月別アーカイブ: 2015年9月
藍 再成長中 2015
9月6日の生藍染め大会の際に刈り取った藍ですが、順調に
再成長しています。
11日前の刈り取り後と比べると、よくわかります。
今日のように1ヶ月も気候が先に進んでしまうと心配になりますが、
明日からまた回復するようなので、更なる成長に期待したいところ
です。
出来れば10月の上旬に2回目が行えればと考えています。
金箔貼り月間
8月〜9月は、磨いて頂いたハマグリ貝に金箔を貼って頂くカリキュラムを
行う方がおられると思います。
テレビ等で職人さんが鮮やかに金箔を扱う姿をご覧になっていると、簡単に
扱えるような感じをお持ちになっているかもしれません。
しかし金箔はエアコンの風で簡単に舞い上がってしまうほど、薄いものです。
ハマグリ貝に貼ってみた感想をお聞きすると、「難しかった」というのが
一番に出てきます。
しかし修復可能なのも金箔のよいところです。
何かアクシデントが起きたとしても、安心して翌月の講座にお持ち下さい。
上の画像は以前にアップしていますが、金箔を小分けしてお譲りするために
束を開いたところです。
美しい!
蘭亭序 最後の一枚
毎月6字づつお手本を頂いて進めてきた「蘭亭序」の臨書が、ついに
最後の一枚となりました。
習字の筆を持つのは中学生以来という、右も左もわからない状態から
始まって、書の面白さを教えてくれた「蘭亭序」。
書聖•王羲之の文字は、きっちりとした楷書に始まり、行書、草書と変化し、
最後にまた楷書調に戻るという、初心者には最適の課題だったように
思います。
もともと字を書くのは好きで、書道にも興味がありましたが、まさに
はまった状態になりました。
その蘭亭序のお手本が最後の1枚となり、感慨深いものがあります。
蘭亭序終了後は、千字文に挑戦する予定になっています。
324字の蘭亭序が6年かかっていますから、1,000字となると…
計算するのが少々怖い感じになります。
お手本が終了になっても、時々復習で臨書してみようと思っています。
王羲之の文字は、後年の書家が習っただけあって本当に美しい文字なの
です。
“香水塔”を未来につなぐ:修復家からのメッセージ
東京都庭園美術館で行われている「アール•デコの邸宅美術館」展の
タイアップイベントに行ってきました。
これは以前行った際にご紹介している「香水塔」の磁器部分を修復された
工房いにしえ•佐野智恵子氏のトークイベントです。
当初は表面的な修復に止める予定だったのが、氏の見解によって
以前の修復で施された内側の補強を除去し、解体から始めることに
なったという経緯を大変興味深く聞きました。
このような決断に至ったのは、氏の文化財は未来に残して行くために
保存に重点をおくべきという考えによるものです。
樹脂で修復している以上、50年程度で劣化のために再修復が必要に
なるので、氏の修復の結果はその時に出るということになります。
その時には材料•技術共、進化しているはずなので、未来の修復家に
託したいと結ばれました。
修復を行う立場としては、氏の修復方法は大変勉強になりました。
今回のイベントをご紹介頂いたHさんに、御礼申し上げます。
筆置き
筆を置く場所に困っているというご質問を頂きましたので、
筆置きをご紹介したいと思います。
私が普段使っているのが、月光荘(銀座•画材店)の筆置きです。
月光荘のオリジナル商品で、本来はパレットの付属品なのですが、単独
でも使用可能です。
アルミ製で軽く、真ん中に月光荘のホルンマークが刻印されているところが
かわいいのです。
こちらは本漆用に自作した筆置き兼ヘラ置きです。
流用出来るものとしては、書道用の筆置きがあります。
こちらは習字をする時に使っているものです。
いかにもというところが気に入っています。
カトラリーレストも流用可能です。
この画像のもののように、凹部があれば筆がころがらないと思います。
個人的にはプレート状になっているものの方が、作業中に移動させたい時に
片手でも出来るのでお勧めしたいと思います。
これは、というものをお持ちの方は、是非お声掛け下さい。
蒔下の色
教室で蒔下の色についてご質問を頂いたのがとてもよいもの
だったので、ブログでもご紹介したいと思います。
「蒔下」とは、金•銀泥で仕上げる際、定着のための接着剤として
塗る新うるしのことを言います。
金•銀泥を蒔く下地ということですね。
これには基本的に赤系の色をお使い頂いています。
理由は2つ。
まず第1に金泥が映えるからです。
透明系の色で仕上げると、赤系とは違う感じに仕上がります。
