月別アーカイブ: 2015年8月
器に合った仕上げの形
NHK文化センター ユーカリが丘教室のTさんの作品をご紹介
致します。
萩焼の平鉢の欠けを修復されました。
実は欠けの形が少々不定形で、そのままの形で仕上げると違和感が
ありました。
それをお好みの形に変えて仕上げられています。
これが器の形に調和して、とても良い形にまとめられています。
このあたりは度々ブログに書いていますが、欠けの形そのままに
仕上げなくてもいいということなのです。
特に今回のTさんの作品のように、元々の欠けに違和感がある場合、
それを尊守しなくてもいいと思います。
しかしそれには条件があります。
欠損を埋めた下地が完璧に器の面とぴったり合っていなくてはなりません。
(正確に言うと仕上げの金•銀泥の厚みを引いた高さ)
これが盛り上がっていたり、凸凹があったりすると、形を変えたところが
しっかり出てしまいます。
好みの形で仕上げたいというご希望でしたら、下地の状態を講師に確認の
上、仕上げられることをお勧め致します。
柏教室のキャンセル待ちについて
NHK文化センター柏教室のキャンセル待ちをされている方に
お知らせ致します。
柏教室のキャンセル待ちの名簿保存期間は6ヶ月となっています。
そのため随分前からキャンセル待ちをしているが、全然連絡が来ない
という方は、保存期間を過ぎている可能性があります。
具体的に言いますと、昨年の10月期にキャンセル待ちを依頼された方は、
今年の4月で保存期間が終わっています。
ですので今年の10月期の募集の際には改めてご連絡頂かないと、名簿には
お名前がない状態になっています。
お心当りの方は是非NHK文化センター柏教室まで、ご連絡下さい。
どうぞよろしくお願い致します。
追記 キャンセル待ちの名簿保存期間は、カルチャーセンター
それぞれで違います。
ご不明の点は、各カルチャーセンターにお問い合わせ下さい。
段階的に上達
藤那海工房金曜クラスのKさんの作品をご紹介致します。
2本のヒビの仕上げをされたのですが、内•外に分け、計4本を
1本ずつ仕上げされました。
手前に写っているのが、最後の1本です。
徐々に上達されていまして、最初の2本は揺れがあるのですが、
最後の1本は、迷いがなくしっかりした線を描かれています。
このような作品を見せて頂きますと、仕上げはコンスタントに
チャレンジした方がいいこと、まずはやってみるなど大切なこと
がわかります。
もう1点は、欠けの修復です。
この器はKさんのお母様の作品なのだそうで、形も釉薬の風合いも
とても素敵です。
縁が点々と欠けてしまったのを埋めて、金泥で仕上げられました。
常々ブログで書いております通り、薄茶系の釉薬には金泥が馴染み、
この作品のようにいくつか欠けてしまっていても、目立ちません。
母娘合作となったこの作品、是非使い続けて頂きたいと思います。
飛び鉋とは
8月25日のブログで書きました小鹿田焼(おんたやき)と小石原焼の
特徴である「飛び鉋」について、もう少し説明を加えたいと思います。
「飛び鉋」とは画像のように白化粧土を削り落とした連続文様を言います。
鉋と言っても大工さんが使う鉋とは違い、金属製のヘラを使います。
時計のゼンマイを使う方もあるようです。
このヘラをろくろで回転している器に当てるのですが、
化粧土を削る→跳ねてヘラが器から離れる→戻って化粧土を削る
を繰り返して連続文様が出来るのです。
興味のある方はYouTubeで、製作中の様子が公開されていますので、ご覧に
なるとよいかと思います。
小鹿田焼(おんたやき)と小石原焼の特徴は、飛び鉋の他に刷毛目、打刷毛目、
櫛描き、指描き、流し掛けといったものがありますが、飛び鉋が最も
特徴的と考え、いくつか求めてきました。
今後も機会がありましたら、各窯元の特徴をご紹介したいと思います。
見込み部の仕上げ
NHK文化センター柏教室のMさんの作品をご紹介致します。
湯のみの見込みに出来たヒビの修復です。
湯のみは口径が小さいので、見込み部分の仕上げは難しいところがあります。
Mさんは何回もやり直しをされ、ついに完成されました。
粘り強く取り組まれた成果が、仕上げのしっかりとした線に現れています。
器の内側の仕上げが難しい場合、持ち主は誰か、使う用途は何かなど
確認させて頂いて、最適な仕上げ方法をアドバイスしております。
状況によって正解は変わりますので、仕上げ前にご相談下さい。
ところでMさんの作品は飛び鉋と釉薬の色から、小鹿田焼か、小石原焼では
ないかと思われます。
緑と茶の柄の入れ方がモダンなので、小石原焼かもしれません。
この二つの窯元は兄弟のような関係です。
江戸前期に高取焼の陶工が小石原焼を開き、その技法が江戸中期に小鹿田焼へと
