月別アーカイブ: 2016年8月
ポケット付き筆巻
書道のお稽古のために筆を持ち歩く際、筆巻を使っていました。
ごく一般的な筆巻なのですが、筆がするりと抜け落ちてしまう
ことがあり、いいものがないかと探していました。
見つけたのが、このポケット付きのものです。
実は同様のものを金繕いの教室に道具入れとして使っている方が
おられたので、同じものがないかなとは思っていたのです。
たまたま見つけて早速購入。
これで筆が抜け落ちて穂先が痛むことがないと思うと、かなり
満足感があります。
繊細な仕上げ
NHK文化センター ユーカリが丘教室のMさんの作品を
ご紹介致します。
湯のみの割れを金繕いされました。
高台が細かに割れてしまっていましたが、ぴったりと接着され、銀泥で
仕上げられました。
すでに銀泥の硫化が始まって、シャンパンゴールドといってよい色に
なっています。
見て頂きたいのは線の綺麗さです。
均質に細い線を描いておられます。
これはMさんが以前、本漆での金繕いを習っておられて、細くて長い
穂先の筆に慣れていたことにも理由があります。
一般的に慣れていないと細くて長い穂先の筆は使いこなせません。
また欠けがあったり、線が太い部分と細い部分がある仕上げの場合には
このタイプの筆だと全てを描くのは難しいです。
Mさんはこのあと、銀泥の硫化の変化を見て、好みの色で
止められるそうです。
このように金繕いの一つ一つを楽しんで頂くのがよいと
思います。
欠損でなくても
NHK文化センター柏教室のKさんの作品をご紹介致します。
大鉢で欠けが1カ所ありました。
ベージュ系の釉薬に金泥が馴染んでいるので、わかりにくいかと
思いますが、2カ所仕上げがあります。
このうち1カ所は欠けではなく陶器自体のゆらぎだったのですが、
Kさんとしては凹みが極端すぎるということで、こちらも埋めて
仕上げられました。
こちらが凹みだったところです。
仕上げが違和感ないので、凹みだったとはわからないと
思います。
このようにキズではないところも仕上げることは可能なのです。
今回は別の場所でしたが、欠けの場所を欠け通りに直さなくても
よいというのがこれでおわかりになるかと思います。
これは新うるしが釉薬の上にも活着がよいという利点も現して
います。
器の状態によって、蒔絵感覚で仕上げを考えてみて下さい。
渋い窯キズ
NHK文化センター柏教室のNさんの作品をご紹介致します。
窯キズの金繕いです。
陶芸家の窯キズを起こしてしまった作品を譲り受けて修復され
ました。
元が陶芸家の作品なので器の形も綺麗ですし、釉薬も渋くていい色
です。
キズ自体は大きくはないのですが、キズなりに沈んだ形で金泥で
仕上げたのがワンポイントになっています。
これがとてもよい感じになりました。
こちらはひびの修復です。
金泥の仕上げが器の形に合って、綺麗に仕上がっています。
画像ではわかりにくいのですが筆に勢いがあるのが、好感度の
理由だと思います。
Nさんはいろいろチャレンジされているので、次の完成も
楽しみにしています。
「にゅう」とは
金繕いを始めたばかりの方が戸惑うのは、独特の言葉では
ないでしょうか?
その典型例が「にゅう」ではないかと思います。
にゅうとは軽症のひびのことで、器の表面には欠損が現れていません。
ですので爪で触っても引っかかりがないのです。
この言葉は骨董用語で「入」と書き、「にゅう」と読ませている
のです。
実はその骨董業界でも「にゅう」と「ひび」の分類は曖昧でした。
それを原一菜先生が著書で微細なひび割れを「にゅう」と定義した
ことで、現在ではすっかり定着しています。
「にゅう」と「ひび」では修復作業が変わってきます。
作業を始める前に、どちらの状態なのか判断しておくのが重要なので、
言葉として明確に表すのは大切なことだと思っています。
一般の方には馴染みのない言葉ですが、決まり事として覚えて
頂けたらと考えています。
萩焼のカビ退治
温かみのある釉薬をお好みの方が多い萩焼ですが、釉薬の
ない高台がカビやすいとご相談も多い器です。
我が家の萩焼(青萩)も高台付近がカビてしまっていました。
カビ退治の方法をご紹介したいと思います。
まずキッチンハイターなど、漂白剤で脱色します。
脱色と書きましたが、その字の通り、漂白剤は色を無くして
いるだけで、実はカビの菌は死んではいないのです。
ですから何度でもカビてしまうのです。
そこで行うのが煮沸です。
器を鍋に入れて、1分ほど煮沸するだけです。
画像では直に器を入れてしまっていますが、丁寧になさるのなら
下に布巾を敷いた方がよいかと思います。
煮沸後、トングと鍋つかみを使って取り出しました。
そのまま除冷します。
電子レンジで菌を退治する方法もありますが、器が完全に
乾燥していないと、レンジの中で割れてしまう心配があります。
特に萩焼はなかなか水分が切れないので、煮沸消毒がオススメです。
萩焼に関わらず、他の陶器でも可能な方法です。
気になる器がありましたら、お試し下さい。
インスタグラム「kintsukuroi shiratori」
今夏のトクサ2016
春に株分けしたトクサですが、生育状況が思わしくありません。
どうも忙しさにかまけて、水やりが不十分だったようです。
調子が良かった昨年を思い出して、夜の水やりを行ってみました。
肥料の頻度も1週間に2〜3度に増やしています。
数日で新芽が出てきたところをみると、対策は正解だったようです。
トクサを鉢で育てている方は、鉢の下にお皿を敷いて水が溜まる
ようにしておくのをオススメします。
トクサはシダ植物なので、水はとても必要です。
渇水しやすい今時期、この方法は効果が高いようです。
また道具として細すぎる芽は、切ってしまうのもいいかと思います。
そのまま伸ばしていても太くはなりません。
太い芽を育てるために細過ぎる芽は取ってしまった方が、効果が
あります。
削りの作業が多くなると、トクサは手元で育てていた方が安心です。
よりよい道具が育つといいですね。
このごろのお気に入り
形から入るタイプの私は、文房具も好きです。
最近お気に入りなのが、「こすると消える フリクション」
シリーズです。
真ん中あたりに写っているボールペンは、定番。
右側の蛍光ペン、左側のサインペン、共に活躍中です。
発売当初は色が薄いのが気になっていたのですが、消えるというのは
抗し難い魅力でした。
大ヒット文具なので、持っている方も多いのではないでしょうか?