月別アーカイブ: 2018年1月
乾燥させないで!
金繕いの教室では金箔の扱いを学んで頂く為に、貝合わせの
カリキュラムを入れています。
そのためのハマグリ貝は召し上がったものを水につけて頂く
ことから始まります。
1か月以上水に浸けておくと、表皮や蝶番が柔らかくなって磨き
やすくなります。
そのため磨き方の説明には水に浸った状態を維持してお持ち
頂くことが必要なのですが、このところ貝を水から引き上げて
カラカラに乾燥させてお持ちになる方が多くなっています。
この状態では表皮も蝶番もカチカチに乾燥していて磨くことは
出来ません。
1か月水に浸したものが全てご破算になってしまうのです。
大事なのは1か月以上水に浸すことではありません。
柔らかくなっていることなのです。
お勧めはビショビショに濡らしたキッチンペーパーに包んで、
ジップロックの袋などに入れてお持ちになることです。
浸していた時間を無駄にしないよう、お願い致します。
置物の修復
セブンカルチャークラブ成田教室のKさんの作品をご紹介
致します。
高さ40cmくらいの狸の置物です。
何とも愛らしい表情の狸です。
Kさんはとても大切にされていたのですが、近所の子供の
野球のボールが飛び込んできて、バラバラに割れてしまった
そうです。
実はこれは「のりうるし」で接着した直後で、完成はしていません。
今後、表は傷が明確にならない方が良いということで、このままにし
裏面の欠損を埋めて強度を高め、目立たない仕上げを施すことに
なりました。
置物の場合、食事に使う器と違って修復工程は柔軟に対応していいと
考えています。
ですので置物の修復にあたっては、どのようにしたいかのご希望を
お話頂ければ、それに合わせて工程をご提案致します。
久しぶりの漢字
ここ1年ばかりかな書に集中してきましたが、久しぶりに漢字の
臨書です。
あまりに久しぶり過ぎて書けなくなっているのではないかと
思ったのですが、意外に書ける…と思ったのも束の間、やっぱり
固い(涙)
でも大きい字を書くのは気分がいいです。
ストレス発散にもなるかも。
実は今回書道用ではない筆で書いているのですが、構造が全く違うと
わかりました。
外側が短い固い毛でガードされているので、踏み込むと短い毛が
出てきてしまいます。
毛の質も違うのですが、書道用は長い毛の束でクオリティーを必要と
しているのですね。
いろいろなことがわかった今日の臨書でした。
残念な道具
DIYショップはもちろん、プラモデルや手芸道具売り場でも
使えそうな道具があると入手するようにしています。
しかし残念ながら思惑通りにはならなかった道具をご紹介したいと
思います。
スクレーパーという道具です。
ペンキや汚れ落し、ステッカー剥がしなどに使われるものです。
削りの作業に使えるかと思ったのですが、刃の角が当たってしまって
思うように作業が出来ないことがわかりました。
ダイソーで入手した金属ブラシです。
細かい作業が出来るかと思ったのですが、ブラシ自体にあまり腰が
なく効果が出ませんでした。
このような残念に思った道具でも何か別の機会に使えるかもしれないと
思って、ある程度の期間は保存しています。
これは使える!と思った道具でも教室で複数の方に試して頂いてから
水平展開をしています。
何かいい道具がありましたら是非ご紹介下さい。
迎賓館の中の国宝
先日レポートした迎賓館赤坂離宮ですが、本館以外にも国宝が
ありましたので追レポートしたいと思います。
まず主庭にある噴水です。
よく見ると亀の像があったりして意外に日本的な要素があります。
こちらは噴水の側にある石橋とテラスです。
石橋は迎賓館の敷地がかつて紀州徳川家の中屋敷があった場所であることから
江戸時代の徳川御三家の三大名園に数えられた西苑(園)の名残ではないかと
思われます。
前庭にある衛舎です。東西対にあります。
創建当初のままだそうです。
あまり目立たないものが国宝指定されていて驚きました。
見学の際には見落としなきよう。
マスキングフィルムについて
