月別アーカイブ: 2016年10月
小田原屋さん廃業
講座のカリキュラムで「貝合せ」を行っていますが、その
ためのハマグリ貝の入手先として千葉の中央公園そばの
「小田原屋」さんをご紹介していました。
こちらは焼き蛤のお店で、不要になった貝殻を店先で譲られ
ていたのです。
残念なことに、こちらが先日廃業されてしまいました。
焼き蛤というと貝ごと焼くものを想像されると思いますが、
こちらの品物は身を取り出して串に刺して焼くものだったので、
貝に火が通っておらず、色がきれいだったのです。
同じような製法の焼き蛤を製造•販売している「大坂屋」さんに
お尋ねしてみましたが、こちらは産地で身を取り出し、瞬間冷凍
して納入される方法を取られているそうで、貝殻はないとのこと
でした。
背景には国産の貝を入手、貝剥きをする難しさがあるように察せ
られました。
引き続きハマグリの貝殻の入手先を探してみます。
もし心当たりのある方がおられましたら、情報お寄せ下さい。
オリジナル化
NHK文化センター千葉教室のIさんの作品をご紹介
致します。
欠けた湯のみを金繕いされました。
ですので画像にある線と水玉は加飾されたものです。
湯のみ本来の姿は、シンプルな朱色のものでした。
このように自由な発想で加飾出来るのが、新うるしのよいところ
でもあります。
Iさんとしては線の描き方がまだ不本意なようで、いずれ描き
直したいそうです。
でもこの状態以前に仕上げの仕方を勘違いされて、蒔き下を
かなり厚塗りしてしまい、実用に耐えない状態であったことを
考えると、大成功と言えると思います。
「やっと使える!」と喜んでおられました。
そのような喜びが得られるのが、金繕いの楽しみですね。
TOMOS B ワークショップ
日本橋のギャラリー砂翁さんの地下にありますショップ
「TOMOS B」でワークショップをさせて頂くことに
なりました。
11月15日(火) 14:00〜16:00 です。
内容は「金繕いの歴史と修復工程」をご説明し、仕上げとなる
金蒔絵を体験して頂くものです。
破損した器をお持ち頂ければ、金繕いで修復可能かどうかも
鑑定致します。
最近メディアで取り上げられることが多くなった金繕いですが、
どんなものなのか知りたい方には最適な内容となっています。
同様の内容をカルチャーセンターでは行っていますが、それ以外の
場所で、それも都内というのは、私としても初めての試みです。
TOMOS Bのテーブルを囲んでのワークショップはとてもアットホーム
な雰囲気になるかと思いますので、是非ご参加ご検討下さい。
お申し込みをお待ちしております。
ハマグリ貝の数え方
金繕いのカリキュラムの中に金箔の練習のために「貝合せ」の
制作が組み込まれています。
ハマグリ貝はご自分で準備して頂くのですが、最低2組とお願い
しています。
さてこの2組ですが、どのように数えておられますか?
