月別アーカイブ: 2015年11月
器の柄と呼応
NHK文化センター ユーカリが丘教室のTさんの作品です。
花の絵が描かれたカップに仕上げをされました。
白化粧土の陶器です。
淡いピンクとグリーンの絵が、とても優しい雰囲気のカップです。
これに金泥がとても合っています。
キズなりに直されており、特に奇をてらっておられません。
その自然な感じが、また器の雰囲気に合っていると思います。
金繕いしたところが、程よい存在感で器に馴染んでいるというのは
理想の形なのではないでしょうか。
是非皆様に参考にして頂きたい作品です。
藤那海工房 月曜クラス開設します
すっかりダイニングテーブルに定着した藤那海工房 金繕い
教室です。
現在のクラスに加えて新年2月から第2月曜日に新しいクラスを
開設することになりました。
今まで曜日が合わなくて参加を断念されていた方、他のクラスが
満席でお申し込み出来なかった方のご参加をお待ちしております。
「コンタクト」
まずはご見学、蒔絵体験からという方も、お気軽にお問い合わせ
下さい。
また現行のクラスが満席の為、ビジターの方をお断りしていました。
空席がある場合、受付致しますので、こちらもお問い合わせ
下さい。
彫金道具から
彫金材料専門店他で探してきた道具です。
では彫金にチャレンジするのかというと、そうではないのです。
これも金繕いに使う為の道具です。
器を使う為に直すという目的のため、漆芸の材料以外の物も使い
ます。
今回ご紹介した彫金道具などは全く縁のないような世界ですが、
骨董に詳しい方ならピンときたかもしれません。
今回は陶磁器の修復に使う道具でしたが、ご要望によっては違う
分野のことをお教えする場合があります。
この時に使う道具•材料は在庫してはおりませんので、それらの
購入からお願いしています。
あえて言うなら自ら購入をしてでも習いたいという気持ちがなければ
作業を完遂するのが難しいことがあります。
そこで道具•材料の購入から始めて頂いているのです。
道具•材料の購入は、新しい世界に触れる絶好の機会です。
迷われるのも楽しみのうちと挑戦して頂けたら幸いです。
紙の力
何の芸術でも紙は重要と言われます。
書道においても、かなりのウエイトを占めると聞いては
いました。
かな用に因州和紙をお譲り頂いたので、使ってみました。
かすれ具合も美しく、自分の腕が2割増しになったようです。
奥に写っている白い半紙が今まで使っていた「改良半紙」です。
三椏を主原料としています。
手前の生成りの半紙が、因州和紙のものです。
改良半紙より表面の肌理が細かいように思います。
これだけ効果を実感すると「紙」の威力に納得です。
仕上げのあとは?
仕上げのあとは何をするのか?という質問を頂きました。
『仕上げ』とは、金繕いにおいても言葉通り、作業の最終工程を
指します。
器の欠損を埋めてきたところに、それを化粧する目的で蒔絵を行い
ます。
ですので、このあとの作業はあるのか?と問われれば、答えは
「ないです。」となります。
仕上げの作業後、1週間経ちましたら、洗浄•使用が可能になります。
ただキズを覆った仕上げにさらに加筆して蒔絵をご希望でしたら、その
あとの作業になります。
例えばこのマグカップですと、本来の破損は左上の欠けと、右のヒビ
でした。
まずは両方の欠損を覆い隠すように蒔絵をし、それに対して柳の枝•葉を
加筆して蒔絵しています。
陶磁器の修復という意味でしたら、仕上げ前までの工程で終了して
いると言えます。
仕上げには金•銀泥で仕上げる他、新うるしの色で終了させる選択も
あります。
セオリーはありますが、最終的にどのような形にするのかは、お好み
で決めて頂いて構いません。
もうじき完成!
修復のご依頼を頂いている中で、もう少しで完成する器を一部
ご紹介致します。
教室にご参加下さっている方ならおわかり頂けると思いますが、
手間がかかるものと、そうでないものとでは、完成に至る時間が
違います。
仕上がりの催促があるとプレッシャーがかかりますが、納期を
短縮出来る秘密の裏技などはありませんので、ひたすら地味に
作業をしております。
その上「いいや、このくらいで。」とは妥協出来ない性格です。
納得がいくまで、下地の作業は徹底して行います。
ご依頼の皆様、どうぞもうしばらくお待ち下さい!
金繕い?
最近修復のご依頼があった器です。
画像でおわかりのように、欠け部に金色のものが塗布されている
だけです。
経緯は確認していないのですが、この状態が不本意なので、ご依頼が
あったと考えています。
金繕いとは、やはり元々の形を復元してから、為されるべきものだと
思います。
この状態では釉薬がなくなってしまった部分をカバーしているだけで、
何とか短期間の使用に耐える程度です。
もちろん美しさを問う状態ではありません。
金繕いという技術が日本唯一である所以は、破損した器が使用可能になる
だけでなく、美しさも伴っていることだと思います。
教室にお出でになっている方々には、是非元の形をきっちり戻すという
作業にこだわって頂きたいと考えています。
ところで修復のご依頼ですが、私が直接存じ上げている方か、間にご紹介の
方がある場合のみお受けしております。
おかげさまで多数のお引き合いを受けておりますので、教室でのご依頼は
遠慮させて頂いております。
下地用と仕上げ用の筆
金繕いの講座では、最初に欠損を埋める為の下地用の筆をお渡し、
その後仕上げ用の筆をご紹介しています。
両者の筆の違いは穂先の毛のクオリティにあります。
先日仕上げ用の筆を、下地用に使いたいというご希望を頂きました。
私としては、これはもったいないことと思っております。
というのも仕上げ用の筆の大事なところは、穂先の水毛という部分に
あるからです。
水毛は、摩耗したらなくなります。
そうなると当然、いい線は描けなくなります。
下地用として頻繁に使用すれば、摩耗が早くなり、筆としての寿命が
短くなります。
また筆のメンテナンスが上手に出来ないうちに、いい筆を使えば、それ
だけ駄目にする確率も高くなります。
「とっておき」という言葉がありますが、やはり仕上げ用の筆は、
ここぞという仕上げの時に使われるのをオススメ致します。
筆の違い
習字で使っている筆の水毛が摩耗してなくなってしまったので、代用の
筆で臨書してみました。
この筆はいつも使っているものと毛丈が3mmほど長く、毛直径が1mmほど
細いだけなのですが、違和感があって仕方がありません。
この筆自体は初心の頃に使っていて慣れているはずなのに、その後使い続けた
筆とわずかな差が気になります。
特に長さが問題です。
取り回しが格段にしにくくなりました。
たかだかそれだけに振り回される腕しかないと言えばそれまでですが、
空海だって筆は選んでいましたし…
早くいつもの筆を入手しなければ!と思うに至っております。
筆入れ 作ってみました
NHK文化センター ユーカリが丘教室のIさんの筆入れがコンパクトで
とてもいいので、お手本にして作ってみました。
もともと持っているプラスチックの道具箱に入れる為、穂先を痛めたくない
筆のみを入れるコンパクトサイズです。
材料はゴム以外は全て100円ショップで入手したものです。
ですので色は、その範囲で決まってきました。
道具箱に入るのが最優先で、コンパクトにこだわったあまり、イマイチな
部分があるのですが、そこはご愛嬌ということにしました。
上の画像が本家のIさんの筆入れです。
やはりクオリティが違いますね。