月別アーカイブ: 2016年5月
3 3 3 …
宅急便で届いた荷物に入っていた緩衝材です。
材質は発砲スチロールなのですが、形がどうしても数字の「3」に
見えます。
この形が絶妙にいろいろな方向に変形して、どんなところに入れても
いい具合にクッションになってくれるのです。
この形を思いついた人は素晴らしい!と一人感動しておりました。
仕上げの線
よみうりカルチャーセンター大宮教室のSさんの作品をご紹介
致します。
積極的に仕上げをなさっているSさんの作品は、度々ご紹介させて
頂いています。
今回の画像のものも、難なく仕上げされています。
強いて言えば「ひび」の線が、何となく均一に描かれてしまっている
のが気になります。
欠けの仕上げと違い、ひびや割れの仕上げは描く線がそのまま仕上げ
となります。
線を描く力がそのまま出るので、難しさがあるわけです。
日常生活で筆を持つことが稀になってしまった現代人にとって、筆の
感覚を身につける方法と言えば、極力筆を持つ機会を増やすという
ことに尽きると思います。
自分の意志の通りに筆が操れるようになってこそ、良い仕上げが出来る
と考えています。
Sさんも、そのことは十分ご承知です。
次の仕上げでは、しっかりリベンジして下さると期待しています。
自作の筆
NHK文化センター柏教室のHさんの作品をご紹介致します。
ズレを生じているくらい深刻なヒビが走っていたミルクピッチャー
です。
ヒビの線がダイナミックに走っているのが、ビビットな花柄とマッチ
して、とてもインパクトのある作品に仕上がりました。
特に秀逸なのが、内側もしっかり仕上げられたところです。
それを可能にしたのが、ご自分で改良された筆です。
何と曲がるストローの曲がる部分を使って、筆がくの字に曲がるように
なさっています。
これで内側の線を描く時に、器に対して筆が垂直方向に立つように使え
るのです。
そして真っ直ぐにすれば、道具箱にも納めやすいという便利さも
兼ね備えています。
内側の仕上げ線を描くのは、器の口径が小さくなると、とても難しく
なります。
ご自分の器でしたら、ほどほどのところで仕上げをしないという
選択もありますが、ご紹介した器はお預かりしたものなのだそうです。
お返しするとなると、やはり何とか仕上げたいもの。
Hさんのように筆を工夫するというのは、ひとつの手段として参考に
なさって下さい。
シャクヤクの花活け2016
シャクヤクの花活けのお稽古をしました。
この季節ならではのお花です。
「立てばシャクヤク、座ればボタン」と言われるように、ぼたんと
シャクヤクは同じぼたん科です。
違いはシャクヤクが草で、ぼたんは木だということ。
これが花活けになると、合わせるものが変わるということを今回
教えて頂きました。
画像にあるように蕾が毬のように丸いのが、とても愛らしいのですが、
あっというまに開いてしまいました。
振り返ればお稽古の時は、5本ほぼ蕾か、少々開いた程度だったのですが、
水を上げ始めたとたん、葉がシャッキリし、花は開きという状態です。
その分、部屋の中が上品な香りで満たされています。
独創的な仕上げ
NHK文化センター ユーカリが丘教室のIさんの作品を
ご紹介致します。
たくさん仕上げてきて下さいました。
欠損通りに直すのは、もうお手の物なのですが、今回急須で
独創的な仕上げをなさいました。
画像左上に写っているものですが、そもそも珍しいトの字型にヒビが
入ったものでした。
それに急須自体の柄を使って、◯を描かれています。
変わった形のキズを生かすという好例です。
是非参考になさって下さい。
謎の破損?
このところご相談が増えているのが、「謎の破損がある」という
ものです。
それは真横に釉薬が薄く削げた破損をおっしゃっています。
上の画像はその謎の破損の金繕いを少々進められたところで、
正体がわかりやすくなっています。
まず気づかれるのが、器の内側に出来た真横に走る破損です。
縁に入っているヒビがわかりにくいことがあるので、この破損
しかわからないと、どのような破損なのかと考えてしまうわけ
です。
実はこれはもう少し衝撃が強かったら横長楕円形に欠けが出来て
いたものなのです。
両サイドが割れに至らなかったので、欠損を免れました。
この状態は「ヒビ」と判定します。
ヒビを止めたあと、表面の欠損に応じて金繕いを進めます。
それぞれの器で下準備なども変わってきますので、まずは教室に
お持ち下さい。
謎のままだと不安になると思いますが、正体がわかれば金繕いの
手順も決まります。
作業としては難しいものではありませんので、ご安心下さい。
追伸
このブログを書いた翌日の教室で、同様の破損が2つもありました。
もしかしたらというものがありましたら、ご相談下さい。
ポット ようやく完成
かなり長いことお預かりしていたティーポットの金繕いが
完成しました。
横断している線は、ズレが生じているくらい深刻なヒビでした。
かろうじて注ぎ口のところで繋がっているような状態だったのです。
加えて縁の部分は小さな破片が割れ、欠損も深くありました。
ティーポットの場合、熱いお茶が入るので、その水圧にも耐えられる
ように直さないと、大変危険です。
ですので内側に補強をして、お茶をその補強で受け止めるようにして、
ポット本体には水圧がかからないようにしてあります。
この補強の作業に時間がかかったこと、仕上げをしようとしたら
下地の状態が気になって、さらに作業をしてしまったことで時間が
かかりました。
仕上げは銀泥ですが、硫化が進むとマット黒釉に馴染むと思います。
それまではちょっとした景色になっている仕上げの線を楽しんで
もらえればと思っています。
トクサ 植え替え後の発芽2016
東洋陶器
NHK文化センター千葉教室のWさんが、貴重な器をお持ちに
なったので、ご紹介致します。
下の画像にあるように、東洋陶器会社(現•TOTO)のカップです。
洋食器に詳しい方はご存知と思いますが、衛生陶器メーカーの
TOTOは、会社の黎明期に洋食器を生産していました。
同族会社のノリタケが「オールドノリタケ」と評価を得ているように、
東洋陶器の食器も評価を受けています。
Wさんは何でもないところで、このカップを入手されました。
欠けがあるというので、破格の値段だったそうです。
でもこれはWさんが東洋陶器に関して、知識があったからなのです。
磁器の美しさと柄のモダンさに注目されたのも当然のことです。
欠けを直して、薄くなってしまった縁の金彩を戻す予定です。
Wさんの完成をイメージして、わくわくされているご様子に
私もご指導するのが楽しみです。