月別アーカイブ: 2016年1月
仕上げのテクスチャー
NHK文化センター ユーカリが丘教室のTさんの
作品をご紹介致します。
陶器の欠けを金泥で仕上げられました。
釉薬の雰囲気に金泥が合っており、安心して見られる仕上がり
です。
この器の仕上げについて、Tさんから難しい質問がありました。
綺麗な平滑面の仕上げではなく、陶器のゆらぎのある釉薬の感じに
合った仕上げはないか、ということです。
基本的に金繕い自体が蒔絵の応用なので、過去の名品を見て頂くと、
仕上げは綺麗な平滑面となっています。
ですので目指して頂きたいのは、このような平滑な仕上げという
ことになります。
しかし陶器の雰囲気に合わせたいというのは、もっともなご要望
です。
それを難しくしているのは、形を成形するという作業が必然的に
平滑面に帰結していくからです。
それと陶器のようなテクスチャーを仕上げとして違和感なく作る
のは、テクニック的な問題とアートを合わせたような作業に
なるかと思います。
簡易にそれを成すとすれば、形の成形段階での加減や、仕上げの
工程の工夫で出来ることはあります。
あえて言うとすれば平滑な仕上げを作っておけば、変化は可能
ということでしょうか?
このあたりはまた、サンプルなどお示ししてご説明したいと
考えています。
トクサ 収穫後2週間
1月4日に収穫後、約2週間経ちました。
すっかり水分が抜け、カラカラに乾燥し、堅い状態です。
乾燥すると、若干収縮します。
画像の左2本は作業に耐えますが、右の物は細すぎるので、処分
することにしています。
収穫後2週間程度で色が白く抜け、削りがはかどらない物があると
質問を受けました。
乾燥中の箱の中に同じような状態のものがありました。
トクサは乾燥数週間で緑色は抜けません。
それがこのように白化するということは、もともと劣化(枯れ)
の状態にあったと思われます。
削りもはかどらないのであれば、わざわざ使うこともないと
思いますので、処分してしまっても構わないと考えます。
蒔絵の予定
NHK文化センター千葉教室のHさんの作品をご紹介
致します。
新年最初の教室に、たくさん仕上げをしてきて下さいました。
釉薬の色に金泥がとても映えています。
貫入が入った器は、独特の割れ方をするのですが、それが
美しく仕上がっています。
ヒビの線1本と、縁に欠けが複数あります。
まずは欠損通りに直されていますが、これに蒔絵を描き加えられ
たいとのご希望でした。
ヒビの線の感じから柳をお勧めしています。
蒔絵の完成が楽しみです。
鉢の割れを接着されたのを仕上げられています。
こちらも欠損通りに直されていますが、それが味わいのある線に
なっており、教室の方々から「直してある方が素敵」と賞賛の
声が上がりました。
度々お話していますが、直しの線が細いところあり、太いところあり
とランダムだと、同じ太さに整えるのがいいのか、それとも自然に
直すのかと質問がよくあります。
私は直し通りに自然に仕上げるのをお勧めしています。
それが一番美しいと思うからです。
ただモダンな器でしたら、同じ太さにするのもデザインとなって
面白い効果がある場合もあるかと思います。
いずれにしろ仕上げに関しては決まりごとがある訳ではありません。
ご自身の持ち物なので、自由な発想でお決め下さい。
門松の始末 2016
以前のブログでも書いていますが、7日で門松は下げ、
始末しました。
本来は左義長(15日)で処分するものですが、現代の生活に
合わせて7日としています。
出来ればどんと焼きに出したいところですが、都会ではなかなか
難しいので、太田流(旧小笠原流)では白い紙に包んで、燃える
ゴミに出しても構わないとされています。
ただ神社などで受け付けてくれるところもあるようですので、
近隣で確認してみて下さい。
日本の正月は水(若水取り)で始まり、火(どんと焼き)で終わり
ます。
ようやく書き初め
本来1月2日に行うべき書き初めが、今日になってしまいました。
昨年末あたりから漢字用の筆に悩んでいたのですが、世田谷•
ボロ市で新しい筆を入手しました。
奥に写っているのが、急場しのぎで使っていた筆で、手前が
今回入手した、ずっと使っていたのと同じ筆です。
比べてみると穂先の太さ、長さが微妙に違うのがお分かり
頂けると思います。
このわずかな違いが気になっていました。
こうして見ると奥の細く長い筆は、千字文を書くには良さそうです。
今回購入した手前の筆は、蘭亭序の復習には欠かせない感じです。
よく弘法大師は筆を選ばないと言いますが、史実は違います。
中国から書法によって違う筆を持ち込んだのは弘法大師なので、
「筆にこだわる」と言い換えた方がよいと思います。
その弘法大師にあやかる訳ではありませんが、用途によって筆を
変えて使ってみようと思います。
小説 麗しき花実
藤那海工房の金繕い教室にお出でになっているIさんから
お借りしている本です。
主人公は江戸時代の女蒔絵師です。
朝日新聞に連載していたので、ご覧になっていた方もおられるかも
しれません。
実在した蒔絵師•原羊遊斎、絵師•酒井抱一、鈴木其一らに主人公が
からんでくるのがメインの筋です。
あまり見ることのない蒔絵の制作風景も描かれているので、漆に
関心のある方は興味深いかと思います。