拙著の26ページにマスキングする道具を紹介していますが、
このうち「トリコンマスキングテープ」が見つからないと
お問い合わせがありました。
拙著をお持ちの方は26ページをご確認下さい。
「トリコンマスキングフィルム」と記載されているはずです。
正確には「トリコン マスキングSPフィルム」ですが、末尾を
テープとして探されていては見つからないかと思います。
元々はエアーブラシなどグラフィックデザイン用の道具で、メーカーは
ホルベインという画材の会社です。
よってお求めになる場合は、デザイン用品を扱っている画材店を
お探し下さい。
ただこのマスキングフィルムは必須の道具ではありません。
限られた手法の作業や、古い漆器の修復でなければお勧めすることは
ありません。
ですから慌てて入手する必要はありませんし、私の教室に来て
下さっている方なら私からお譲りすることが出来ます。
特殊な道具は魅力的ですが、大抵のマスキング作業は一般の文房具店
で扱っているもので十分です。
雪景色
関東地方が珍しく大雪に見舞われた今日、大宮教室に出かけ
ました。
お休みになられた方も多かったのですが、お出で下さった方々、
ありがとうございました。
ご心配頂きましたが無事帰宅しました。
遅延した電車を待ち満員電車で押しつぶされはしましたが、自宅に
たどり着いてホッとしています。
来月は好天で皆様にお出で頂けると嬉しいです。
葉牡丹の処分
昨年末にブログに書いたように喪中なので門松の代わりに
葉牡丹を飾りました。
門松ですと15日のどんと焼きで処分しますが、鉢植えにした
葉牡丹はどうするかというと「見守り」で良いそうなのです。
生きているものなので処分はしなくても構わないと聞き、良いと
思う時期まで育てることにしました。
ネットで検索しますと、喪中の際には初詣はなし、おせち料理は
なし、鏡餅はなしと書いてあることが多いのですが、本来の意味を
考えると何も出来ないということではないとわかりました。
特に葉牡丹を飾るというのは、あまり知られていないことだと
思います。
礼法というのは許しを得るためにあると聞きました。
今回喪中の際の対処方法を学び、確かにその通りだと実感しました。
急須の注ぎ口先端
NHK文化センター柏教室のKさんの作品をご紹介致します。
急須の注ぎ口の先端が小さく割れ、一部欠損していました。
破片を接着し、欠損部を埋めましたが、注ぎ口はぶつけやすいところ
です。
和紙で補強し、銀泥で仕上げられました。
この作家さんの手による急須はコロンとした形がかわいいのですが、
注ぎ口が小さく、とても作業がしづらかったと思います。
それを乗り越えられ、完成に至りました。
銀泥はいずれ硫化し、蓋のような色になる段階があります。
その時点で硫化止めを行えば、蓋とコーディネイトしたような感じに
なるかと考えます。
あるいはシャンパンゴールドになった時点で止めてもいいかも
しれません。
時間と手間はかかりましたが、これからの使用に耐え、美しい仕上がり
になったと思います。
根気よく頑張られたKさんの努力に、教室の皆さんから惜しみない
賛辞の声が上がりました。
千葉市中央図書館
図書館には、お世話になっています。
特に千葉市民だった時から千葉市中央図書館がお気に入りです。
画像の奥が図書館です。
入り口ホールがガラス貼りの温室のようになっていて、とても開放的
なのです。
中も広々とゆとりのあるレイアウトで、座って閲覧できるスペースが
ふんだんにあります。
いろいろな調べものに出かけているのですが、建築関係が豊富なのは
近隣に千葉大や千葉工大があるからでしょうか?
横浜の山手西洋館からの依頼で調べものをした時にも貴重な資料が
見つかり、推論を支えてもらいました。
久しぶりに行ってみたら、手前にあった「食堂」がドトールになって
いました。
ますます長い時間いても困らない環境になって、これからもお世話に
なりそうです。
今回調べたものが何なのか、お話しできるといいのですが、まだ
全くの未定なのです。