月別アーカイブ: 2016年2月
光輝く
NHK文化センター ユーカリが丘教室のNさんの
作品をご紹介致します。
こちらは揃いのお皿がいろいろ欠損してしまったのを修復
されました。
そして器の縁に金彩が入っていたのを復元しましたので、
器の内側の金彩と相まって光輝いています。
骨董の器をお持ちの方からご相談が多いのが、この縁の金彩の
剥落です。
こちらは特別に筆を仕立てて頂いてから、練習ののち、仕上げて
頂くようにしています。
チャレンジしてみたい方は、まず筆からご相談下さい。
こちらは大振りな急須の蓋です。
割れたものを接着して、仕上げられました。
内側は金箔貼りになっていますが、これは補強してあるから
です。
急須の蓋は、熱がこもる、持ち上げるということで、使用上の
ハードさがあります。
使用頻度も高いので、単に接着して終わりではなく、必ず補強を
お勧めしています。
補強方法は蓋の形状にもよりますので、ご相談下さい。
キズを直すだけでなく、その後の使用を考えるのが金繕いだと
思います。
見えない工夫
NHK文化センター ユーカリが丘教室のSさんの作品を
ご紹介致します。
大皿の欠け•ひびの修復をされました。
お皿が大きいところに、とてもマッチした仕上げとなっています。
欠けは裏面にかけて、かなり大きかったのです。
そこでSさんは、道具からいろいろ工夫されました。
何度かのやり直しを経て、きれいに完成している状態からは
わかりませんが、数々の工夫をされているのです。
努力あってこその完成度なので、この粘りをお手本にして
頂きたいと思います。
このお皿は組物なので、それらが完成してから次の修復に
取りかかられるそうです。
そんなところにSさんの真面目なお人柄が出ています。
筆入れ 大型版制作
波ダンボールで作った筆入れの本家•Iさんから、波ダンボールを
頂いていたのですが、ようやく大型版を制作しました。
構造的には前回作った持ち歩き用のミニ版と全く一緒です。
頂いた波ダンボールはピッチが大きいので、太い筆も入ります。
実は教室に持って行っている道具と、自宅で作業する道具は
別に分けているので、こちらは持ち運ばない前提で収納場所に
合わせて大きく作りました。
一目で使いたい筆が見つけられるので、作業が快適に出来そうです。
細かいところを見ると少々難ありなのですが、それはご愛嬌と
いうことで(笑)
藍の種取り
先延ばしにしていた藍の種取りをしました。
左が「丸葉藍」(椿葉藍ともいう?)、右が「蓼藍」です。
蓼藍は種が越年出来ないのですが、丸葉藍はこぼれ種からも
どんどん芽が出て丈夫なようです。
ただ種での入手は難しく、原一菜先生が苗で購入されたものを
預かっていました。
違いは葉の形。
蓼藍は長楕円で先が尖った形ですが、丸葉藍は名前の通り丸い形の
葉をしています。
同じように生藍染めも出来るのですが、少々色味に違いがあるそうです。
今年の生藍染めはどうしようか、迷い中です。
八千代緑が丘教室 開講しました
本日、八千代緑が丘教室が開講しました。
教室はイオンモールの中にあります。
教室の中は、こんな感じです。
コンパクトな教室なので、受講の皆様と距離が近く、ご説明も
しやすいと思いました。
教室はまだお席がありますが、受付に関しては事務局まで
お問い合わせ下さい。
豆雛
金繕いのカリキュラムで作って頂く「貝合せ」ですが、
豆雛を飾ってもいいですとご紹介しております。
NHK文化センター千葉教室のWさんが、豆雛を飾ったところの
写真を持ってきて下さったので、ご紹介致します。
京都でお求めになった雛だそうなのですが、座布団に乗った
サイズが、金箔を貼ったハマグリ貝に誂えたように収まって
います。
その姿に教室のみなさんから「かわいらしい」の声が上がりました。
整った後ろの屏風や、敷き台にも注目が集まりました。
このようにご自分でお作りになったものを飾って頂くと、お教え
した立場としてとても嬉しいです。
ところで雛の並びですが、Wさんは京都風に従ったとのこと。
並びについては、「関東風」「関西風」とよく話題になります
ので、ご存知の方が多いと思います。
これに関して原一菜先生は礼法の立場から、雛の販売業者の地域に
よる意識や、取り決めの為ではないかと考察されています。
実は雛の並びは座敷の間取り、上座•下座の関係で決まってくるので、
一概に左右では決められないのです。
ちなみに左近の桜、右近の橘は、ある場所を模したものです。
足らぬがよし
NHK文化センター千葉教室のHさんの作品を
ご紹介致します。
先日ご紹介しました蒔絵予定の湯のみを含めて、仕上げて
きて下さいました。
なかなか3本の枝が上手く入る角度がないのが残念ですが、
元からあったヒビの線に、欠けを含めた枝を入れて3本
描かれました。
1本を銀泥で、一番左側の枝は欠けを含めて大きくなびかせた
ところが秀逸です。
柳の枝は、先端の葉で表情が決まります。
Hさんご自身が柳は得意とおっしゃっているように、柳の絵
としても美しい蒔絵が完成致しました。
ご本人としては複数ある欠け全てから柳の枝を出そうと考えた
そうなのですが、ヒビがあったところを含めて3本がよい
選択だったと思います。
何事も「足らぬがよし」としておくのが、日本の美ではないでしょうか?