正解はご存知の通り B です。
しかし意外にAと考えられる方が多いのです。
ご親切に貝の準備がまだの方に、自分は2組(実際は片貝の2枚)の
準備があるのでと譲られようとされたりします。
古来から日本人は、ハマグリ貝は対になるものしか合わないことに
意味を見いだしてきました。
現代ではハマグリ貝は特に意識しないものになっているかもしれません。
それでもそういう文化であったことは大切にしたいと思っています。
ですので数を数える際には、是非2枚貝のセットで何組とお考え下さい。
校正中
夏頃から何かに取り組んでいるという曖昧情報だけ発信し、
ブログの更新も少なくなっていましたが、そろそろ何を
していたのかお話できる段階まで来ました。
教室によってはお話しているところもありますが、現在、校正という
作業中です。
画像に出ているペン類は、編集の方の「七つ道具」です。
赤と青の鉛筆だったり、ペンだったりを使い分けて修正の指示をして
いきます。
具体的な情報は、また。
ユザワヤ 蒲田店
先日久しぶりにユザワヤ蒲田店に出かけました。
蒲田駅周辺が綺麗になっていたのも驚きましたが、ユザワヤの店舗が
減少していたのにも驚きました。
最盛期には12号館まであったかと記憶しているのですが、現在販売して
いるのは3館のみとなっています。
千葉県内にある店舗も縮小していますが、ユザワヤの状態が工芸の
衰退も現しているようで、切なくなります。
わざわざ自分で作らなくても簡単に、そして安価に物が手に入る現在
ですが、「手仕事」というものの大切さをお伝えしていきたいと
思います。
愛用の急須
NHK文化センター ユーカリが丘教室のMさんの作品を
ご紹介致します。
お預かり物の急須の蓋の金繕いです。
ゆったりとした形で、見ているだけで和んでくる急須です。
使い込まれた様子から、持ち主の方の愛用の深さを感じます。
欠損は蓋が少々欠けたという状態でした。
欠け方も器に合わせたのでしょうか、二つの山が急須の印象に
合っています。
銀泥で仕上げられていますので、硫化後は本体に馴染んでくると
思います。
再び愛用出来るという金繕いの神髄と言える作品になりました。
持ち主の方もきっと喜んで下さると思います。
湯のみ 仕上げデビュー
NHK文化センター柏教室•日曜クラスで今年4月から受講を
始めたKさんが、湯のみ2点の仕上げをされました。
両方共ひびだったので、線を描く練習からして頂きました。
Kさんは度胸よく、練習からすぐに仕上げにチャレンジされました。
その結果、とてもよい線が描けていると思います。
仕上げはやり直しが可能ですと度々お話していますが、それでも
ほとんどの方が躊躇されます。
今回Kさんのご様子を見ていて、仕上げは思い切りが必要だと改めて
思いました。
もちろんよい仕上げの為には、慎重なベース作りや準備が必要ですが、
そこから先は気持ち次第。
あまり考え過ぎず、筆を動かすのも大切だと思います。
弁柄色のもみじ
平蒔絵のカリキュラムとして「もみじ」を描いて頂く場合が
あります。
特に体験講座で桜の花びらを描いて頂いた方には、ステップアップ
してとお願いしています。
JEUGIAカルチャーセンターイオンモール八千代緑が丘教室の
Tさんの作品をご紹介したいと思います。。
先月「置き目」という図柄の転写技法を講習した上に、もみじを描かれた
のですが、新うるしの弁柄色を生かして制作されました。
そもそもバックに入った流水紋の入れ方が良いのですが、もみじが
ひとつひとつ綺麗に描かれています。
また置き目の流水紋に対してはらはらと舞い散るようにレイアウト
されたのが、とても効果的です。
さらに大きさに大小あるのが、遠近法のように奥行き感を出しています。
このお皿は練習として制作して頂いたものではありますが、金•銀泥の
蒔き方、筆の扱い方など、同時にいろいろ勉強出来ます。
また実際使用されますと、蒔くタイミングが適切だったのかという検証も
出来るのです。
絵を描くのが苦手な方でも、良い機会と思って積極的に制作して頂けたら
幸いです。
思いがけず生藍染め
ここ数年、生藍染めを趣味でしていました。
今年は他の仕事との兼ね合いで藍を育てるのを断念していたところ、
大宮教室のSさんから藍の葉をお分け頂きました。
急遽白生地を入手し、生藍染めをしてみました。
こちらは「ちりめん」で、1回目に取れる染液で染めたもの。
明るい青に染まりました。
こちらも1回目の染液で染めた薄手のスカーフです。
実際は格子状に入った柄が出ています。
今回少々変わったことをしてみたのが、左側に写っている生地です。
青系に染まる1回目の染液に浸す時間を短くし、緑系に染まる2回目
の染液にも浸してみました。
右端に写っている1回目の染液のみの色と比べると、淡い色で染まって
います。
青系の染まりが浅かったようにも見えますが、緑系を掛けてあるので、
ちょっと深い色になっているというのは自己満足?
もう1回緑系をかけるか、青系に変えてしまうか、ゆっくり考える
ことにします。