月別アーカイブ: 2016年9月

銀の硫化課程

銀は硫化の課程の色が綺麗ですと、ブログで度々ご紹介しています。
仕上げ直後の白から、まずシャンパンゴールドになります。
この色が派手過ぎない金色なので、好まれる方が多いです。

次にピンクになるのですが、この期間が意外に短く、なかなか目に
つかないのです。
丁度作業中の器がピンク色になったので、ご紹介しようと思います。

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画像のほぼ真ん中に写っている葉が、銀箔で仕上げたものです。
当初銀色だったものが、シャンパンゴールドを経て、ピンクになりました。
画像ではちょっと銅色っぽいのですが、実際は青味があります。

このあと銀は青紫になって、黒(いぶし銀)になります。
青紫の時には、染付けの柄と同じようになる予定です。
この器の場合バラバラに割れてしまっていたのが、一部の葉を銀箔で
仕上げることで印象を和らげること考えます。

金よりローコストで、楽しみありの銀です。
金とは手順が異なるのを確認の上、挑戦してみて下さい。


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金銀使い分け

よみうりカルチャーセンター大宮教室のSさんの作品をご紹介
致します。

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印判の柄がかわいい大鉢です。
染付けの柄が入ったところは硫化を想定して銀泥に、白地のところは
金泥で仕上げられました。

面白い試みをされたのが内側の窯キズです。
窪みになってしまっていたのを埋めた後、まず金泥で仕上げ、上から
印判の柄の中から適切なものを選んで置き目で銀泥を乗せられました。
こちらも銀が硫化してくると、印判の柄が延長したように見え、違和感が
なくなると思います。

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こちらは欠け+長いひびです。
欠けからのひびの線が美しく繋がっています。

ご本人としては欠けの仕上げに下地の埋め方が足りないのが見えて
しまったのが気になるとのこと。
しかしそれほど気になる状態ではないので、これで完成とされました。

Sさんはコンスタントに仕上げられ、新しい技術にも挑戦されて
います。
今後の仕上げも楽しみにしています。


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伊東屋リニューアル

2015年に本館を改築した伊東屋は、従来のイメージとは異なる
ショールームのような店舗になったと以前のブログに書きました。
それがこの9月にリニューアルしていました。

k-itoya

本館の裏側にK.Itoyaという別館があって、万年筆などのパーソナル文具を
扱っていました。
これらが本館に移動し、筆記用具、ノート、文房具といった一般的な
文房具の取扱いが復活したのです。

本館改築時は確かにおしゃれな空間になりましたが、所狭しと商品が
並んでいて、伊東屋に行けば見つかるという期待感はなくなってしまって
いました。
以前伊東屋で購入したペンの替芯ですら扱っていないと聞き、限界が
来るのではないかとは思っていたのです。

もちろん以前程の取扱い量ではなく、厳選されてはいます。
それでも今回のリニューアルにほっとした方は多いのではないでしょうか?


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散らし書きデビュー

仮名の「和漢朗詠集」の臨書をしていましたが、散らし書きの
お稽古をしてきました。

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散らし書きとは自由にレイアウトするもので、日本独自の感性と
言えると思います。
レイアウトの仕方から始まって、運筆まで教えて頂きました。

最大の醍醐味は散らし方だとは思うのですが、一番驚いたのが
仮名書は全身を使って書くということです。
漢字ならまだしも、仮名は静かに書いているイメージがあったからです。

奥が深い散らし書きです。
今回は第1歩に過ぎません。
まだまだ練習あるのみです。


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和食器=陶器?

金繕いを始める際に重要になるのは、陶器か磁器かを見極め、
下準備をするかしないかを判断することです。

よく和食器=陶器、洋食器=磁器と考えている方が多いのですが、
これは誤りです。
和食器、洋食器というのは用途の区分で、素材とはイコールには
なりません。

陶器と磁器の判別の仕方は以前のブログに書いていますが、改めて
整理してみたいと思います。

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陶器は土を固めて、ガラス質の釉薬を掛けて焼成したものです。
釉薬の掛かっていない高台裏には土の茶色が見えています。
低い温度で焼かれているので、叩くと鈍い音がします。

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磁器は石の粉を固めて、ガラス質の釉薬を掛けて焼成したものです。
釉薬の掛かっていない高台裏には石の白い色が見えています。
高い温度で焼かれているので、叩くと金属質の高い音がします。

