月別アーカイブ: 2015年12月
水引折方の際に
久しぶりに水引折方を行いました。
この包みを作る時に使用しているのが、
このような刃の長いハサミです。
奉書を切る際に使います。
一般に見かける物ではありませんが、文房具として販売されて
います。
ところで祝儀袋などの折りを行うのを「折形」と表記している
流儀もありますが、これは正しくないと聞いています。
このように間違ったことが当たり前になってしまっているのが
礼法の世界では多いそうなのです。
きちんと学ぶべき所で学ぶと正しいことがわかるという礼法は、
学ぶ人間にも覚悟がいる世界なのだということだと思います。
書壇院展2015
友人の石塚栄美さんが出展した「書壇院展」を見に行って
きました。
石塚さんの作品です。
朴の花を描かれています。
一般的に水墨画というと、細かい筆致で山水や松竹梅が描かれた
ものをイメージされると思います。
石塚さんの作品は大振りの朴の花を大胆にレイアウトし、とても
迫力のある作品です。
院友奨励賞を受賞されました。
作品の力強さに魅了されるのか、足を止めてじっくりご覧になる
方が多く、友人としてとても嬉しかったです。
実は会場は書の作品がメインでした。
書道を始めて間もない私にはどんなものがよいのか、論じる力も
ありません。
しかし審査会員さんの作品は、それぞれの作品で個性があり、見て
いても楽しさがありました。
個人的には篆書や漢字かな混じりの書に興味があります。
いつか臨書ではなく、自分の書というものが書けたらと思って
います。
すぐ塗れ〜る について
私のブログから辿って、播与漆工さんの筆付き瓶入り漆「すぐ塗れ〜る」
をご覧になった方がおられましたので、この商品についてご説明して
おきたいと思います。
本漆の難しいところは、かぶれるという問題と道具の始末に手間が
かかるということです。
「すぐ塗れ〜る」は、筆がついたマニュキュア瓶様のものに本漆を
入れることによって、それらの問題の解決を図った商品です。
封入されているのは、京都の佐藤喜代松商店さんが作っている
三本ロールミル精製法という新しい製法で作られた「MR」漆です。
これは従来の熱をかけて精製していた際に失われていた酵素を
維持し、より硬化しやすくした本漆です。
気をつけなければならないのが、あくまでも封入されているのは本漆
ということです。
ですので扱いが簡便になっただけで、「かぶれる」という問題は
解消した訳ではありません。
よって皮膚についてしまった場合は、かぶれます。
マニュキュア様の使い方だと、確かにかぶれのリスクは少なくなりますが、
もしもの場合がないとは言えません。
うっかり手につけてしまった、テーブルにつけてしまったという時の
対処方法を実践出来ないまま、お使いになるのは危険です。
お使いになるのであれば、しっかり対応を学んだ上でチャレンジなさって
下さい。
もちろん硬化の為の室(高温多湿を維持した環境)も必要です。
ところでついている筆はあまり繊細なものではありません。
ですので金繕いの下地にお使いになる際には十分ですが、仕上げには
適しません。
また硬化速度が速い漆ですので、瓶の内容量全てを使い切らないうちに
漆は硬化してしまいます。
(播与漆工さん談 白鳥実感済み)
このような点も踏まえて、お使いになりたい用途に適切か、ご判断
下さい。
インスタグラム「kintsukuroi shiratori」
楽々
NHK文化センター千葉教室のHさんの作品をご紹介
致します。
ヒビを直した器です。
少々変わった形の欠け+ヒビの湯のみです。
両方とも初心者のレベルで直せるものなので、長く受講して
下さっているHさんには、楽々直せる内容です。
一人で金繕い出来るようになるには、どのくらいかかりますか?