伝わりました。
地理的にも2つはとても近い場所にあるように、特徴も大変似ています。
修復においては化粧土に注意が必要です。
作業を始める前に必ず注意事項を確認下さい。
2015年10月期 新規開講講座
TOPページでもお知らせしていますが、10月より2つの講座が
開講致します。
◯NHK文化センター千葉教室
毎月第4木曜日 13:00〜15:00
8/20〜 HPでの受付開始
8/26〜 一般募集開始
◯港北カルチャーセンター
毎月第1土曜日 15:30〜17:30
受付開始しております。
千葉教室は第2火曜日を開講して、今秋で7年目を迎えます。
私としても思い入れのある教室で、新規に第4木曜日に開講する
ことになりました。
NHK学園オープンスクール市川教室が、大変ご好評を頂き、
相当数のキャンセル待ちとなっております。
ご受講まで年単位お待ち頂く状況となってしまっておりますので、
千葉教室までお出で頂くのが可能な方には、千葉教室の新規開講
講座での受講をお勧め致します。
また港北カルチャーセンターも既存の13:00〜の講座が好評の為、
あとの時間帯でも開講することになりました。
両講座へのご応募お待ちしております。
東京駅ドーム干支考
復元された東京駅丸の内駅舎のドームには干支のレリーフが
あしらわれていますが、昨年逃げ出した干支が武雄温泉で見つかった
と話題になりました。
この説に関して少々異論がありますので、書いてみたいと思います。
そもそもドームが八角形なのは、中国から伝搬した八卦思想の影響があります。
「当たるも八卦、当たらぬも八卦」の八卦です。
この影響から日本人も八角形を尊ぶのです。
干支が12方位を現していることをご存知かと思いますが、八角を考えた時、
丑、寅、辰、巳、未、申、戌、亥を選択するのがきまりごとです。
省かれるのは卯、酉、午、子(東西南北)の4つの方位になります。
一方、武雄温泉の楼門は四角形なので、方位を当てはめるとしたら、
卯、酉、午、子(東西南北)となります。
干支の部分は杉板の透かし彫りで、換気口となっています。
単なる飾りではなく、機能を持っているのです。
東京駅の開業は1914(大正3)年、武雄温泉楼門は1915(大正4)年完成なので、
設計計画が極めて近い時期に行われていた可能性があります。
角に干支をあしらうというアイディアは同時期に発想されていたかもしれません。
しかし設計した建築家の辰野金吾は、辰野“堅固”と揶揄されていたくらい
真面目な人物です。
遊び心で設計したのではなく、方位に干支をあてはめるのをきまりごと通りに
行っただけではないでしょうか?
少なくとも武雄温泉に逃げ出させたという感覚はないかと思います。
東京駅丸の内駅舎にお出かけの際に、そんな話を思い出して頂けたら幸い
です。
白生地購入 2015
いよいよ生藍染め大会が近づいてきましたので、白生地を
購入してきました。
今年は古袱紗を作れるものをと思っていたところ、織文様の入った
生地が入手出来ました。
ちょうど夏のセール期間だったようで、ストール縫製品もリーズナブルに
なっていたので、数枚入手。
風呂敷縫製品も入手しようか…などと、年に2度のチャンスと思うと
欲が出ます。
実際のところ、なかなか縫う暇がなく、染めるだけ染めた生地が溜まって
いるのです。
きっとまた必要に迫られて、バタバタと縫うことになるのではないかと
思いつつ、染めておこうという結論になっています。
九谷焼の系譜と展開
東京ステーションギャラリーで行われている「九谷焼の系譜と
展開」展に行ってきました。
この展覧会はタイトル通り古九谷から再興九谷、明治の輸出陶磁や近代の
展開を経て、現代に至るまでの九谷焼の系譜を、各時代を代表する名品に
よってたどるというものです。
最初の古九谷が断絶したあと、様々な形で再興された九谷焼の歴史が、
整理出来ずにいたのですが、この展覧会で名品を拝見しながらたどることで
整理できたように思います。
2000年の色絵付け窯跡の発見で、九谷焼の起源説に新たな展開があった
のも興味深いところです。
今回もうひとつ楽しみにしていたのが、ステーションギャラリー自体の
様子です。
創建当初のレンガを間近に見られるので、建物に興味のある方は必見です。
藍 ジャングル化 2015
渇水の結果、茎の真ん中あたりの葉が落ちてしまった藍ですが、
その後少しずつ回復しました。
現在は丈も、径も大きくなり、ジャングル化してきました。
今年の生藍染めは、9月第1週に予定しています。
もう少し葉が増えてもらいたいので、肥料の回数を増やしています。
青汁のような染液から、色鮮やかな青が出てくる時の感動を
参加予定の方々に味わって頂けるのが楽しみです。