月別アーカイブ: 2016年4月

ヒビの見つけ方

ヒビに関してご質問が多いのが、場所がわからなくなったという
ものです。
特に漂白して綺麗になってしまうと、さっぱりわからなくなる
場合があります。

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探すにはちょっとしたコツがあります。
上の画像で見られるように、ヒビは釉薬に入った断面が白く光る
場合がほとんどです。
これを光の量が多い自然光が入るところで、器をいろいろな向きに
変えて見つけるのが、一番見つかりやすい方法だと思います。

その他、新うるしならではの方法もありますので、どうしても
見つけられなくなった場合はご相談下さい。

注)水で洗った直後はヒビに水が入って見つけずらい状態になり
ます。器が乾燥した状態でご相談下さい。


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自作のシール

金繕いの講座を受講の方にはおなじみになっている自作の
シールです。

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欠損位置を示すのに使っています。

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元々の姿は上の画像左に写っている電気工事用の「絶縁テープ」です。
これをハサミで三角形に切って、塩ビ板に貼って準備しています。

画像右に写っているのは軽包装用のバッグシーリングテープです。
スーパーなどで野菜が入ったビニール袋の口を縛るのに使われています。
こちらは絶縁テープより耐水性がありますので、洗ったり漂白しても
しっかりくっついています。
ただ入手経路が限られるのと、硬い質なのでマスキングテープ変わりに
使うのには扱いにくいかもしれません。
ですので100円ショップでも手に入る絶縁テープでも十分かと思います。

最初の画像に見えるように自分で切ったテープを行儀よく貼っています。
一見綺麗に見えるので、市販されているのですか?と聞かれることも
多いのですが、類似したものでも市販されているものはありません。

これをご覧になるだけだと、さぞかし私は几帳面な性格なのだろうと
思われるかもしれませんが、出来るだけ効率よくたくさん貼れるように
しているだけで、性格は反映されてはいないと思います。

受講を始められたばかりの方は、慌てて準備なさる必要はありませんが、
あれば便利なので、覚えておいて頂ければよろしいかと思います。

 

 


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難しい質問

今月から受講を始められた方から、難しい質問がありました。
受講することによって一人で直せるようになるのか、という
ものです。

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講座のカリキュラムは1年で組んでおりますが、それを学んで
頂く事でご自身で金繕いが出来るようになると考えています。
ご自身の器を直しながら、他の受講者の方の金繕いの様子を見て、
技術の幅を広げられるところも大きな魅力かと思います。

基本の技術が身に付けば、新しい器も応用して直していける
のですが、難しいのは同じ破損をしている器はないということ
なのです。
カリキュラムを消化しても継続して講座に通って下さる方は、
講師がいることによって安心感もあるかもしれませんし、続けられる
ということもあるかもしれません。

冒頭の質問に対する回答は「はい」とお答えしましたが、何とも
難しいご質問と言えます。
講師としての気構えは、お一人で直せるようになることを目指して
お教えしておりますので、ご受講続けて頂けたら嬉しいです。


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トクサは太らない

順調に新芽が出ている我が家のトクサです。
今度のゴールデンウィーク中に株分けする予定です。

このトクサについて最近質問を受けたのが、細いトクサは時間が
経つと太くなるのかということです。
残念ながらトクサは芽が出た状態でそのまま伸びていくだけです。
太さは芽が出た時のままなのです。

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上の画像のトクサは細く、下の画像のトクサはある程度の太さが
あります。
それぞれ太さは変わらず、そのまま伸びていきます。
つまり出だしが肝心とも言えます。
ですので今時期は肥料を1週間に一度は与えています。

細くてもトクサとしては使えますが、量的には物足りないと思います。
しっかり育てたい方は、肥料を適宜与えて下さい。
私はハイポネックスを適宜希釈しています。


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再トライ中

金繕いのご依頼を頂いて、一番辛いのが「まだ出来ませんか?」と
問われることです。
技術的につまずかない限り、せっせと作業は続けているのですが、
なかなか完成しない様は、他に類を見ない仕事だと思います。

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この画像の器も完璧!と思って仕上げをしたところ、かたがたとした
不本意な部分が見えてしまいました。
再度埋め直して、仕上げし直しです。

以前のブログにも書きましたが、仕上げをすると良くない部分が際立って
見えてきます。
そのためある程度よいと思ったところで、試しの意味も含めて仕上げを
お勧めする場合もあります。
その方が作業したりないところが明確になりますので、モチベーションが
上がります。

欠損さえ埋まってしまえば仕上げは簡単と思っていた、とおっしゃった方が
おられましたが、さにあらず。
もし金繕いの依頼を受けて直している器であれば、本当に完成するまで
返却の約束はなさらない方が賢明かと思います。
仕上げてすぐ梱包も出来ませんので、返却日には余裕を持たれることを
オススメ致します。


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もみじにチャレンジ2

NHK文化センター ユーカリが丘教室のMさんの作品を
ご紹介致します。
置き目の波文様に加えて、もみじの平蒔絵に挑戦して下さいました。

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2枚、制作されています。
波文様の入れ方は同じですが、もみじのレイアウトに違いがあります。
それぞれのもみじの入れ方に変化があり、1枚の作品としてとても完成度が高くなっています。

