金繕いを始めたばかりの方が戸惑うのは、独特の言葉では
ないでしょうか?
その典型例が「にゅう」ではないかと思います。
にゅうとは軽症のひびのことで、器の表面には欠損が現れていません。
ですので爪で触っても引っかかりがないのです。
この言葉は骨董用語で「入」と書き、「にゅう」と読ませている
のです。
実はその骨董業界でも「にゅう」と「ひび」の分類は曖昧でした。
それを原一菜先生が著書で微細なひび割れを「にゅう」と定義した
ことで、現在ではすっかり定着しています。
「にゅう」と「ひび」では修復作業が変わってきます。
作業を始める前に、どちらの状態なのか判断しておくのが重要なので、
言葉として明確に表すのは大切なことだと思っています。
一般の方には馴染みのない言葉ですが、決まり事として覚えて
頂けたらと考えています。