という質問もよく受けますが、とてもお答えしづらいところが
あります。
基本の技術は1年の受講でご説明しておりますが、器によって
重症度が違いますので、経験値も変わってきます。
ですので1年で一人立ちと言えますし、ちょっと格好つけて言えば
一生勉強とも言えます。
何しろ器によって欠損の仕方が違いますので、千差万別となります。
年間数百の器を拝見していますが、何年お教えしていても、迷う
ことがあります。
一菜会では、原一菜先生のお墨付きが出なければ公認教授に
なれません。
ある意味とても高いハードルです。
私個人で言えば基本をしっかり踏まえ、状況に応じて変化させられる
ことが習熟する一番の方法と考えています。
筆の洗い方 三度
このところ「筆を洗剤で洗うとは知らなかった」という方が
相当数いらっしゃいました。
ご説明が徹底していなかったのではと思い、筆の洗い方を
改めてご説明致します。
薄め液は、ジャムの瓶などに半量分けます。
これを筆や道具の洗い用とします。
筆はこの中で泳がすように洗います。
瓶の底に押し付けて洗うと、金具に当たって毛が切れてしまい、穂先が
細くなってしまいます。
泳がすように洗っては、ティッシュにオフするを繰り返し、ティッシュに
新うるしの色が着かなくなったら、洗剤で洗います。
洗剤は台所用でも手洗い用でも構いませんが、液体がよいです。
穂先に洗剤を含ませて、穂先をほぐすように爪で中まで洗剤分を
しみ込ませます。
このようにしっかり洗わないと、穂先が新うるしの成分で固まって
しまいます。
また洗うのも薄め液で洗ったあとすぐ行います。
時間が経ってしまうと、固まってしまいます。
洗ったあとは、穂先が湿っているうちにキャップをします。
穂先が乾いてしまって、ふわふわと広がってしまってからキャップを
しますと、毛が入りきりません。
筆を洗わないでいたために、せっかくの仕上げ用の筆の穂先が
割れ、曲がるくせがついてしまった方もおられました。
いざ仕上げという時にこの状態では、いい仕上げは出来ません。
仕上げ用の筆を使うならば、きちんとメンテナンス方法を
身につけて頂きたいと思います。
美しい曲線
NHK学園市川オープンスクールのTさんの作品をご紹介
致します。
先般も同じように鳥脚型に割れた器を接着された作品をご紹介
しました。
曲線がカーブしているところが器の厚みが変わるところで、物理的に
この形に割れていると言えます。
そういう意味を考えなくても、金繕いして完成した姿が美しい
です。
Tさんの作品は度々ご紹介させて頂いていますが、作業が丁寧で
下地が完璧に作られてから仕上げを行っておられるからこそ
完成度が高い作品に仕上がるのです。
この下地作りが相応に時間がかかるので、見切り発車をされる
方が少なくありません。
しかしTさんの作品を見て頂ければ、地味な下地作りの作業が
いかに大切か、わかって頂けると思います。
お手製道具
NHK学園市川オープンスクールのSさんのお手製道具をご紹介
致します。
正確には、Sさんのご主人が作られたものです。
用途は漆器の塗り直しで、器の外側を塗る際に使用するものです。
漆芸材料として「吸付ゴム球」という商品がありますが、もし
空気が抜けたときには器が落下してしまうなどの問題があります。
価格は¥2,700ほどします。
Sさんの物は空気抜けを気にしなくても大丈夫ですし、しっかり
握れるところも秀逸です。
価格もかなりローコストで作られたようです。
何より奥様の為にご主人が道具を作られたところに、気持ちが
ほっこりしました。
よく職人さんの道具が自作という話がありますが、手仕事とは
そういう所から始まるのが楽しいのではないかと思います。
マスキングテープについて
教室でマスキングテープについて、ご質問を受けましたので、
ブログでもご紹介したいと思います。
今、マスキングテープというと、様々なデザインが施された
文房具•雑貨のものを指すかと思います。
本来は塗装の際、作業箇所以外のところを汚さないように保護する
テープでした。
基材は和紙のものが一般的です。
これが金繕いで使えるかということですが、答えは「否」です。
これは基材が和紙であることに起因します。
使ってしまうと良くない結果を生みますので、使用は避けて下さい。
但しマスキングということでなければ、使って頂いても問題
ありません。
では何を使うかというのは、器がどのような組成のものなのかで
変わってきます。
セオリーについては、教室でご確認下さい。
『マスキングテープ』という名称は、様々な分野で商品が存在
します。
その中で有効なものを使うというのが、金繕いの柔軟性だと
思っています。
ユーカリが丘教室についてお問い合わせ下さった方へ
コンタクトのページからユーカリが丘教室についてお問い合わせ
下さった方へ…
返信しようとしたのですが、出来ませんでした。
TOPページに私が把握している内容を追記しました。
お手数ですが、それ以上の情報については、ユーカリが丘教室
にお問い合わせ下さい。
私のスキル不足でお手数おかけし、申し訳ありません。ご検討、どうぞよろしくお願い致します。
横浜山手西洋館 世界のクリスマス2015
今日から始まりました横浜山手西洋館の「世界のクリスマス
2015」に行ってきました。
例年ご紹介していますが、横浜山手にある西洋館が世界の
国々のクリスマス装飾で彩られるイベントです。
今回一番気に入った館は、山手234番館です。
見応えとシックな感じの装飾が良かったです。
新しい感じがしたのは、ベーリック•ホールと外交官の家
です。
それぞれの館で今まで見たことのない装飾でした。
じっくり見て頂きたいのが、エリスマン邸です。
スパイスや木の実で作られた伝統技法の装飾品は、近くに寄って
鑑賞するべき作品と思います。
イベントは25日(金)まで行われます。
ぜひ横浜までお越し下さい。