金繕いの講座では、最初に欠損を埋める為の下地用の筆をお渡し、
その後仕上げ用の筆をご紹介しています。
両者の筆の違いは穂先の毛のクオリティにあります。
先日仕上げ用の筆を、下地用に使いたいというご希望を頂きました。
私としては、これはもったいないことと思っております。
というのも仕上げ用の筆の大事なところは、穂先の水毛という部分に
あるからです。
水毛は、摩耗したらなくなります。
そうなると当然、いい線は描けなくなります。
下地用として頻繁に使用すれば、摩耗が早くなり、筆としての寿命が
短くなります。
また筆のメンテナンスが上手に出来ないうちに、いい筆を使えば、それ
だけ駄目にする確率も高くなります。
「とっておき」という言葉がありますが、やはり仕上げ用の筆は、
ここぞという仕上げの時に使われるのをオススメ致します。