
下準備の成果です。
その手間のかかる作業のせいか、後継者がいないのが悩ましいところ
です。
見た目の美しさだけでなく、後継者がいないという寂しさも手伝うのか
手元に置きたいという方が少なくありません。
やり直しの成果
NHK文化センター ユーカリが丘教室のMさんの作品を
ご紹介致します。
まずは総柄の洋食器の金繕いです。
左は裏面の欠けでした。
右の仕上げがまるで枝のように分かれていて面白いものに
なりました。
そこで柄に馴染ませることなく、このままにして頂くことにしました。
これは赤色の図柄に金泥がマッチしていることにも関係している
と思います。
割れたお皿を接着されたものです。
バランスの悪い割れ方でしたし、長さもあって仕上げに苦労されました。
納得するまでかなりの回数をやり直しされたのですが、その甲斐あって
今回が最も美しい仕上がりでした。
フリーカップのひびを仕上がられたものです。
緑釉に金泥が映えた完成になりました。
実はDの字型に見える部分が割れて落ちてしまっていました。
このような小さな破片がある場合はすぐに接着せず、納まりを
確認するのが大切です。
出っ張ったまま接着してしまうと見栄えが悪くなってしまうので、
そのような場合の対処方法を教室で確認して下さい。
Mさんご自身の持ち物の染付のお皿以外は、ご友人にお返しに
なります。
きっと喜ばれることと思います。
チューブは立てて
昨日のブログの縦収納の話に関係してチューブの保管方法に
ついてご説明します。
新うるしのチューブは、どのように保管されているでしょうか?
お勧めは「立てる」です。
もし口金に新うるしが付着したままだとすると、キャップがしっかり
しまっていない可能性があります。
そうなるとジワジワ新うるしが滲みだして、外に溢れ出してしまう
かもしれません。
そうなってしまうとキャップが開かないばかりか、中の新うるし自体
が固まってしまうことが考えられます。
それらを回避するにはキャップを上にして「立てて保管」が最適です。
もちろん口金を作業の最後に拭き取って、綺麗にしておくのが基本
です。
全て縦入れ
人気のお道具箱拝見シリーズです。
藤那海工房・西登戸教室のHさんのお持ち物です。
何とほとんどの道具がきっちり縦に入っています。
大抵の方が悩まれる薄め液のボトルはもちろんの事、新うるしの
チューブもしっかり縦です!
そして全てダイソー品なので、リーズナブルです。
筆が入る余裕の長さのプラスチックケースは勿論、細かに仕切りが
作れる板もダイソー品です。
物が迷子にならない収納といえば縦収納ですが、さっと取り出せて
きっちりしまえるところは、Hさんの丁寧な作業ぶりにも現れて
いるように思います。
直線を描く
藤那海工房・西登戸教室のOさんの作品をご紹介致します。
金繕いを習いはじめて半年、どんどん仕上げられています。
1つ目は大鉢のひびの仕上げです。。
ご本人としては、まだまだと思っておられるようですが、勢い
よく心地よい線を描かれています。
大鉢とのマッティングも大変良いと思います。
こちらの線も良いと思うのですが、表だけ銀に仕上げ直される
予定です。
染付の柄が混んでいるので、銀で仕上げられると硫化して馴染みます。
一方、裏面の方は金のままにされます。
裏面は白地なので、金の方が馴染みます。
このような金銀同居の仕上げも構いません。
仕上げはご本人の好みなので、ご自身の感性のままにご検討下さい。
特に別れ目もなく器の形の変化もない場合、直線の仕上げをする
のは、大変難しいものです。
度々ブログでも書いていますが、速攻で上手くなる方法はないので、
Oさんのように頻繁に仕上げをして頂くことが早道と考えています。
ところで先般ご紹介しましたOさんの作品ですが、猪口は全てひびと
ご紹介しましたが、一つは割れだったそうです。
大変失礼致しました。
お詫びして訂正させて頂きます。
第27回 草木会
原一菜先生が所属している草木会の展覧会に出かけてきました。
草木会は、草木染の命名者山崎斌氏の遺志をついで、本来の技法
を守り、今日の生活にも適応した草木染の研究、及び普及を
はかることを目的としている人達の集まりです。
つまり本家本元の草木染めがご覧になれるということなのです。
前回の画像
草木染めというと地味なイメージが強いと思いますが、想像以上に
華やかな色彩が出ます。
それを各出展者が工夫を凝らして作品制作されておられますので、
ぜひ会場で説明を受けると良いと思います。
特に原先生は不可能と言われている野生種の紫染めをされています
ので必見です。
会期は3月25日(日)まで。
場所は銀座・大黒屋キャラリー7階です。