月別アーカイブ: 2016年9月
厚塗りは駄目
新うるしでの金繕いの基本は、弁柄の薄塗りです。
「たくさん塗って早く埋めようと思って」とか「金がしっかり
定着するかと思って」とおっしゃって厚塗りする方がおられます。
厚塗りしても問題が起きなければお好みでとお話出来ますが、
確実に問題が起きるので、絶対にお勧め出来ません。
基本はあくまでも薄塗りです。
薄塗りを練習するなら、欠損を埋めるために塗り重ねを行う時を
利用するのが一番です。
どの程度塗ればどのくらいになるのか、確認しながら作業してみて
下さい。
久しぶり過ぎる習字
ここ数ヶ月、書道の筆を全く持っていませんでした。
久しぶりにかなを書いてみたら、案の定、書けなくなって
いました(涙)
金繕いの仕上げの上達のために指導を受けている書道ですが、
今では趣味を聞かれたら「習字です。」と答えたくなるくらい
楽しんでいます。
上達に合わせて道具も良い物が必要になってきます。
かなに関しては、硯と墨をもっといいものを使うようにと
先生から言われていました。
今日やっと工房に金繕いを習いに来ている方からお借りした
硯と墨を試すことが出来ました。
自分が使っていたものより遥かにいいもので、墨をする時間から
墨の色まで違う事がよくわかりました。
やはり道具は大事ですね。
蒔筆 洗う?洗わない?
たびたびブログに書いている蒔筆のことですが、このところ
質問が続きましたので、改めて書いてみたいと思います。
まずは洗うか、洗わないかということですが、通常は洗いません。
金•銀泥を払って、塵埃が付かないようにしまいます。
但し金泥を蒔筆にしっかりまぶさず仕上げをしてしまい、新うるしと
金泥が混ざった状態で筆の先に付いてしまった時には洗う必要が
あります。
このような状態のまま仕上げを行うと、仕上げた面が光沢が
出ません。
15分ほど洗い用の薄め液に浸けて、爪で汚れをほぐし落とすと
元通りにきれいになります。
なお金•銀泥で筆を分けた方がいいかという質問も多いのですが、
分けなくても問題はありません。
ただ同時に金泥、銀泥の仕上げを行いたい時には2本持っていると
便利ではあります。
お考え次第で、ご検討下さい。
自作の陶器を金繕い
JEUGIAイオンモール八千代緑が丘教室のKさんの作品を
ご紹介致します。
たくさん仕上げてきて下さったのですが、いずれもご本人が作陶
された器です。
器自体の絵付けに合うダイナミックな仕上げです。
金繕いの教室には、陶芸をなさっている方がたくさんおられます。
このように完成して、自作の器が蘇ると感激もひとしおなのでは
ないでしょうか。
今回Kさんの仕上げたものは、少々埋め方が足りない部分が
ありました。
そこは再度埋め直して仕上げに再チャレンジなさるそうです。
トクサ 枯れた部分は使えない
このところ多い質問が、トクサの枯れた先端は使えるかという
ものです。
これは以前のブログに書いていますが「使えない」という
のが、回答になります。
それはすでに朽ちているからです。
実際使って頂くとわかりますが、ぼろぼろに脆くなっている
はずです。
あらかじめ枯れ色になっているので、そのまま使えると思われる
方が多いのですが、簡単に道具になるものではないのです。
適切な時期に刈り取り、適切な方法で乾燥させなければなりません。
具体的な手順は教室でご質問頂くか、このブログ内を検索下さい。
仕上げのしなおし
セブンカルチャークラブ成田教室のHさんの作品をご紹介
致します。
たくさん仕上げてきて下さいました。
こちらは陶器カップの欠けを金泥で仕上げたものです。
金泥が映えて綺麗です。
こちらも欠けの修復です。
鮮やかな染付け文様に金泥が際立っています。
2点の仕上がりに関して、Hさんは不本意なご様子。
お皿の仕上げは、やり直しを決断されました。
仕上げというと緊張される方が多いのですが、たびたびご説明
しているように、やり直しは難しくありません。
まず仕上げをトクサで磨き直します。
コツは金泥を削り切ってしまわないこと。
それから弁柄の塗り重ねを行って、再びトクサで磨き直せば
よいのです。
上の画像の蕎麦猪口は、線がゆらいでいるのが気になると
いうことでした。
こちらは一部を削って、竹の葉を蒔絵することをご提案して
みました。
さてどのように変化するのか、楽しみにお待ちしています。
洋食器でも
NHK学園市川オープンスクールの生徒さんの作品をご紹介
致します。
洋食器のマグカップです。
手前に写っているように、大きく縁が欠けていたのを金繕い
されました。
合わせて縁の金彩が擦れてしまっていたのも補修しています。
金繕いというと和食器のイメージが強いと思いますが、洋食器も
違和感なく修復出来るという好例です。
縁の金彩の補修は特別な道具があった方がきれいに出来ます。
あらかじめご相談下さい。
料理好きのうつわと片づけ
知人の大倉千枝子さんが『料理好きのうつわと片づけ』(河出書房新社)
という本で取り上げられました。
このブログをご覧の方は「おむすび まるさんかく」の店主とご説明
した方がおわかりになるかと思います。
その記事の中で私が金繕いした器も紹介して頂きました。
大倉さんが器を破損させてしまったら、金繕いをして大事にしているという
内容です。
本では料理に関わる他7組が紹介されていますが、いずれの方もこだわりの
器が素敵ですし、どのように手入れされているのか詳細に取材されている
のがとても面白いと思いました。
金繕いをされている方は器がお好きな方ばかりですので、きっと参考に
なる内容だと思います。
写真もきれいなので、見るだけでも楽しくなります。
ぜひ書店で手にとってみて下さい。
新うるし 弁柄取扱い店
櫻井釣漁具の神田店でしか取扱いがなく、ご不便をおかけして
いた新うるしの「弁柄」色ですが、下記の店舗でも取扱いが
始まりました。
◯東急ハンズ
渋谷店
新宿店
○ジョイフル本田 幸手店
混入されている顔料が食品に添加できるものを使い、より安全性に
配慮しています。
従来の赤より渋めの色も好評です。
メーカー側ではお近くの店舗に取扱いをお願いすると、常時販売して
くれるようになるので、ぜひ依頼をしてみて下さいと言っております。