私としては下絵も描く主人公の創作に悩む姿に共感するところがあり、
面白く読んでいます。
すでに文庫本も出版されていますが、Iさんはあえてハードカバーの
本を購入されています。
というのも作中に出てくる作品のカラー図版が掲載されているから
なのだそうです。
確かに図版を見ながら読み進めると、架空の話により実感がこもり
ます。
小説は江戸の町の情緒を描き込みながら、淡々と流れていきます。
これが江戸時代の時間の流れだったのかもしれないなぁなどと
思いながら読んでいます。
ご興味がある方は是非。
八千代緑が丘 体験講座修了しました
本日カルチャーセンターイオンモール八千代緑が丘での
体験講座が終了しました。
終了後のアンケートに「わかりやすくて、面白かった」「金繕いの
歴史が理解出来た」等々好評価を頂き、大変嬉しく思っております。
蒔絵体験で桜の花びらを描いて頂いた作品をご紹介させて頂きます。
毎度のことですが撮影させて頂いた方のみのご紹介になってしまい、
申し訳ありません。
花びらの枚数を少なく、シンプルにまとめられました。
お皿の大きさに対して、花びらの大きさのバランスがとても良いです。
まず花びら1枚1枚の形がとても綺麗な作品です。
散らし方も美しいです。
大きさを徐々に変化させ、お皿の裏側に回すという、大変
面白い作品です。
皿自体にある渦巻きと呼応して、とても効果的な構図となりました。
桜の花びらの形がとても上品に描かれた作品です。
斜めにレイアウトした構図も秀逸です。
直線上に花びらをレイアウトされているのが、とても効果的な
作品です。
ご本人としては下にとお考えだったのですが、縦に流してもよい
という柔軟性のある構図でもあります。
こちらも少ない枚数で決められた作品です。
飴釉に映えた桜の花びらの形がとても綺麗です。
体験講座の度に思うのですが、皆様大変素晴らしい作品を制作して
下さいます。
講座に来て頂いて、初めて描き方をご説明しているのですから、
これだけのクオリティは本当に素晴らしいことだと思います。
今回の体験講座から本講座へのお申し込みを頂き、カルチャーセンター
イオンモール八千代緑が丘での開講が決定しました。
まだ残席がありますので、今回の体験講座にご参加でなくとも受講を
ご検討頂けるようでしたらお申し込み下さい。
途中受講はお断りさせて頂く可能性がありますので、2月12日の初日
からご参加頂くのをお勧め致します。
ご検討どうぞよろしくお願い致します。
かんざし入れ
本日は、新年最初の藤那海工房 金繕い教室でした。
今まで道具入れとして、様々な代用品をお使いの方をご紹介
してきましたが、工房にお出でのTさんが素敵な道具入れを
お持ちでしたので、ご紹介したいと思います。
巻くタイプの筆入れに見えますが、何とこちらはかんざし入れなのだ
そうです。
和雑貨店のオリジナル商品だとかで、和風の生地がとても素敵です。
長さも筆にピッタリというのが、コンパクトで使い良さそうです。
骨董の器がお好きなTさんがお持ちになると、誂えたようにみえます。
こんなところにお持ちになる方の個性が出ますね。
今日の教室には、本日から金繕いを始められる方もお出でになりました。
新年もエンジンがかかってきたようです。
明日は体験講座、気合いを入れて頑張ります!
体験講座 準備完了
1月8日(金)に行う体験講座の準備が完了しました。
蒔絵体験を行って頂くお皿やその他の備品を発送し、一安心した
ところです。
用意し過ぎと言われるくらいの準備ですが、今までの経験で
こなれてきており、さほど大変という感じではなくなっています。
それも全て受講して下さる方に来て良かったとお帰り頂きたい
という気持ちからやっていることだからかもしれません。
8日にお出で下さる方々、どうぞよろしくお願い致します。
トクサ収穫 2016
自宅ベランダで鉢植えで育てているトクサを、刈り取りました。
例年は12月中に刈り取るのですが、今年は暖かかった為、つい
年越ししてしまいました。
地植えのものですと、寒さに当てて3月くらいまでに刈り取れば
いいのです。
しかし我が家の鉢植えですと、寒さ焼けでオレンジ色になって
しまうので、12月に刈り取っていました。
刈り取り後の鉢です。
切り株のような物が見えると思います。
以前のブログにも書きましたが、植木屋さんにトクサは刈り取って
しまうと、生えなくなると言われた方がいらっしゃいます。
これは正確な情報ではありません。
確かに同じ所からは生えては来なくなりますが、春に別のところから
新芽が出てきます。
特に上の画像の下の鉢がわかりやすい状態になっていますが、もう
鉢に中心部からは新芽が出なくなっています。
ですので春に新芽が出たら、株分けしてあげる予定です。
地上部を刈り取ってしまうと、何もしないでいいように見えますが、
根は生きていますので、時々水遣りをする必要があります。
冬の間の水やりが、春の新芽の出具合に影響があるように思います。
刈り取ったトクサは、1週間も乾燥させると道具として使用可能に
なります。
この時に色が枯れ色でなく、緑色でも構いません。
このトクサは水を遣り、肥料を遣り、日当りに気をつけて鉢の
場所を移動させ…と育てたものです。
無償で貰いたいという方は、良識の範囲でお申し出下さい。