陶器は下準備が必要ですが、磁器はほぼ不要です。
スムーズな出だしのために、どちらなのか判断出来るようにして
おくとよいと思います。


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ワイングラスの補強

NHK文化センター ユーカリが丘教室のTさんの作品です。
磁器のワイングラスのステム部折れの補強をされました。

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ガラス製のワイングラスでもよくありますが、細いステム部が折れて
いました。
ワイングラスの特性として、洗ったグラスを拭く時、カップ部とステム〜
ベース部と反対方向にひねりながら行うということがあります。
これによってただ接着だけしていると、外れてしまうのです。

Tさんの作品の場合、この問題を解決するために3種類の補強方法を
使っています。
以前ご紹介していますが、Tさんは13個にも分解していしまったティー
カップを接着して完成させている根気の持ち主です。
今回も相応の時間がかかっていますが、完成に漕ぎ着けました。

画像は仕上げ直後なので、少々余分な所に金箔がついています。
完全に乾燥させてから処理すれば、元々の金彩と違和感なく融合
してくれると思います。


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窯キズは低く

NHK文化センター柏教室のHさんの作品をご紹介致します。
窯キズのお皿を金繕いされました。

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釉裏紅の斑紋が入った釉薬に金泥の仕上げが映えています。

窯キズは焼成中のアクシデントで入ったものですが、その経緯を
尊重して少し低く仕上げるのが特徴です。
そのため埋め方も通常の金繕いとは違います。

意外に手間取るのが、どのくらい低くするのが綺麗な仕上げとなるか
というところです。
思ったよりしっかり窪ませるので、実際の作業は都度教室でご相談
頂くのがよいかと思います。


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古代ギリシャ展

東京国立博物館で行われている「古代ギリシャ」展を見て
きました。

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サブタイトルが「時空を超えた旅」とありますが、ギリシャの文化が
いかに後の文化に影響を与えていたか学べる展覧会でした。
それを現しているのが「ローマはギリシャを征服したが、ギリシャの文化は
ローマを征服した」という言葉ではないかと思います。

特に私が注目して見たのが文様です。
あしらわれている文様が、西洋圏で使われるものを網羅していたのです。
それだけでも後の時代にいかに影響を与えていたかが、わかります。

他に興味深かったのが、紀元前1700年頃の水差しです。

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この形態が美しい理由があるのですが、ぱっと見て驚かされるのが
表面に描かれた文様だと思います。
まるで現代のモダンアートのようではありませんか?
しかし力強く勢いのある様は、原始の文化ならではです。

ギリシャ文化というと、後年の彫刻や赤と黒のコントラストが印象的な
陶器のイメージがありました。
今回の展示でそのイメージを覆されました。

残念ながらこの展覧会は、明日9月19日までです。
ご興味を持たれた方は、明日お出かけ下さい。


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仕上げは難しい?

NHK文化センター柏教室のMさんの作品をご紹介致します。

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縁が数カ所欠けた大鉢です。
Mさんは欠けを埋めるのが大変上手で、それぞれの形がきれいに
復元されています。

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こちらは数カ所ひびが入ったカップです。
仕上げの線の太さがカップに合っているので、複数の仕上げが気に
なりません。

2点仕上げてみたMさんの感想は、欠損を埋めるより仕上げが難しい
ということです。
前回仕上げて来られた時も同様の感想をおっしゃっていましたが、
何度もやり直されるのがMさんの素晴らしいところです。

確かに欠損を埋めるのは根気よく続けていれば、必ず埋まっていきます。
仕上げは1回蒔下を塗って、金•銀粉を蒔いてしまえば完成するように
思えます。

しかし実際は上手く完成するために気をつけなければならないポイントが
あり、簡単に出来るものではありません。
敢えて言うなら「画竜点睛」です。

ただ恐れていては再び使うという金繕いの目的は果たせません。
ぜひ積極的にチャレンジしてみて下さい。


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ようやく完成

現在一般に修復のご依頼は承っておりません。
私と個人的にお付き合いのある方のみに限らせて頂いております。
そのご依頼品で完成したものをご紹介致します。

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こちらは以前、部分的にご紹介しているかと思います。
自作の磁器で、割れてしまっていたものを接着し、仕上げました。
割れの線が景色になっており、面白さが出たと思います。

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こちらは本漆で金繕いしたものです。
実は釉薬に細かいひびが入っており、それらが剥落してしまう
可能性がありました。
そこで生漆をひびのひとつひとつにしみ込ませ、止めています。

よく本漆と新うるしの修復をどのように分けているのか、ご質問が
あります。
この器は本漆での修復が効果的だった典型例です。

完成したばかりの銀粉の仕上げは白く輝いていますが、硫化すると
釉薬に馴染んで自然な感じになると思います。

講座を持っているカルチャーセンターに修復の依頼は可能かと
お問合せがありますが、冒頭の事情でお受けしておりません。
ご了承頂ければ幸いです。

 


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