第2の理由は、金•銀泥の沈み込みを押さえるためです。
顔料が支えるので、透明系のものと違って失敗が少なくなります。
興味を持たれた方は、実際に実験してみるとよいと思います。
説明していることには理由があり、言わないということはリスクが
あるからなのです。
※文中の「赤系」「透明系」と説明しているのは、具体的に何色を
指すのかは、教室でご質問下さい。
藤田美術館の曜変天目茶碗
現在サントリー美術館で行われている「国宝 曜変天目茶碗と
日本の美」という展覧会を見に行ってきました。
曜変天目茶碗は天下三絶と言われ、世界に3点しか現存していません。
それが全て日本にあります。
所蔵しているのは静嘉堂文庫と、京都•大徳寺、そして今回の展覧会の
出品元の藤田美術館です。
藤田美術館の収蔵品が館外に出ることは珍しいようですので、この
曜変天目茶碗を東京で見られるのは非常に貴重な機会と言えそうです。
藤田美術館の曜変天目茶碗は内側の光彩は静嘉堂文庫のものには及ばない
ように思いますが、外側にも光彩が出ているのが特徴です。
また縁には銀覆輪がはめられていることから、曜変天目茶碗が最高峰と
いうことがわかるのも重要な点です。
実物を拝見してわかったのですが、銀覆輪の下に欠けがあります。
上の画像でいうと右下に弁柄色のままになっているところがある
のです。
これはあえてこの形に残したのではないかと思います。
天目茶碗は縁が大変繊細に作られているので破損しやすく、覆輪が
はめられているケースが多いです。
弁柄色の部分は覆輪で隠せないほど欠けてしまったと思われますが、
黒釉に似せて修復するのを避けたのかもしれません。
基本的にお茶碗を同色に仕上げをすると“格落ち”するとされます。
そこでハッキリと破損しているとわかる弁柄色のままにした可能性も
あるかと思います。
それは曜変天目茶碗に対する敬意なのか、何なのかはわかりませんが。
皆様はどのようにお考えになるでしょうか?
この展覧会は9月27日(日)までです。
大雨だった今日の会場は、余裕を持って拝見出来るくらいの入場者数でした。
カード立てを粉鎮に
また面白い粉鎮をお使いの方がおられましたので、ご紹介
致します。
スリットが入っているので、おわかりになったかと思いますが、
カード立てです。
金属製なので、持ち運び時の破損を気にしなくていいですし、
コンパクトなので道具箱の中でも納まりが良さそうです。
面白いとお声をかけましたら、是非ご紹介させて下さい。
自薦も大歓迎です。
2015,10月期 募集状況のお知らせ
すでに2015年10月期の募集が始まっています。
既存の教室について、募集状況をお知らせ致します。
セブンカルチャークラブ成田(第1月):体験講座 お申し込み受付中
NHK学園市川オープンスクール(第1金):キャンセル待ちをお受けしております
港北カルチャーセンター(第1土):お申し込み受付中
NHK文化センター千葉(第2火):キャンセル待ちをお受けしております
よみうりカルチャー川口(第2木):お申し込み受付中
NHK文化センターユーカリが丘(第3月/第4日):お申し込み受付中
NHK文化センター柏(第3金):キャンセル待ちをお受けしております
NHK文化センター柏(第3日):お申し込み受付中
よみうりカルチャー大宮(第4月):Bクラス お申し込み受付中
新規開講講座のNHK文化センター千葉(第4木)ですが、おかげさまで
すでに満席となりました。
早期の受講をご希望でしたら、NHK文化センター ユーカリが丘教室、
柏教室での受講をご検討下さい。
どうぞよろしくお願い致します。
蓋の修復
NHK学園市川オープンスクールの生徒さんの作品を
ご紹介致します。
ティーポットの蓋の接着です。
焦げ茶色の釉薬に金泥がとても映えています。
本体がなくても、合わせた時に新しく生まれ変わった姿が想像
出来ると思います。
ご本人も完成した感動がひときわ大きいのではないかと思います。
ティーポットや急須の蓋の修復には、注意が必要です。
使用時に熱がかかること、持ち上げるという機能があることです。
使用頻度が高いものなら、なおさらです。
そのため割れの接着だけではなく、補強をオススメしています。
今回ご紹介させて頂いた蓋も、画像には写っていないところで、
しっかりとした補強をして頂きました。
補強に関してはそのものの破損状態、使用頻度、お好みなど
いろいろ勘案して手段を決定しています。
修復をしたものを長く、安全にお使い頂くために、蓋ものの
修復の際には講師に補強方法についてご相談下さい。