月別アーカイブ: 2017年7月

割れ寸前からの復活

NHK文化センター ユーカリが丘教室のFさんの作品を
ご紹介致します。
全長50cmほどの大型の花器のひびでした。



金繕い完了後からは想像出来ませんが、かなり深刻なひびで、
割れる寸前だったのです。
しっかり養生を行い、綺麗にひびが止まりました。

Fさんご本人は仕上げの線をもう少し細くしたかったそうなのですが、
花器の大きさからすると、これくらいの堂々とした線の方が合うと
思います。

花器自体のダイナミックさに仕上げの良さが加わって、とても格好
いい金繕いになりました。

深刻なひびの場合、よく質問があるのが、割ってしまった方がいい
のではないかということです。
しかしどんなに深刻なひびでも割ることはありません。
というのは割れの接着の方がズレが出る可能性があるので、割らずに
養生をしっかり行うことでぴったり合わせます。

この際の養生の仕方や、合わせ方については、器それぞれで違いが
ありますので教室でご確認下さい。


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金泥で完成

昨日に引き続きJEUGIAイオンモール八千代緑が丘教室の
Nさんの作品をご紹介致します。
いずれも金泥で仕上げられています。

大鉢の割れの接着です。
茶系のマットな釉薬に金泥の相性がとてもよく、自然に仕上がって
います。

ひょうたん型の小皿です。
縁がかなり繊細に薄いところに金泥がワンポイントになっています。

昨日ご紹介の分も合わせて一気に完成されました。
いずれも器と仕上げの相性が良く、変化も楽しめます。
ここまで出来るとかなりの自信になったのではないかと思います。

仕上げをされた方から質問が多いのが、弁柄漆で欠損を埋めて
弁柄漆で仕上げるので、どこまで塗ったのかわかりにくいということです。
この問題に対処するには幾つかの方法がありますので、教室で
ご確認下さい。


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硫化待ち

JEUGIAイオンモール八千代緑が丘教室のNさんの作品を
ご紹介致します。


備前焼の板皿です。
角が欠けてしまっていました。
画像では分かりにくいのですが、お皿自体と同じようなザラザラ感
が出るように下地で工夫してあります。
銀泥が硫化して、銅色になったくらいが良いかと思います。

こちらはすでに銀泥がシャンパンゴールドになっているのですが、
もう少し硫化を進めて完全にいぶし銀になった方が良いという
ことで、硫化待ちです。

すでに裏面は青紫になっている小皿です。
表も青紫になると元々の器に馴染むと思われるので、こちらも
硫化待ちです。

銀泥はどのくらいで硫化するのかと、よく質問があります。
これがなかなか難しい質問だということは、以前のブログに
書いています。
ご自宅の環境によって違いがありますが、少なくとも箱にしまって
おくのではなく、表に出しておいたほうが早く進みます。

頃合いになりましたら、教室にお持ち下さい。
その後の対処方法をご説明致します。


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入れてはいけない

ひび・ニュウの直しで、手順の間違いが続きました。

本透明漆を薄め液で薄めて作業しますが、これを水で薄めてしまう
方があったのです。
当然ですが、水と本透明漆は混ざりません。

「そんなことがあるはずがない。」と思った方がおられると思い
ますが、毎年数人はいらっしゃいます。
原因は薄めるといえば水という固定概念によるものだと考えています。

対策は作業前に手順をノートなりレジメで確認して頂くことに尽きると
思います。
日常行っていることと同じように手順を覚えてしまわない限り、何らかの
思い込みによる間違いがつきまとうものです。

誰しも記憶が正確とは限りません。
ご面倒でも手順を確認してから、作業を始めて下さるようお願いします。


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塔の家

建築に詳しい方ならご存知かと思います。
「塔の家」を久しぶりに確認してきました。
場所は神宮前、ワタリウムの斜め前にあります。

1966(昭和41)年 竣工。
建築家・東孝光氏が自宅兼事務所として建築されました。
敷地はわずか6坪弱(20平米)、7畳ほどの床面積です。

しかしこの建物は日本の建築史に残る偉大な「狭小住宅」です。
地上5階、地下1階ですが、玄関以外に扉、間仕切りがありません。
狭小住宅のはしりとして、一つの回答を提示しています。