こちらは以前にもチャレンジして下さった金•銀泥合わせ技の
仕上げです。
銀が硫化してくると。染付け柄が繋がったように見え、直しの
存在感がやわらぎます。
すでに経験が深いテクニックなだけに、手際も鮮やかです。
こちらは右上から左下に向けて割れを接着。
不定形の曲線は、ヒビでした。
茶色の釉薬に差し掛かっているところは銀泥にされ、硫化後
には目立たなくなるという計算がされた仕上げです。
まるで元からこのような器だったかのように見える作品に、教室の
方々から賞賛の声が上がりました。
もっと言えば金•銀の線が入ったことで、より力強さのある器に
生まれ変わったようです。
Hさんは、破片の足りない複雑な接着を根気よくなさっています。
「続けていれば必ず完成する。」とお話されていましたが、まさに
これが名言で、今日ご紹介した作品はH さんのセンスだけでなく、
根気の賜物なのです。
玉毛筆を使ってみた
少し前のブログに玉毛(猫毛)筆を使うのがあこがれと
書きました。
練習でその玉毛筆を使ってみました。
墨の薄さは別として、軸と穂先が全く違う方向を向くという
惨敗振りでした(涙)
全然筆を制御出来ていないのです。
しかし線の独特な柔らかさが美しい。
これぞかな書という感じになります。
こちらが普段使っているコリンスキーの筆です。
弾力のある穂先が筆を支えてくれて、腕のなさをカバーして
いるのが、よくわかりました。
その分玉毛筆の線と比べると堅いのがわかります。
猫毛を玉毛というのは、どうやら猫の名前が「たま」が多い
かららしいと以前のブログに書きました。
原一菜先生から、この説に関して中国では「玉」(ぎょく)
という文字を大切にしているからではないかというお話を
聞きました。
今回玉毛筆の線の美しさを実感してみて、まさに筆の玉と
感じ、納得しました。
線は難しい?
NHK学園市川オープンスクールのIさんの作品を
ご紹介致します。
一気にたくさん仕上げてきて下さいました。
大きな楕円形のお皿です。
Iさんとしては、もう少し細い線で仕上げたかったそうなのですが、
お皿の大きさからすると、丁度良いバランスではないかと思います。
こちらは絶妙なゆらぎのある線です。
このようなラインは自然のなせる技ですね。
ビビットな染付けの色に金泥のラインが映えています。
こちらも美しい曲線です。
全く違うタイプの器ですが、同じ欠けということで、
並べてみると何かかわいい感じです。
Iさんは大変作業がきれいな方で、欠損の埋めもしっかりきれいに
なさってから行っておられるので、どれも初心者としては高い
完成度となっています。
ご本人は線を描くのが難しいとおっしゃっておられますが、
ここまで描かれていましたら及第点です。
使い慣れていない筆で、微妙な曲線を追うだけで難しい
ものです。
それを太さ、濃さなどもコントロールしようと思ったら、
ひたすら練習あるのみというのは、再三ブログに書いて
いる通りです。
初心者のうちは妥協せず、何度もやり直ししたのを思い出し
ます。
それが段々回数が少なくなって…となりました。
皆様もぜひ!
持ち帰り用箱
NHK学園市川オープンスクールのSさんが、塗り立ての漆器の
持ち帰りに素晴らしい箱をお持ちになりました。
春慶塗りの菓子鉢の塗り直しです。
画像で写っていない裏面の塗り立てを行いました。
持ち帰り用に、どこにも触れない箱をご用意下さいとお願い
しておいたら、このような素晴らしい箱をお持ちになりました。
全ての材料をご自宅の中にあった物で工夫された、ご主人の
力作です。
Sさんは前にもご主人作の治具をご紹介させて頂きましたが、
本当に素晴らしい工夫をして下さっています。
この箱もどこにも触れないという条件はもちろんですが、安全に
持ち帰るための工夫がされていて、教室内のみなさまが感嘆しきり
でした。
何より奥様のためにご主人が工夫なさったというのが、気持ちを
暖かくします。
乾燥もこの箱の中でして頂けます。
あとは表面の塗り直しです。