置き目で入れている波文様は、1つ原板を作るとリピートが可能です。
Mさんの作品は、それを上手く活用されています。
またもみじはバランスを取るのが難しいのですが、1つ1つきれいな
形にまとめられているのも完成度に貢献しています。

置き目の出方にこだわられたMさんは、作業もきれいで、的確です。
研究熱心な上に、新しい技術にも好奇心を持って取り組んで下さるので、
教える側としても気合いが入ります。
今後金繕い中の器が完成していくのを楽しみにしています。


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高台の修復

NHK文化センター柏教室のHさんの作品をご紹介致します。
鉢の高台の欠けを金繕いされました。

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均一に仕上げるのもすっかり会得されて、まばゆいくらいの光沢が出ています。
課題はコンスタントに刷毛目が出ないような地塗りとおっしゃって
おられますが、そのようにご自身がやりやすい方法を試行錯誤
されるという練習が大切なのです。

筆に新うるしを含ませる量が鍵ではありますが、筆の運びの
コントロールが次の課題かもしれません。

器として使用している時には目立たない高台なので、欠損があっても
修復しなくてもよいのでは?という質問がよくありますが、高台は
器を支えている部分です。
強度という意味でも欠損がある場合には金繕いをお勧めしています。

また高台のテーブルに接する部分を「畳付け」といいますが、金繕い
が損ないやすいので、仕上げたあとに防護措置を行った方がよいかと
思います。
具体的な手順については、教室でご質問下さい。


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魔除け•護身

以前ご紹介しました「紗綾形文様」ですが、魔除け•護身
の意味もあります。

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熊本県で起きた地震で避難所生活を送られている方々が
無事に、少しでも早くご自宅に戻られるよう、お祈りして。


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かわいいホルンマーク

以前アルミ製の筆置きをご紹介しました月光荘画材店の商品には、
かわいいホルンマークがついています。
先日筆置きを買い足しに行ったところ、ヌメ革の鉛筆キャップを
購入してしまいました。

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本来は月光荘オリジナルの太めの8B鉛筆用なのですが、普通サイズの
鉛筆キャップとして使っています。

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こちらは薄いブルーの点が入ったクロッキー帳です。
グッドデザインのロングライフデザイン賞を受賞しています。

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これは廃番してしまった木製の鉛筆削りです。
木にホルンマークがマッチしていて、かわいさが増しています。

月光荘画材店は、大正6年(1917)創業。
与謝野鉄幹•晶子夫妻が名付け親なのだそうです。
油彩画材をメインとしたオリジナル商品のみを扱うお店です。

このブログを書くために洗い出してみたら、おけいこバッグ、便せん
封筒セット、練りゴム、8B鉛筆と結構月光荘グッズを持っていること
が発覚。
でもホルンマークのかわいらしさを見て頂いたら、ついつい買って
しまう私の気持ちがわかって頂けるのではないでしょうか?


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仕上げ用の筆

原一菜(いちな)先生の教室では、教材•道具はお探しになるのも勉強
ということで、ご自身で購入して頂くようになっています。
仕上げ用によい筆というのも教室でご説明しておりますが、このところ
返品•交換した方がよい筆をお求めになってしまっている方が続発
しましたので、私のブログでもご説明したいと思います。

◯WINSOR  &  NEWTON Series7 (イギリス製)
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お勧めしているのが、イギリス•ウィンザー&ニュートン社製
シリーズ7という筆です。
(最初の1本は、太さ0号が適当です。)
ウィンザー&ニュートン社は、1832年創立。
シリーズ7は、1866年ビクトリア女王の命によってつくられました。
以降、英王室御用達となっています。

1本1本職人の手仕事で作られた穂先は、膨らみ部分が大きく、
含みが良いです。
腰が強く、まとまりのある穂先は描画中も乱れにくいです。
原先生は、あまり絵筆になじみがない方でも使いやすい丈夫な
筆であることから、初心者にお勧めされています。

以下に東京都内•横浜駅周辺で取扱いのある規模の大きい画材店
をご紹介致します。

•世界堂 本店(新宿三丁目)
•ウエマツ(渋谷)
•Tools 新宿店•横浜ジョイナス店
•K.Itoya(銀座伊東屋別館)
•レモン画翠(お茶の水)

適当でない筆をお求めになってしまっている原因は、この筆が入手
出来るお店が限定されることにあるかと思います。
(東急ハンズ、Loftなどでは取扱いなし)
特徴は、上の画像にあるようにプラスティックケースに入っている
ことと、黒の木軸ということです。

また取扱いのあるお店でも在庫は多くないので、あらかじめ確認
されてからお出かけになるのがよいと思います。
さらにシリーズ7には、穂先が短い点描用の〈ミニチュア〉という
タイプもありますので、お間違いにならないようにお気をつけ下さい。

そして店頭で見つけたら、教室で説明された良い穂先の見極め方を
思い出して「これ!」という1本をお選び下さい。

※私の教室に来て下さっている方は、私の方で販売させて頂いて
おります。適宜ご依頼下さい。


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