現在は一人娘の建築家・東利恵先生が住んでおられます。
先生によれば一つの空間に繋がった家で、家族の気配を感じながら
育ったとか。

街路樹の影に建っている「塔の家」のコンクリート打ちっ放しの
外観は、築51年を経て古材のような趣になっていました。


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藍 順調

5月のゴールデンウィーク中に種まきした藍が順調に生育し、
このところは丈がぐっと大きくなりました。

少々ジャングル感も出てきました。

例年悩んでいるのが、この後、枝の真ん中あたりの葉が落ちて
しまうことです。
要するにプランターの大きさに株の大きさが勝っているという
ことだと気がつきました。

8月末まで染める時間が取れないので、一度切り戻して葉を取り
乾燥させようかとも考えています。
乾燥させた葉でも生藍染めが可能なのです。

再成長には1ヶ月必要なので、7月末に決断することにします。
それまでにアブラムシにも気をつけなければ!


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筆が短くなる?

新うるしの含みが悪く、長い線が描けないとご相談を
受けました。

原因は穂先の根元に新うるしの塊が出来てしまったことでした。
その結果、新うるしを含む穂先が短くなってしまったのです。

これは洗い方が足りないことに理由があります。
使用後、薄め液で洗浄し、穂先の中まで中性洗剤を含ませて洗わないと
このような状態になります。

但し筆を購入し直す必要はありません。
洗い用の薄め液に15分以上浸し、中性洗剤でしっかり洗い直せば
塊はなくなります。
もし穂先が広がってしまうようならお湯の中で泳がすようにすすぎ、
整えれば復活します。

出来れば毎回の使用時の洗浄で問題ないようにするのが得策です。
道具のコンディションが悪いばかりに、いい仕上げが出来ないのは
残念過ぎます。


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藤那海工房のビジター受講について

当工房の金繕い教室にビジターで受講は可能か?という
お問い合わせを頂きました。

大変申し訳ないのですが現在全てのクラスが満席で、ビジターで
受け入れる余裕がありません。
まれに急な用事でお休みが出る場合もありますが、それがご都合と
合うとは限りません。

ですのでカルチャーセンターの講座に席がある方は、多少のお休みが
あっても、そちらを継続されることをお勧め致します。

キャンセル待ちがあるカルチャーセンターのクラスですと、一旦退会
してしまうと、すぐキャンセル待ちの列に並んだとしても数年お待ちに
なる可能性が大です。

習い事は継続することに意味があると聞いたことがあります。
毎月教室に通うというリズムがあるからこそ、直したい器が直って
いくように思います。


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接着は一度に

港北カルチャーセンターで「のりうるし」のカリキュラムを
行いました。
のりうるしは、米糊と漆を混合することによって漆のみの
接着より10倍強度が出るものです。
ですのでバラバラに割れたとか、機能がある器の接着に
お勧めしています。

上の画像のお茶碗は13パーツに割れてしまっていました。
かなり小さいパーツもありますが、一気に接着をしています。

まず事前に組み立てのシュミレーションを行い、手際よく接着
出来るようにナンバリングしています。
また仮止めの方法にもテクニックがあります。

バラバラに割れた器の接着の場合、よく質問があるのが、少し
ずつ接着を進めていくのかということです。
上の画像でお分かり頂けると思いますが、一度に組み立てを
行います。

少しずつ組み立てていくと角度や接合の仕方にズレが生じて、
全部が組み立てられた時に必ず辻褄が合わないところが出る
はずです。
その結果は仕上げで回収しなければならなくなりますので、
美しい仕上げは望めないということになります。

画像の中に赤い線が見えると思います。
実はこのお茶碗、もう少しで完成になるところ、飼われている
猫に割られてしまったそうです。
でものりうるしのパワーで接着出来ました。

「猫にやられてしまった!」というお話は、教室でよくお聞き
します。
どうぞご注意を!


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